岡田斗司夫ゼミからのお知らせ

岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『千と千尋の神隠し』の不思議な話と、「ハーメルンの笛吹き男」の真相」

2019/08/31 07:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/08/31

 今日は、2019/08/11配信の岡田斗司夫ゼミ「『千と千尋の神隠し』の「不思議な話」、その他“幽霊” “UFO” “怪奇現象” ……の「少し怖い話」特集!」から無料記事全文をお届けします。


本日のお題と次回告知

 こんばんは、岡田斗司夫ゼミの時間です。
 今日は8月11日ですね。コミケの3日目とういことで、暑い思いをした人もいるのではないでしょうか。
 今日は、予告でも話した通り、「ちょっと怖い話」というのをします。
 『千と千尋』については、準備してるんですけど、この準備には時間が掛かりそうなので、思い切って、たぶん9月くらいになると思います。
 今回は「ちょっと怖い話」ですから、そんなに怖い話というよりは、どっちかというと、不思議だったり面白かったりするような話だと思います。
 まあ、ただ、一応、今日の無料部分の間に、『千と千尋』についての都市伝説みたいな不思議な話というのも、ちょっと触れてみようと思います。
 コミケは……あのね、今、自分に新刊がないから、同人誌を作ってないから、行かないんですけども。これはもう、昨日、今日の様子をニュースで見ている限り、これからももう行かないんだろうなと思います。

・・・

 明後日から1週間、ロサンゼルスのアンティーク・トイショーに行ってきます。
 『スター・ウォーズ』のテーマパークが、カリフォルニアのディズニーランドで開いているので、時間があれば行って来て、写真を撮って来ようと思います。
 なので、次回、8月18日のニコ生は、過去の再放送になります。その辺、よろしくお願いします。
 3年前の「『シン・ゴジラ』と核兵器」の話というのを再放送しようと思いますけども。一応、番組の前と後ろとに、語り下ろしをつけて、以前、有料で公開していたものも合わせて、無料でいっぺんに公開しちゃおうと思います。
 単なる再放送ではなくて、そういう感じでやっていこうと思っているので、よろしくお願いします。
 じゃあ、早速行きましょう。今日はね、レジュメが33枚もあるんですよ。
 ということは2時間コースですので、皆さん、適当にトイレ休憩を自分で取ってくださいね。

『なつぞら』の「空ー!」と『魔法使いサニー』の理由

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【画像】スタジオから

 では、今週の『なつぞら』です。
 もうね、結婚式とかそういうシーンが見たければ、普通の朝ドラを見るから、必要ないんですよね。
 あとは、いきなり十勝のよつ葉バターの誕生の話とかが入ってきて、まあビックリしたんですけど。
 他にも「国とメーカーが結託して、農協の工場を邪魔する」とかも、もう、わかりやすいくらいの悪者設定で、番組の知能指数が一気に20くらい下がりました。
 本来だったら、東京のアニメ編でやらなきゃいけない組合問題というテーマを、十勝に持って行って、農業の問題と絡めて誤魔化そうとするから、流れがちょっとメチャクチャになっちゃうんですよ。

 今回の注目ポイントは、木曜日オンエアの第112話です。
 工場問題が一段落して、主人公のなつと、その彼氏の坂場さんは、柴田牧場を手繋ぎデートしています。
(パネルを見せる)

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【画像】なつと坂場 ©NHK

 ここで「上手くいってよかったね」と言ったら、いきなり、なつが、こう、手を振り上げて叫ぶわけですね。「やるぞー! 空ー!」というふうに、大空に向って叫ぶんです。
 空に向って「空ー!」と言う人って、あんまりいないので、「なんで?」って思ったんですけど。しかし、なつがそうすると、一緒にいた坂場さんも「空ー!」って叫ぶんです。「なんで?」って思ったんですけど。
 「まあ、タイトルが『なつぞら』だからかな?」と思ったんですけども。

 「わかった!」と。
 先週まで、僕は「これからは、『アルプスの少女ハイジ』をモデルにした『スイスの少女サマー』というアニメを作るようになる」というふうに予想してたんですけど。まあまあ、これはもう「十勝が舞台のアニメ、『十勝の少女サマー』になるな」と思い直したんです。
 きっとこれね、『十勝の少女そら』にするつもりなんですね。『十勝の少女そら』とか、『北海道の少女そら』に。ドラマのタイトルが『なつぞら』で「なつ」が主人公の名前だから、余っているのが「そら」なんですよ。
 で、これを脚本家が伏線としてセリフの中に無理やり入れるから、こんな無茶苦茶な感じになるんですね。
 「やるぞー! 空ー!」というのは、後に作ることになるアニメのタイトルを「そら」にするつもりだからじゃないかな、と。……「ダサいなあ」と思うんですけども。

