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「【ガンダム講座 第 10 回】ミノフスキー粒子とリアルな戦争との関係」
もともと、富野監督が『ガンダム』を作った時に「嫌だ」と言っていたのが、当時のロボットものにあった ”ウソ” です。
でも、『ガンダム』というのは、もうちょっと現代の技術というのをちゃんと取り入れたものにしたかったので、こういったミノフスキー粒子というのを考えたんです。
たとえば、第12話「ジオンの脅威」では、新兵器の投入による戦争の変化を見せています。
いわゆる、第1次大戦における戦車みたいなものを出しているわけですね。
しかし、それがジャブロー防衛戦とか、ジオンの宇宙要塞ソロモンの攻略戦においては、第2次大戦のノルマンディー上陸作戦のような、いわゆる事前準備が全てを決めるというような戦争の描き方をしています。
「ロボットアニメでもここまで表現できるんだ!」という視点で、ストーリー展開の中で、19世紀から現代戦におけるまでの現実の戦争の進化というのを、徐々に徐々に出していってるんです。
あれと同じように、実は富野アニメって、歴史とか戦争というのを視聴者に教えようとする、そういう教育的な部分があるんです。
でも、それぞれの哲学なり歴史観というのを、本編の中に上手く入れ込みながらやっているというところが、ちょっと面白いところでもあります。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/06/18
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「【ガンダム講座 第 10 回】ミノフスキー粒子とリアルな戦争との関係」
もともと、富野監督が『ガンダム』を作った時に「嫌だ」と言っていたのが、当時のロボットものにあった ”ウソ” です。
1979年、『ガンダム』が放送された当時、最新の戦争というのは米ソ冷戦、別名 “ボタン戦争” でした。
(中略)
見えない敵をレーダーで補足して撃ち、それが当たると、敵は自分の見えないところで爆発して消えていきます。
勝敗は、敵に出会う前に決まるわけです。
「敵を戦闘機の照準の中に入れて、撃て~」というような、いわゆる僕らが知っている飛行機同士の戦いというのは第1次大戦のものなんですよ。
ところが、『ガンダム』がオンエアされることになった時、スポンサー筋の玩具会社とかが望んでいたのは、そうじゃない。
当たり前ですけど、もっとわかりやすい19世紀までの ”英雄の時代” の戦争とか戦闘をやって欲しかったわけです。
当たり前ですけど、もっとわかりやすい19世紀までの ”英雄の時代” の戦争とか戦闘をやって欲しかったわけです。
ロボット同士がお互い地平線の向こうからミサイルを撃ち合って、敵がやられたかどうかはレーダーの中に映る “ブリップ” といわれる光点がフッと消えることでわかる、みたいなしょーもない戦いを見せてもしょうがないわけですから。
そこで富野さんは、“ミノフスキー粒子” という設定を発明して、『ガンダム』という世界の中の戦争を一気に19世紀まで押し戻すことに成功したわけです。
ミノフスキー粒子というのは、まあ、レーダーや通信電波が使えなくなってしまう宇宙空間の煙幕みたいなもんです。
これ以上の説明は、「ミノフスキー粒子」で検索したら、いくらでも細かい話が出てきます。
そこに書いてあるのは、基本的には疑似科学であって、たとえば「ガンダムの続編のこれでは、こういうふうに応用されている」みたいなことがいっぱい書いてあるんですけど。
そこに書いてあるのは、基本的には疑似科学であって、たとえば「ガンダムの続編のこれでは、こういうふうに応用されている」みたいなことがいっぱい書いてあるんですけど。
ただ、『機動戦士ガンダム』の中では、ミノフスキー粒子というのは、いわゆる煙幕みたいな使い方をするんですね。
これによって、宇宙船というのは、基地と連絡が取れなくなります。
いわゆる電波妨害ですから、通信ができなくなるわけですね。
その結果、戦艦同士の戦いも、一気に帆船時代の戦いに戻ってしまう。
いわゆる電波妨害ですから、通信ができなくなるわけですね。
