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今回は、ニコ生ゼミ6月2日分(#284)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【大人が楽しむゴジラ映画 その2 】 君にピッタリのゴジラ映画はこれだ!」
これを見る前の予習として見てもいいですし、見た後の復習として見てもいい。
そんな映画のことです。
まあ、絞りに絞って「これだけは見ましょう」という話をしたんですけども。
今回の『キング・オブ・ザ・モンスターズ』も、ほとんど全てのゴジラ映画から「ここも引用してますよ?」というシーンがバンバン入っているので、本当は全部見た方が楽しいんですよ。
しかし、正直それはシンドいです。
なので、2014年の『GODZILLA』と『キングコング』を見るのが望ましいくらいなんです。
あなたにピッタリの怪獣映画は?
というふうなことで、今回、ちょっと考えてみたんです。
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初代ゴジラの顔はモンスターっぽいんですね。
なぜかというと、この全身のトゲトゲというのは、実は水爆実験の時に皮膚が焼けただれたケロイドなんですよね。
もともとは、たぶん、ツルツルの肌をした水性爬虫類だったんですよ。
だから、顔にあるデコボコというのは全部、火膨れなんですね。
そんなデコボコした肌と、耳がついているという怪獣が初代ゴジラです。
なかなかいい顔してます。
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キングコングとの差を出すために、顔がトカゲ型になっています。
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この辺から、ゴジラの顔というのが、ちゃんと出来てくるんですね。
3作目はトカゲの顔。
そして、4作目でハッキリと眼球が大きくなって、キャラクターになっていきます。
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目がハッキリと大きくなっていますね?
これ『怪獣大戦争』とか『総進撃』辺りのソフトビニールなんですけど。
をみんなが掴みだした。
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イグアナのオバケになってるんですけども。
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「ああ、こういう解釈もあるのか」という形になっています。
マッチョ体系になってきました。
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表面処理が筋肉の塊みたいになっていて、やや獣っぽいんですけど、マッチョで筋肉を強調したデザインになってます。
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基本的なプロポーションは変わらないんですけど、何が違うのかと言うと、2014年のヤツに比べて、背びれの発光がハッキリしているということ。
太ももの辺り。
前のゴジラは筋肉を強調していたんですけど、今回のゴジラは、太ももの表面に段差が浮き出しています。
ゴジラの肉のたるみからオヤジ感が出てきて、ちょっとヒーローっぽくなっているんですね。
前作の筋肉を強調した恐竜っぽいデザイン、前のやつはしっぽも筋肉質なんですけど、最新版の方は、ややキャラクター処理がされている。
そういうところが違うと思います。
だから、今、見た顔の中に気に入ったのがあったら、そのゴジラを見るのでもいいわけですね。
このジャンルについては、それぞれのポスターを見ればわかります。
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これが一番最初の『ゴジラ』です。
1954年版の “初代ゴジラ” というやつですね。
実は、この “怪獣映画” というジャンルがまだ存在しない時代に作られた最初のゴジラというのは、ホラー映画なんですね。
いわゆる『リング』みたいなものだと思ってください。
巨大な貞子が恨みを持って出てくるような映画なんですね。
宮崎駿は「この『ゴジラ』を弟と一緒に映画館で見たんだけど、ゴジラが最初に山の向こうからヌッと顔を出す時に、映画館中の大人達の顔がうわっと仰け反った」と言ってます。
つまり、ものすごく怖かったんですよ。
そういう感覚って、今、ないですよね?