・・・

 もう1つ、来週から妊娠話になるみたいです。
 「まゆゆが大塚康生の子供を宿して」という……もう現実の人名と役名とが滅茶苦茶になってるんですけど(笑)。出産して、子供を会社に連れてきて、という流れになるらしいです。僕も予告編を見ただけなんですけど。
 そうなると、たぶん、なつも妊娠するんでしょう。
 でも「なつの元には、新しいテレビシリーズの作画監督かキャラデザインの仕事が来たので、出産しても仕事を休みたくない」みたいな、まあ、ちょっと家庭と仕事の話というのが入ってくるんだと思います。

 ドラマ内でのこういった話が、現実のアニメーションの歴史では、どの辺にあたるのかというと。
 1967年か68年頃の話ですから、テレビシリーズだと『ハッスルパンチ』、『海賊王子』、『魔法使いサリー』のどれかになると思います。
 たぶん、ドラマでは『魔法使いサニー』になるんじゃないかと思うんですよ。

 実は、『魔法使いサリー』は横山光輝の原作が連載された当時は『魔法使いサニー』というタイトルだったんですね。
(パネルを見せる)

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【画像】魔法使いサニー

 なぜ、これがサリーになったのかというと、ソニーという電気会社が「サニー」という名前の商標権を持っていたからなんですよ。「サニーという名前を使わせてください」と言ったんですけど、許可が降りずに、しょうがなく「サニー」を「サリー」にした、と。
 ちなみに、日産のサニーという自動車は、ちゃんとソニーから商標権を取って、お金を払って使っているんですけど。
 それがあるので、『魔法使いサニー』か、または『魔法少女サニー』というあたりを、やるんじゃないのかな、と。
 このドラマは、主人公のなつが、坂場さん……つまり、高畑勲と一緒に作品を作るのがラストになるはずだから、それまでに腕を上げるためとか、ドラマ内でアニメの歴史を見せるためなら、たぶん、『海賊王子』ではなく、『ハッスルパンチ』か『魔法使いサリー』のどっちかをやるんじゃないかというふうに思います。

 というわけで、この予想も、1ヶ月もすると「なんで俺、あんなこと言っちゃったんだろう?」って思うかもわからないですけど。
 来週は1週間、アメリカに行ってくるので、次の『なつぞら』の解説と予想は、8月25日、2週間後のゼミまでおあずけです。
 それまでは、皆さん、僕の代わりに日本で『なつぞら』を見ておいてください。俺は、アメリカで見れないので。

 ということで、今週の『なつぞら』はここまでです。
 いやあ、久しぶりに短かったね。前回は、『なつぞら』だけで40分くらい話しちゃったから、今回の『なつぞら』は短くてよかった。

お便り「怪談イベントで砕けた僧侶の数珠」

 「今日のニコ生では、ちょっと怖い話する」と言ったら、ゼミの聴講生のみんなから、ちょっと不思議な話や、怖い話が届いています。
 練馬区のそたさんからのお便りです。


先週の消えた宇宙飛行士の話は背筋が凍りました。
男女2人の飛行士の魂が、今も声なき声を上げながら地球の周りをグルグル回っているのかと思うと、哀しくて恐ろしいです。
私は不可思議な現象やオカルトは好きなのですが、自分自身ではまったく経験がないし、死後の世界についても半信半疑です。
昨年、「怪談座談会」なるイベントに何度か出席し、自身でも職場の後輩から聞いた怪談を披露しました。
会場内にいる30名あまりのうちの大半の人が、人影を見た、音を聞いた、何かが歩き回る気配を感じると訴えていましたが、その真っ只中にいるにも関わらず、私は何も感じませんでした。
イベント中、真言宗の僧侶で霊能者の「水晶の数珠」が、瞬時に飛び散るのを目の当たりにもしました。が、そこに霊がいると言われてもどうにもピンときません。
霊が見える、感じるという人は職場にもいます。
岡田さんとしてはこのような能力、或いは資質というものを、どのようにお考えでしょうか?


