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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/19
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おはよう! 岡田斗司夫です。

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 ロボットアニメの歴史に残る名戦闘シーン 『機動戦士ガンダム』より

第19話「ランバ・ラル特攻!」


 ついにロボット同士、1対1の決闘シーンです。アムロが操縦するガンダムと、ランバ・ラルが操縦するグフとの一騎打ち。

 わずか50秒ですが、ロボットアニメの歴史に残る、歴史を変えた戦闘シーンだと思います。

 まず、18分25秒のシーン。

 ランバ・ラルの見た目です。

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 ガンダムは、左手に盾を持ち、右手にサーベルを抜いて持っています。

 音楽スタート!

 アムロのガンダムの構えを見て、ランバ・ラルのグフは構えを変えます。


 ランバ・ラルのグフが、ゆっくりとヒートサーベルを抜きます。

 18分28秒。

 3秒かかって抜くから、かなりゆっくりです。

 抜いたと思ったら、左手に持っている盾を捨ててしまいます。


 それまではガンダムと同じように左手に持っていた盾を、ラルは捨てるわけです。

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 http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/a/a/aadc1387.png


 29秒。

 そのまま、グーッと態勢を落とします。


 頭の位置が落ちたのがわかりますか?


 頭の位置と腰の位置が落ちて、ヒートサーベルを両手で斜め正眼に構えます。

 いわゆる ”正眼の構え” を斜めに崩してるんです。

 盾を捨てて、両手構えにしたのです。


 サーベルがガーッと輝きだして熱を持ったのがわかる。

 ここまでで31秒。

 6秒間かけてこのグフの姿勢変更をやってます。


 コレ、実は、薩摩示現流です。

 ランバ・ラルは薩摩示現流という剣法を使ってるんです。


 薩摩示現流は 「一の太刀を疑わず」 という精神です。

 「二の太刀いらず」 と考えます。

 一の太刀を髪の毛1本でも早く振り下ろせって教えられるんですよ。


 初太刀、1番最初の太刀に勝負の全てをかけて斬るんです。

 先手必勝の強い斬撃、振り下ろしの強い落とし方っていうのが特徴なんですね。


 正直、モビルスーツの性能で言ったらガンダムの方が上なんですよ。

 それはもうランバ・ラルは十分に知ってる。

 モビルスーツ同士の一騎打ちならガンダムが上。


 最初、ガンダムは左手で盾を、右手に剣を持っている。

 最初はグフも同じ。

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 http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/9/2/92d9bacb.png


 これでは五分五分にはならない。

 モビルスーツの性能の差の分、ランバ・ラルのグフは不利です。

 だから、あえて盾を捨てて身軽になり、サーベルを片手ではなく両手で構えて頭を落として腰を下げる。


 つまり初太刀で勝負をつける。

 だから、もう盾はいらないという方式で戦おうとしてるんです。

 薩摩示現流の考え方です。


 グフの初太刀です。

 
 ガンダムは、盾を前に構えたまま走ります。

 ランバ・ラルから見た目のモニターです。

 ピピピッっていうふうに表示がでてます。


 恐らく、ガンダムとの距離計みたいなものだと思います。

 あと何秒でガンダムがこの近くに来るという。


 グフに比べてガンダムは巨大な盾を持っているだけ動きが遅い。


 それをランバ・ラルはこの時、パイロットの未熟と考えてしまうんですよ。

 これがランバ・ラルの後の敗因になります。

(中略)

 グフは、この初太刀に全てを込めて横方向に、バシッとなぎ払います。

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 盾ごとガンダムの胴体をぶった切るつもりだったんです。


 が、ぶった切ったのは盾だけ。

 ガンダムが目の前にいない。

 手応えがない。

 胴まで斬るつもりだったのに。


 ヒートサーベルって、ビームサーベルより劣った兵器なんですよ。


 ビームサーベルは、いわゆるレーザービームの塊みたいなものを剣のように振り下ろすんです。

 でも、グフが使っているヒートサーベルは、たかだか剣の表面温度が数千度くらいになるだけ。

 いわゆる熱い鉄の棒みたいなものなんです。


 それでも、両手で握って思っきり振ればガンダムの胴体を真っ二つにできるだろうと考えて、ランバ・ラルは真横に振ったんです。


 でも盾しかない。

 「なに!?」 と思うと、モニター掲示がパパパっと出てくる。

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 上から2コマ目のモニター表示を見てください。

 普通ロボットアニメにおいてモニターって、「戦闘は行われてますよ」 とか、「敵が来ますよ」 という、雰囲気を出すだめに、ここに数式とか数字がでてるだけなんですよ。

 この2コマ目もそうです。

 
 でも、4コマ目は違います。

 ロボットアニメで意味のあるかっこいい出し方というのを、たぶん初めてしたシーンです。

 僕ビックリしましたよ(笑)


 ここに赤い矢印が上を向いて、ピンピンピンと点滅するんです。

 本当に何秒かのことです。

 ピンピンピンと点滅して、「上!」 って注意してる。


 ランバ・ラルが 「なに!?」 と上を向くと、上からガンダムが来てる。

 ここまで18分50秒です。


 25秒から戦闘が始まって、ここが32秒、ラルのモニター40秒、ためてるでしょ?


 盾のみが切られてガンダムがいない、46秒。

 ピピピって50秒のところでランバ・ラルが上を見たらガンダムがいる。


 実は緩急がスゴイんですね。

 戦闘シーンとしたらすごく短くて、そこにいたるまでの溜めの時間とかが長く作られている。


 真上見ると、次はガンダムがもう上段も上段(笑)、大上段です。

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 薩摩示現流に対する、坂本龍馬(笑)。

 本当に真っ当な剣法、江戸道場みたいな真っ当な剣法で、切られた盾の影に隠れていたガンダムがバーンと飛び降りてくるんです。

 見たらわかる通り、両手で剣をつかんでるんですよ。


 実はガンダムも初太刀、一の太刀で全てを決めるつもりだったから、大上段に振りかぶって、両手で剣を持ってるんです。


 盾を、もうとっくに捨てていたんです。

 それでグフの真上から振り下ろすんです。


 コレを見てもわかるとおり、ガンダムも最初の太刀でグフを倒すつもりだったんですよ。


『機動戦士ガンダム』第19話 『ランバラル特攻』より

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