今、ゴジラ映画を見る時って、急に目玉がアップになるとか、急に何かが現れるというようなシーンでない限り、みんなビックリしないんですけど。
そのゴジラ初登場のシーンって、本当に「ロングショットで山の稜線が見えていて、その向こうにゴジラの顔がヌッと出てくる」というだけの、すごくシンプルなシーンなんですけど。
それでも、映画館中の大人が「うわーっ!」というふうに後ろにのけぞった、と。
そして、それを見ていた宮崎駿は「うわーっ、おっかねえ! 大人もみんな怖がっている! と思った」と言うくらい、怖いシーンだったんですね。
だから、本当に怖がってくれるかどうか、円谷英二を始め、本多猪四郎始め、スタッフはビクビクものだったんですけど。
やってみたら、社内の全員が、試写を見た瞬間「あそこが怖い」と言った、と。
ゴジラが銀座の街を壊して通った後、そこにいた人達はみんな放射能障害で運ばれて、どんどん病院で死んでいくんですけど、これもですね、祟りなんですよ。
そういった祟りがある、怖い、人間では殺せない存在。
そういったホラー映画みたいなものが好きな人は、最初のゴジラを僕はオススメします。
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もうね、このポスターでも、主役の怪獣であるはずのキングコングやゴジラよりも、下の方に描かれている人間の顔の方が大きくなってくる。
これ、何かと言うと、ドラマの方にお話の重きをおいてるってことなんですね。
この『キングコング対ゴジラ』というのは、「この人間達の思惑はどうなるのか!? 最終的にキングコングが勝って、主人公のパシフィック製薬の売上が上がるのか!? それとも、ゴジラが勝ってパシフィック製薬の売上が下がるのか!?」という、大コメディ映画でもあるんですね。
マニアからの評価はものすごく高くて、みんな「『キングコング対ゴジラ』を見ろ!」って言うんですけども、まだ見たことのない人は、別に見なくても大丈夫です。
見た方が良いのは、唯一、僕みたいな “マニアのオッサン” が近くにいるような人。
そういう映写会だったら見てください。
メチャクチャ楽しいです。
「マニアと見ると、こんなに楽しい映画はないぞ!」というくらい、一緒になって笑っていると笑いどころがわかるんですよね。
なので、マニア向けです、本当に。
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こういうやつは初心者向けで、すごく良いんですよ。
これ、オススメです。
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『三大怪獣』と比べると、キングギドラ2回目の登場ですから、ポスターの怪獣のサイズが小さくなってますよね。
つまり、その分「怪獣少な目、人間多め」になっているんですけども。
実はこの『怪獣大戦争』という映画が、今回の『キング・オブ・ザ・モンスターズ』の元ネタなので、これも見て頂けるといいと思います。
なんで忠臣蔵なのかといったら、敵の宇宙人が “キラアク星人” というんですけども…
…まあ、忠臣蔵の吉良上野介の「キラ」と、悪いヤツだから「アク」で、キラアク星人なんですけど。
最後には「俺たちを操りやがって! キラアク星人め、仕返しをしてやる!」と言って、怪獣たちがなぜか富士山麓に大集合して、キラアク星人の本部に殴り込みをかけるという、本当に怪獣忠臣蔵なんですよ。
『キング・オブ・ザ・モンスターズ』って、なんか設定が複雑で、いろんなものが出てきたりして、時々ストーリーを見失いそうになるんですけど。
この2作品を見ておいて「要するに、これか」って考えられれば、すごく見通しがよくなるのでオススメです。
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もう、この頃になってくると、ポスターに描かれる人間がものすごく小さくなっています。
つまり「初心者にもわかりやすい」ということですね。
ゴジラと、あとはヘドラという、わけのわからない怪獣が大きく描かれています。
笑えなくて、ただただ不思議で「なんじゃこりゃ?」な感じが、映画の頭からお尻まで延々と続くんです。
『ゴジラ対ヘドラ』って、有名な割りに見たことがない人が多いんですね。
この説明だったら、まるで “笑えそうな映画” に聞こえるんですよ。
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ところがいざ見てみると。
それよりは「富士山麓100万人ゴーゴー大会って言ってるのに、なんで30人しかいないの?」とか、おかしいんですよ。
でも、なんか、そのおかしいんだけど、笑わせようとしていないという、ひたすら不思議な映画なところが、この『ゴジラ対ヘドラ』の魅力です。
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これね、案外良いんですよ『ゴジラの息子』って。
藤子・F・不二雄的で。
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これが普通というか、まだ良い方なんです。
『E.T.』という映画を作る際、スピルバーグは、E.T.のデザインについて、あえて醜く指定したそうです。
どれくらい醜いかというと「彼の母親しか愛せないくらいの醜さで作ってくれ」と言ったそうなんですけども。
もう、これ「母親でも無理な感じ」なんですよ。
ところが、そんなゴジラの息子に、なぜか癒やされるんですよね。
「怪獣映画の本質だな」と思います。
怪獣映画の本質というのは何かというと、言い方は悪いですけど「そんなに真面目に見るものじゃない」ということです。
そんな真面目に見たり、語ったりするもんじゃない “ゆったり感” というか、 “許される” ということが怪獣映画の本質なんですけど。
何回やっても吐けない息子を見て、ゴジラがしっぽをグッと踏むと、その勢いでバーっと口から火が出るんですけど、その時の目の剥き方がとんでもなくブサイクですから、ここだけでも見てください。
今だったらAmazonプライムで無料で見れますから。
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