 もうね、これ、以前の僕なら「いや、気のせいだよ」とか「商売上手なお坊さんのトリックだよ」って言ってたと思うんですよ。「真言宗って言っても、みんな食わなきゃいけないからね。数珠にトリックを仕込んだんだよね」って、絶対に言ってたと思うんですけど(笑)。まあ、「勘違い」とかね。
 でも、最近は、今日、ちょっと不思議な話をすると言ってることからもわかると思うんですけど、最近の僕は、ちょっと目線が変わってきたんですよね。
 たぶん、このゼミを見ている皆様の大半は、以前の僕と同じようなタイプだと思うんですけど。
 ちょっと聞いてみましょうか。アンケートをお願いします。

 「霊感は存在するか、しないか?」というアンケートです。
 今のお便りに出てきた霊感みたいなものは存在するか? もしくは、気のせいか? シンプルな2択です。「わからない」みたいな回答は認めないので、パパッと答えてみてください。

 はい、結果をお願いします。……おっ! ちょうど半々ですね。「存在する」と「存在しない」が、ちょうど半々くらい。面白いですね。
 僕はというと、実は今、この「存在する」派閥なんですよ。その理由は、この後のゼミで話しますけども。
 そたさんには「タオル君の大好き / 大嫌いステッカー」を差し上げますので、楽しみにしていてください。
 半々というのは割りと意外でしたね。

岡田斗司夫が事故物件に20年住んで体験した奇妙な現象

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【画像】スタジオから

 最近、怖い話が好きになってきたというのは、別に「個人的にオカルト体験があって、それで考え方が変わった」とかいうわけじゃなく。
 たぶん、オカルト体験はこれまでにも何度かあるにはあったと思うんですけど、まあ、全然、興味がなかったんですね。
 例えば、今の家に引っ越したのは4年前なんですけど、その前は、吉祥寺の井の頭公園の近くの一軒家を借りて暮らしてたんですよ。
 借りたのは、1995年の春。もう本当に25年前ですね。広さや場所を考えたら、家賃もやたら安い物件だったんです。
 なので、物件の内見に行った時に「ここ、気に入りました。契約します」と不動産屋に言うと、「じゃあ、ちょっと店まで来てください」と言われて。不動産屋まで行くと、奥の応接室に案内されて、お茶を出されたので、「もう契約するのかな?」と思ったら、支店長が出てきて「実は……」という話が始まったんですよ。
 「あの家は、実はいわくがありまして。井の頭公園の事件を知ってますよね?」と。
 いや、「事件」と言われてもよくわからなかったから、「なんですか?」と聞くと、「あの、バラバラの……」って言われて。それで「ああ」と。
 新聞やニュースを見ない僕でも知っていたんですけど、昔、井の頭公園バラバラ殺人事件というのがあって。平成日本で最大の残酷事件で、いまだに犯人も見つかってないし、動機もわからないまま、未解決の迷宮入りをした事件なんですよ。
 僕がその家を借りる1年前、1994年4月23日の朝に、井の頭公園のゴミ箱から、ポリ袋に入った変な物体が出てきたんですね。ゴミ袋を開けると、人間の足首が出てきた。
 あわてて、捜査員が周り一帯を捜索すると、合計で27個、バラバラになった人体のパーツ、手足とか胴体が出てきたんです。
 そのゴミ袋も、魚を獲る漁師さんが、網とかで使う、臭いが漏れない特殊な結び方をされていたり、遺体の手足の指紋がすごく丁寧に削られてたんですけど。
 DNA鑑定で、被害者は近くに住む一級建築士の35歳の男性だとわかったんです。
 その男性は、妻と子供と、あとは自分の母親と一緒に暮らしていて、建築士として自分が設計して建てた家に住んでたんですね。
 僕が借りた家というのは、その被害者の家だったんですよ。

・・・

 ただ、僕は幽霊というのを全く信じていないので、気にせずに、安いから借りたんです。
 まあ、こういうことの告知義務がある不動産屋さんとしても、ホッとして、すごく喜んでくれて。
 なんでも、こういう物件のことを事故物件と呼ぶらしいんですけど、最初に借りる人には、こういったことを告知しなきゃいけないらしいんですね。
 でも、「1人でも借り手がついて、その人が退去したら、次の借り手にはもう言わなくてもいい」という、そういう申し合わせがあるみたいです。

