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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/05/08
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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2017/06/11放送の『ニコ生ゼミ』
のハイライトをお届けします。


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 中世のヨーロッパはどんなところだったの?
 

 ゴシックの建物が出来たのが、さっき言った通り、12世紀から14世紀です。

 では、その前の11世紀ごろの時代というのは、どんな世界だったのか?

 11世紀のヨーロッパというのは、500年前に西ローマ帝国が滅んで、ヨーロッパ全体がゆっくりと緑に埋っていった後の世界ですね。

 ちょうど『ナウシカ』で言えば、文明社会が終わってすべてが滅びていっているような時代だと思ってください。

 本当にね、ナウシカって、実はこの中世の暗黒時代というのをモデルに描かれているんですね。

 なので、森に埋もれて死につつあったんですよ。


 ヨーロッパって、基本的に高い山がないんですね。

 平地ばっかりなんですよ。

 その平地に、もう本当に、森がダーッとどこまでも続いていく。

 日本には目印になる山が多いので、「こっちに高い山がある」って、森の中でも方向感覚がわかるんですよ。

 ところが、平地の森というのは、全然方向感覚がわからないんですね。


 おまけに、そのほとんどが針葉樹じゃなくて、広葉樹。

 葉っぱが広いタイプの木なんですよ。

 高さがだいたい30m~50mくらいの木の上に、広葉樹の葉っぱがぎっしり茂ってるから、本当に夏でも真っ暗なんですね。

 そして、冬にはそれが全部落ちるんです。

 広葉樹が全部落ちるとどうなるのかっていうと、腰まで雪が積もった雪道は歩けないのと同じように、腰の高さまで枯葉が積もってしまって歩けなくなってしまう。

 冬は歩けないし、秋も歩けないという、とんでもない場所だったんですね。

 その他にも、森の中には、盗賊とか、追いはぎとか、オオカミがいるんですね。


 僕、いろいろ考えたんですけども、オオカミというのは、人間を捕獲して食う捕食獣ですよね? 


 そういう捕食獣が文明社会の近くにある状態っていうのは、世界中を見渡しても、ほとんど例がないんですよね。

 なので、中世ヨーロッパというのは、世界の歴史の中でも珍しい「捕食獣が近くにいながら、それでも森の中に住まざるを得ない」という、なんかすごい珍しい環境でした。


 森がひたすら続いていて、その所々がポツリポツリと穴ぼこみたいに空いていて、そこに村があるんです。

 本当に小さい村です。

 村と村との間に交通路が全然ないんですよ。

 道も全然ない。


 もちろん、ローマの時代には街道も敷かれていました。

 「当時の中世ヨーロッパ世界の中で、唯一直線的なもの」って言われてたんですけど。

 そのローマ街道というのはすべて、さっき言った広葉樹の葉っぱとか土とかで埋まってしまって、見えなくなっている。

 なので、村と村の間を繋ぐ手段がない。


 たまに、落ち葉の間からローマ街道の跡が見つかることはあります。

 それをひたすら辿っていったら、ローマ時代の都市は残ってるんです。

 でも、その都市は人が誰も住んでいないゴーストタウンなんですね。


 文明の頂点だったローマ時代に作られた高架水道とか敷いてあるんだけど、その水道はとうに壊れてしまっていて、もう人が住めない都市、廃墟としてしか残っていないんですよ。

 そういう都市の跡地に住んでいた人間は、だいたい100人から200人だったと言われています。

 元々は「ローマの大都市」だった場所ですよ?

 インフラが壊れたと言っても、周りをすべて城壁で囲ったローマの大都市。

 にも関わらず、平均人口が大体100人とか200人くらいと言われるくらい閑散としていた。

 じゃあ、誰がそこに住んでいるのかというと、ローマ帝国末期に国教となったキリスト教の人達なんですね。

 キリスト教の取り決めによって「各都市の中心に司教を置かなければいけない」と決まったから。


 司教というのは「神父さんの中で偉い人」のことですね。

 500年前のルールに則って、司教とその取り巻きだけが、なんとか餓死しない程度に暮らしているっていうのがその当時の都市の姿だったんです。


 「中世」と聞いて僕らが思い浮かべるのは、なんかファンタジーもので読むような「村があって、そこでは農業をしてて、それとは別に都市があって、そこには人がたくさんいて」という世界を想像するじゃないですか?

 とんでもない!

 中世の都市というのは、昔のローマ帝国時代に作られた石造りの建物があるだけのゴーストタウンで、100余人しか住人がいないという、どうしようもない環境なんですね。

 そりゃもう「暗黒の中世」とか言われるわ!(笑)
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