その結果、戦艦同士の戦いも、一気に帆船時代の戦いに戻ってしまう。
通信が使えちゃった場合、宇宙戦艦がすぐにお互い通信できたり、本国と連絡を取り合えてしまって、お話としてなかなか進みにくいので、一気に戦艦同士がお互いに通信できないような状況に持っていくわけですね。
もちろん、レーダーもあまり使えないので、攻撃手段として誘導ミサイルを使えない。
イコール、モビルスーツで近くまで行って、強い武器で敵を叩くという、19世紀っぽい戦いに出来たんです。
イコール、モビルスーツで近くまで行って、強い武器で敵を叩くという、19世紀っぽい戦いに出来たんです。
ロボットアニメの作り手にとっては、誠に都合のいい設定です。
『ガンダム』は、このミノフスキー粒子という設定で、ロボット戦争を19世紀の英雄の時代までいきなり引き戻すことができたんですね。
もちろん、他のロボットアニメも英雄の時代っぽいことをやってます。
でも、それは、まあゴジラのところでも話したんですけど、もう何も考えずに巨大ロボットを、まるで怪獣みたいに扱ってるだけなんですね。
でも、それは、まあゴジラのところでも話したんですけど、もう何も考えずに巨大ロボットを、まるで怪獣みたいに扱ってるだけなんですね。
でも、『ガンダム』というのは、もうちょっと現代の技術というのをちゃんと取り入れたものにしたかったので、こういったミノフスキー粒子というのを考えたんです。
しかし、ストーリーが進むにつれて、『ガンダム』の中でも、戦争の描き方というのが変わっていきます。
たとえば、第12話「ジオンの脅威」では、新兵器の投入による戦争の変化を見せています。
いわゆる、第1次大戦における戦車みたいなものを出しているわけですね。
イギリスのベルファスト攻防戦では、“水中モビルスーツ” というのを登場させた。
これもやっぱり新兵器の投入であり、ここら辺は第1次大戦っぽい描き方なんですよ。
これもやっぱり新兵器の投入であり、ここら辺は第1次大戦っぽい描き方なんですよ。
しかし、それがジャブロー防衛戦とか、ジオンの宇宙要塞ソロモンの攻略戦においては、第2次大戦のノルマンディー上陸作戦のような、いわゆる事前準備が全てを決めるというような戦争の描き方をしています。
そして、ソロモンを落とした後、ジオンの新兵器 “ブラウ・ブロ” とか “エルメス” による超遠距離攻撃というのは、当時、最新だったベトナム戦争や米ソ冷戦時代の出会わない戦闘、お互いが見えない距離から撃ち合う戦争というのを見せている。
こんなふうに、ロボットアニメしか見ない子供達に「現実の戦争というのはこうだ!」というふうに教える。
「ロボットアニメでもここまで表現できるんだ!」という視点で、ストーリー展開の中で、19世紀から現代戦におけるまでの現実の戦争の進化というのを、徐々に徐々に出していってるんです。
こういったものを、ストーリーの話数の展開によって見せていったところが、教育的に見た場合の『ガンダム』というアニメが果たした役割であるんですよ。
ジブリとか宮崎駿のアニメって、自然とか日本の民族文化というのを教えようとしますよね?
あれと同じように、実は富野アニメって、歴史とか戦争というのを視聴者に教えようとする、そういう教育的な部分があるんです。
もちろん、ジブリアニメは宮崎駿の自分勝手な哲学ですし、富野アニメは富野由悠季の自分勝手な哲学なんですけど。
でも、それぞれの哲学なり歴史観というのを、本編の中に上手く入れ込みながらやっているというところが、ちょっと面白いところでもあります。
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今夜のニコ生は
20:00~ 「機動戦士ガンダム完全講義」 です。
6月19日(水) 20:00~ 「機動戦士ガンダム完全講義〜第12回」
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お楽しみに!
いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
だから僕は、質疑応答が大好きです。
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