 それでも、ちょっと気持ち悪いので、入居の前に、1階に住んでるおばあちゃんに挨拶に行ったんですよ。
 というのは、一軒家といっても3階建てて、僕が借りたのは2階と3階だけなんですね。外階段から2階に上がれるようになっていて、1階には大家さんのおばあちゃん、つまり被害者の方の母親が住んでたんですよ。
 まあ、一応、ちょっと気を使って、東急百貨店でちょっと高級なゼリーのパックを買って、「お線香だけ上げさせてください」と言うと、おばあちゃんは、奥にあるメチャクチャ大きい仏壇に案内してくれたんです。
 この1階には、おばあちゃん以外の人の気配がないんですよ。どうも、奥さんや子供さんは、もうすでに実家に引っ越されて、おばあちゃんは1人で息子さんの設計した家に住んでるらしいんですね。
 仏壇の写真には、すごく普通な、どこにでもいそうな男性が写っていました。なので、僕もその写真のことをほとんど覚えてないんですよね。
 僕は、お線香を頂いて、1本つけて、一応、それが燃え尽きるまで、手を合わせて拝んでたんですよね。

 拝む時の内容は「お化けとして出るんだったら、どうぞ1階に出てください」と。
 「2階には他人である僕が住んでいます。あなたのお母さんに、毎月毎月、お金を払って、そのおかげであなたのお母さんは生きていけるんですよ?」と。
 「恩を着せるつもりはないんですけど、もし僕がビックリして逃げたら、あなたも困るでしょう?」と。
 「1階にはあなたのお母さんが住んでいますから、何か言いたいことがあったら、ぜひ1階に化けて出てください」と。

 マジでそういうことを考えながら、何度も何度も心の中で唱えて、その場を立ち去りました。
 以後、その家の1階には立ち入ったことはありません。

・・・

 結局、その家には、1995年から2015年まで、20年以上、住んでいたんですけども。
 当時は「怪奇現象なんて、何も起こってない。やっぱりオカルトは嘘だな」というふうに思ってたんですよ。
 でも……別に脅かすつもりはないんですけど。でも、今、考えると、ちょっとだけ変なんですよ。
 例えば、家鳴りが激しいんですよね。家がしょっちゅうギシギシ言うんですよ。
 でも、新築の家というのは、もともと家鳴りが激しいものなんです。というのも、結構良い家だから、木材とかも豊富に使っていて、それが乾燥する周期とかがあるんでしょうね。だから、キシキシ鳴るんですけど。
 あとは、まあ、井の頭公園の踏切も近くて、電車が通ると家が揺れるから「それで家鳴りがするんだろうな」と思ってたんですね。
 2つ目が、天井裏とか屋根裏から、やたらと音がするんですよ。
 でも、これもね、そんなにお化けっぽい音じゃないんです。もっと乱暴な、ドッタンバッタンという、怖さも何もない音で。
 たぶんね、井の頭公園が近いから、テンとかタヌキとか、そういう小動物が住んでたんだと思うんですよね。
 ネズミのサイズじゃ絶対にないんですよ。僕、ネズミが住んでる家に住んでたこともあるんですけど、ネズミの走り方じゃないんですよね。
 あと、3つ目。なぜか、リビングのちょうど真ん中あたりの壁と天井に裂け目が入っているんですよね。
 一番最初、入居した時は気付かなかったんですけど、どうも、入居した時から薄っすら裂け目があったみたいなんです。それが、15年くらいかけて、メキメキ広がっていくんですよ。
 つまり、僕の住んでた家は、ゆっくりとリビングが2つに裂けて行っているんですよね。
 これはいまだに原因不明で、なんのこっちゃかよくわからないんですけども。

・・・

 ただ、まあ、おかしなことと言ったら、以上のことだけで。たぶん、日本でも有数の事故物件……週刊文春とかも取材に来ましたから。そんな事故物件に20年以上も住んでたんですけど、結果的に、別に何も起こらなかったんですよ。

 今、コメントで「設計ミス」って書いてあったんですけど。
 一級設計士の人が自分用に作った家だから、材料もそれなりに吟味しているはずなので、あんまり設計ミスではないと思うんですけどね。

 まあ「3階で寝ている時に、2階から物音する」とか「例の裂け目が年々大きくなってきて、嫌な感じがする」とか「天井裏に住んでるんだろう小動物が、やたら走り回る」ということがあったんですけど。
 「こういうことは、どこの家でもあることだ」というふうに解釈してたんですよ。
 今考えると、「家が裂ける」というのは、あんまりどこの家でもあることじゃないと思うんですけども。
 ひょっとしたら、こういう僕の「いや、別に関係ないんじゃないの? いいんじゃないの?」と思っている態度が、怪奇現象みたいなものがあったとしても、それに気付かせないのかもなと思いました。

幽霊ホテルで感じた「嫌な気配」の正体とは?

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【画像】スタジオから

 「僕の態度に問題があったのかな?」というのに絡めて、これは、去年の6月にロンドンに行った時の話なんですけども。
 ロンドンでザ・ランガムというホテルに泊まったんですね。
(パネルを見せる)

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【画像】ザ・ランガム

 これがランガムホテルです。「レディ・ガガがロンドンに行った時に、絶対に泊まる」と言われている超一流ホテルなんですけど。
 ここは、世界で一番有名な幽霊ホテルなんですよ。

・・・

 「このホテルの3階の333号室には幽霊が出る」というので、結構、有名なんですね。
 目撃されているのは小さな女の子とか、あとはドイツ陸軍の兵隊とか、そういうのが出てくるそうです。

 3階でエレーベーター降りたら、目の前に真っすぐの廊下が走ってるんですね。
(パネルを見せる)

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【画像】廊下

 この廊下の一番端っこに333号室があるんですけど。もう、なんかね、この廊下自体が嫌な雰囲気なんですよ、正直。
 廊下の絨毯の模様が幾何学模様なんですけど、見ていると段々、目がチラついてくるんです。……まあ、幾何学模様だから目がチラつくのは当たり前なんですけども。
 なんかね、不思議なことに、嫌な気分になるんですよね。

 で、333号室の前に行ってみたら。
(パネルを見せる)

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【画像】333号室プレート

 別に、これも「333」と書いてあるだけで、ドアも、いわゆるカード型のキーを差し込む新型のタイプだから、なんということもないんですけど。
 ただ、もう、そんなことを気にしないはずの僕が「早く帰りたいな」と感じるくらい、嫌な感じの気がするんですよね。

・・・

 そのまま、廊下を1周して帰ったんですけど。333号室に行った時とは反対側からエレベーターホールに近づいた時、行った時には気付かなかったんですけど、このエレベーターホールにデッカい絵があるのを見付けたんですよね。
 エレベーターホールにあったデッカイ絵というのが、これなんです。
(パネルを見せる)

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【画像】怖い絵

 なんか、ちょっとこれ、怖いと思いません?
 あのね「わざとやってんな」というか「やりやがったな」というか「寄せてきたな」という感じで。
 この位置の茶色いシミも込みで、なんか嫌な絵なんですよね。

 これ見たときは、流石にハッキリと怖かったんですよ。気持ち悪くて怖くて。
 それで「怖い」って思った瞬間に、初めて、さっきの廊下とか333号室のドアの前で感じてた感覚が理解出来たんです。
 僕が感じていた嫌な気配だと思っていたものの正体は、怖いという感覚だったんですね。
 絵を見て初めて「ああ俺、怖かったんだ」ってわかったんですけど。
 理由はないんですよ。単に「有名な幽霊ホテルだから」と知っているから、勝手に僕が心理的に怖がっているだけだと思うんですけど。
 でも、そういう知識とか理性的な考えは、実際にその場で感じた、生命の危機を感じる怖さを、もう全然、打ち消すことが出来ないんですね。
 なので、とりあえず写真だけ撮って……自分の人影が絵の額縁に反射して写り込んでいるのが嫌なんですけど。この嫌な絵の写真を撮って、3階からは逃げ出すようにエレベーターに乗って去りました。

・・・

 さて、この「嫌な感じがした」というだけの僕は、心霊現象を体験したのか?
 それとも、やっぱりこれは、単に弱気になっていたというだけの、気のせいなんだろうか?
 もし、僕が5年前まで住んでいた、あの井の頭公園近くの家に「家賃が安いんだから、もう1回住めば?」って言われたら、あの頃のように、家鳴りとか、天井のドッタンバッタンとか、リビングが段々と裂けていく変な家に、平気で住めるかどうかというと、実はちょっと自信がないんですよ。

 なので、皆さんはどう考えるのかと思って、ちょっとアンケート用意しました。
 「岡田斗司夫が自宅やランガムで体験したのは、何なのか?」というアンケートです。お願いします。
 岡田斗司夫が体験したのは「1.心霊現象」「2.気のせい」ですね。これをちょっと聞いてみたいと思います。これも、適当にパッパと答えて頂ければ。

「新宿がすごく居心地悪くて」(コメント)

 ああ、そう言う人もいるわけですね。

「負のプラセーボ効果」(コメント)

 それもありそうだよな。

 はい、結果を出してください。……あ、「気のせい」が80%ですね。「心霊現象」が20%。
 そうなんですよ。特に、これといった証拠も、変な現象も起こっていない。さっきのお便りみたいに、数珠が目の前で弾け飛ぶみたいなことは何も起こってないんです。
 だけども、「イヤな気持ちになってしまう」ということがあるんです。

・・・

 この「オカルトを信じるかどうか?」というアンケートに関して、明治大学情報コミュニケーション学部の石川幹人教授は、この本の中で、不思議な実験をしています。
(本を見せる。新潮新書『「超常現象」を本気で科学する』)

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【画像】「超常現象」を本気で科学する

 まず、明治大学の学生を相手に「超常現象に否定的か、肯定的か?」というふうにアンケートをとるわけですね。
 すると、答えが綺麗に2つに分かれて「否定的40%、肯定的40%」と、ちょうど半々になったわけです。残りの20%は「わからない」とかの他の解答だと思います。
 しかし、その次に「じゃあ、あなたではなく、一般多数の意見はどうだと思うか?」と聞くと、「否定的だと思う」という回答が、いきなり70%に上昇するんですよ。「肯定的だと思う」は10%に落ち込む。

 「自分以外の他の人はどう考えていると思うか?」という聞き方をすると、みんな、「否定的だ」と思っていて、「肯定的だ」と思っている人は10%に落ち込む。
 これ、どういう意味かというと、「自分は信じているんだけども、人前では信じてないフリをする」ということなんですね。
 その理由は「幽霊を見た」とか「そういう話を信じる」とか「そういう体験をした」というのは、個人的な体験であって、その体験を否定されると、まるで自分自身が否定されたような気がして、身構える癖がついているから。
 だから、人間は、オカルト的なこと、超常的な体験を人前で話す時には、自分自身の本心に逆らって、否定的に話す傾向がある。
 それが、この明治大学のアンケートでわかったことです。

『千と千尋の神隠し』にまつわる俗説と天狗の話

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【画像】スタジオから

 じゃあ、もうちょっと詰めた話をしていきましょう。
 ええと、今度の8月16日の金曜日、金曜ロードショーで『千と千尋の神隠し』をやるんですけど。ちょうど僕は、そのタイミングでアメリカに行っているので、来週はその話が出来ないんですね。
 なので、今のうちに『千と千尋』の都市伝説の話をしたいと思います。

 といっても、よくあるタイプの都市伝説って、僕は嫌いなんですよ。
 例えば、『千と千尋』の中に「主人公の千尋が電車に乗って、おばあちゃんのところへ行く」というシーンがありましたよね?
 この時、駅構内に女の子の影が見える。
(パネルを見せる)

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【画像】駅の少女 ©2001 Studio Ghibli・NDDTM

 「この、駅に立っている少女は、『火垂るの墓』の節子だ」とか、そういう説がありますよね。

 僕、こういうのは嫌いで。「絶対にない」と思うんですよね。
 なぜかというと、「宮崎駿というのは、そういう程度の低い遊びをやらない人だから」なんですよ。
 それぞれの作家には、作家なりの癖というのがあるんです。宮崎駿という作家がやる遊びというのは、もうちょっと回りくどいんです。
 なので、そんな「高畑勲のアニメに出てきたキャラクターを、自分の映画の中にちょっと出して遊ぼう」みたいなことは、まず考えないはずなんですよね。そういうのを一番嫌がる人だから。
 どちらかというと、この都市伝説というのは、無理矢理「そういうふうに見える!」って言ってるんだと、僕なんかは思っちゃうんですね。

 他にも、一番最初の冒頭、アウディの自動車をガーッと飛ばして、トンネルのあるところで急に停まって、「こんなとこもあるんだ。中へ入ってみよう」というシーン。
 「実は、あの時点ですでに、あの自動車は事故にあっていて、両親は死んでいて、千尋は臨死体験をしている。このアニメ全体が千尋の臨死体験なんだ」という都市伝説もあるんですけど。
 いや、もう、それもやっぱり「ないない」って、僕なんかは思うんですよね。

 なぜかというと、宮崎駿は、もうハッキリと、このアニメを作る前とか、作っている最中も「10歳の女の子に見せるためのアニメを作ってる」って言ってるんです。
 「でも、『千と千尋』というのは、制作に3年も4年も掛かってしまったから、一番見せたかった10歳の女の子は、このアニメが完成した時には14歳15歳になっていて、見せるべき対象ではなくなってしまった。この辺が切ないですよね」というふうに語ってるんですよ。
 だから、そういう「臨死体験だった」という噂は「月着陸はなかった」と同じように、何を見てもそう見たい人のための遊びだから、放っておこうと思っています。

 あとは、『千と千尋』に出てくる湯屋。いわゆる物語の舞台となる場所ですね。「あれは風俗だ」っていう意見も、よく聞きます。
 働いている女の人は、みんな胸元をはだけているし、場所もお風呂だし、「来た神様たちを慰めてあげる」施設だし、ということで。
 何よりも、監督の宮崎駿自身が、インタビューで「風俗みたいなもんです」とハッキリ言っちゃってるので、僕も昔は、この「『千と千尋』の湯屋=風俗説」というのを信じていました。たぶん、過去のニコ生でも、そういうことを言ったこともあると思います。
 でもね、今になって、ニコ生でちゃんと『千と千尋』を語るために一から考えたら、やっぱり、これも違うと思うんですよね。
 これは『千と千尋』の特集をやる時に言いますけども。風俗っぽく見せているのは、いわゆる宮崎駿が本来の客層として考えていた10歳の女の子じゃない、大人とか評論家が見た時に、意図的にミスリードするために、あえて作った仕掛けだと、僕には見えているんです。
 でも、この話は、9月以降に予定している『千と千尋』特集で話すので、もうちょっと待っててください。

・・・

 今日、話す「『千と千尋』の都市伝説」というのは「千と千尋」の部分ではなく、その後ろの「神隠し」の部分です。
 たぶん、日本で一番有名な神隠しというのは、天狗に拐われた寅吉少年事件だと思います。

 江戸後期、栃木と茨城の間くらいに住んでた子供、寅吉は、お祭りで壺売りの壺を見ていたら、その壺の中に飲み込まれてしまうんですね。
 数年後、この寅吉は、いきなり浅草の観音堂の前に現れて、「自分は今まで数年間、天狗の世界で暮らしていた」ということを言い出しました。
 当然、周りの大人達は、寅吉の言うことを全く信じなかったんですけども。そこに有名な国学者の平田篤胤という人と彼のグループがやってきて、話を聞いてみたら、「これはすごい!」と寅吉の言うことを信じて、以後の数年間、寅吉は平田篤胤やその仲間の家に住み込んで、天狗の世界の風習とか、修行、日常などの文化に関して、細かなディティールまで異常に詳しく話をし始めたという事件がありました。
 平田篤胤は、これを『仙境異聞』というですね本にして出版したところ、江戸後期の大ベストセラーになったんですね。

 では、この神隠しに遭った寅吉の言う天狗の世界というのは何だったんだろうか? いまだに真実はわかっていないんですね。
 単に「大ボラふきの子供が、大国学者平田篤胤やその仲間を騙しただけ」というシンプルな説もあるんですけど。ただ彼は、その時代の最高頭脳の一人であって、そんな学者が友達の学者達と一緒に……数年間ですよ? 数年もの間、一緒に住んでいて、問い詰めても、ウソだとわからなかったというのは、ちょっとね不自然だと思うんです。
 「だから、天狗の世界というのは、本当にあったんだ」と言う人もいます。

 もうちょっと不思議な日本の神隠しについては、番組の後半でお話しようと思います。

『ハーメルンの笛吹き男』のあらすじとその真相に迫った日本人

 神隠し事件というのは、このように「じゃあ何だったのか? 本当はどうだったのか?」というのがわからない場合が多いんですけど。しかし、真相をほぼ特定出来たケースもあります。
 世界で一番有名な神隠しというのは、グリム兄弟が1816年に発表した『ハーメルンの笛吹き男』です。
 グリム兄弟がこれを発表した、その30数年後の1849年、イギリスの詩人ロバート・ブラウニングが、その物語を詩に起こして、絵本として出版しました。
(本を見せる)

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【画像】絵本『ハメルンの笛ふき』

 これがロバート・ブラウニングの『ハメルンの笛ふき』(文化出版局)の絵本です。
 どんな話かを、簡単に紹介しますね。
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【画像】市役所

 これ、何かというと、市役所に詰めかけている人々の絵です。市長を問い詰めているんですね。
 「ハーメルンの街はネズミが増えて困っていた」と。どんな隙間にもネズミがいて、パンやチーズを食べようとしても、その中にネズミが入っている。人々は市長に「何とかしろ!」と詰め寄っていました。

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【画像】まだらの男

 すると、まだらの男と呼ばれている、変なまだら色の、互い違いの色の服を着た男が現れました。
 この本の原題は『The Pied Piper of Hamelin』というんですけど。「Piper」は「笛吹き」で「Pied」は「まだら、だんだら模様」という意味なんですね。
 このまだらの服を着た男は「1000ギルダーというお金をくれれば、ネズミ退治をしよう」と言いました。
 すると、市長は喜んで「本当に退治してくれるんだったら、1000ギルダーの50倍を出そう!」と約束しました。

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【画像】ネズミと男

 男が笛を吹きながら街を歩くと、その後から、ネズミがゾロゾロついて行くんですね。最後に男が笛を吹いたら、ネズミたちは一斉に近くのウェーゼル川に身を投げて、そのまま全滅してしまいました。

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【画像】まだらの男と市長

 しかし、まだらの服の男が約束のお金を取りに行くと、市長達は笑ってお金を払おうとしません。「お前がやったことは、せいぜい50ギルダーの仕事だな」とい言って、値引きをしようとします。
 すると、まだら男は「じゃあ、僕は別の曲を吹かせてもらうよ」と言って、帰りました。

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【画像】子供達1 nico_190811_03410.jpg
【画像】子供達2

 別の日に、まだら男が笛を吹くと、今度は街中の子供達が集まって、親がどんなに止めようと、このまだら男の後について、街から消えてしまったんですね。
 まだら男は子供達をコッペン山に連れて行きました。すると、コッペン山が2つに割れて、子供達を飲み込んで、その後でまた閉じてしまったんです。

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【画像】泣く子供

 後には、ついて行けなかった足の悪い子供1人だけが残されたんですけど。しかし、助かったにも関わらず、その子供は「ついて行きたかった!」と、それから一生、泣き続けた、と。
 「2つに割れた山の向こうには、毎日が楽しくて、果物が豊かに実る、この世の楽園があったのだ」というのが、この『ハーメルンの笛吹き』という童話なんですよ。

・・・

 これ、実は、おとぎ話じゃなくて、実話だったんですよね。
 そして、事件から700年後、この『ハーメルンの笛吹き』が実話だということ、そして、その真相を解き明かしたのは、ある日本人だったんですね。
 その日本人の名前は阿部謹也。中世ヨーロッパの専門家として、世界的に有名な研究者です。
(本を見せる。ちくま文庫『ハーメルンの笛吹き男 ―伝説とその世界』)

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【画像】ハーメルンの笛吹き男 ―伝説とその世界

 文庫本の方しかないんですけど。阿部謹也という人が、この『ハーメルンの笛吹き男』という本を出したことで……これがまあ、この人の出世作になったんですけど。「童話が作り話だと思われていたハーメルンの笛吹き男伝説の真相がなんだったのか?」「子供達はどこへ消えてしまったのか?」の答えが出たんです。
 「このお話は、歴史上に本当にあった事件だった」ということを知った阿部謹也は、意外な方法で調査を進めました。
 子供達は消えてしまったんですよ。子供達の足取りはわからない。
 でも、実は当時のハーメルンは水車がいっぱいあって、穀物がいっぱい穫れたんですよ。だから、ネズミに狙われたんですけどね。穀物がいっぱい穫れて、水車で小麦粉をいっぱい作っていた。つまり、豊かな街だったんです。
 そんな街ですから、市民の中には政治力を持つ親もいっぱいいた。そういう金持ちもいっぱいいた街の中で、子供達が消えてしまったので、親も必死で探すわけですね。
 そういった記録や情報というのが、原題でも残っている、周辺の街や村の公文書館、つまり市の公式の書類が保管されているところから、どんどん出てきたんです。
 そういった記録を読み解きながら、「事件の20年後、50年後、100年後くらいから、実はこんな話があったんだ」ということを調べて、それを繋ぎ合わせた結果、「ハーメルンの街で一体何があったのか? この子供達に何があったのか?」というのが、徐々に徐々に解るようになってきたんです。
 そして、「ついに、ドイツを超えてポーランドで、消えた子供達の子孫が見つかった」と。ここまで話は行きます。

・・・

 ……ただし、残念ながら、無料放送はここまでです(笑)。
 この続きは、後半です。これ、話がどんどん複雑になってくるので、後半では、まとめとかを入れながらやらないと、結構キツいんですけども。
 すみませんね、いいところで止まって。

 次回、8月18日のニコ生は過去の再放送回なんですけど。
 とりあえず、アンケートだけ出してください。
 まだこれでレジュメが15枚目です。本当に、今日もレジュメがメチャクチャあるんですよ。
 アンケートの答えを出してください。……はい、ありがとうございます。まあまあ、「ちょっと怖い話」だから、こんな程度なんですけども。

 来週は「『シン・ゴジラ』と核兵器」の全長版です。有料版も特別に無料公開します。
 単なる再放送でなくて、最初と最後に録画メッセージを入れるので、お楽しみください。

 それでは、有料の方に切り替えてください。


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