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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/09
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今回は、ニコ生ゼミ7月1日(#237)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【テレビでは教えてくれない『スター・ウォーズ』の話 1 】 本当は10倍ヤバいルーク・スカイウォーカー


 というわけで、ここからは「テレビで教えてくれない10倍ヤバいルーク、レイア、ハン・ソロ」という話をお届けしようと思います。

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 これは、今言った『スター・ウォーズ』の主演3人です。


 みんな、なかなかいい顔をしてる写真なんですけども。

 まずは「10倍ヤバい ルーク・スカイウォーカー」の話から行きましょうか。


 さっきも話した、ローリング・ストーン誌に載ったマーク・ハミルのインタビューが、ものすごいんですよ。

 では、なにが書いてあったのかというと、とにかく 「いかにハリソン・フォードが撮影現場をシメていたか」 という話なんですね。

 だからといって、「シメる」 と言っても、番長みたいに恐怖でシメていたという意味ではないんです。

 あらゆる俳優さんを決めるオーディション会場にハリソン・フォードが居て、みんなを見てたんですって。


 ハリソン・フォードというのは、かなり初期のうちからハン・ソロ役に決まっていて、オーディション会場でも、ずーっと腕組んで 「あいつ、いけるよ」 とか言ってたそうなんですよ。

 おまけに、監督のはずのジョージ・ルーカスが、あまりに目立たないもんだから、オーディションを受けに来た人は、みんなハリソン・フォードが監督だと最初は思っていたそうです。


 その次に、「いや、違うよ。ハリソン・フォードは役者だ」 と聞いた後でも、「ああ、彼が主役なんだ」 というふうに思っていた、と。

 主役に決まったマーク・ハミルも、当時は完全にハリソン・フォードがこの映画の主役だと思ってたんですよ。

 「 “ルーク・スカイウォーカー” という名前の役を貰ったんだけど、僕は『キャプテン・アメリカ』におけるバッキーみたいなもんだと思ってた」って言ってるんですね。

・・・

 マーク・ハミルは 「撮影オーディションの時も、自分はあまり目立たなかったし、ジョージ・ルーカスもこちらを見もしなかった」 と言ってたんですよね。


 彼は当時、他にもTVシリーズのチョイ役とかをやっていて、ロサンゼルスの海岸沿いにワンルームのアパートを借りてたそうなんです。

 海が見える、ワンルームのすごい狭いアパートだったんですけど。

 いろんなオーディションを受けても全然通らないから「もうダメなのかな」と思っていたそうなんですけど。

 「いや、30になるまで頑張ろう!」 みたいな感じで、来る日も来る日も、いろんなオーディションを受けたり、チョイ役やエキストラをやったりしてたんです。


 すると、そんな中、いきなりドサッと荷物が届いたんです。

 何かと思ったら、それが 『スター・ウォーズ』 の脚本だったんですよ。

 「ルーク役に決まった」と言われたルークは、てっきり「ああ、やった! あのカッコいいハリソン・フォードさんをお助けする役だ!」 と思って、ページをガーッとめくったら、自分が主役の脚本なんですよ。

 マーク・ハミルは「あの日はもう忘れられない」と語っています。


 脚本をずーっと見て行く中で、自分が本当に主役なんだとわかった時、目の前がいつの間にか夕方になっていて、カリフォルニアの海に日が沈んでいた。

 『スター・ウォーズ』 で、タトゥイーンの夕日を見ながら、ルーク・スカイウォーカーがすごく感慨深い顔をするというのは、やっぱり、こんなことがあったから。

 「それまで認められなかった自分に、ついにチャンスが来た。でも、本当にこんなものすごい予算が掛かった大作映画の主役が自分に務まるかどうかわからない」 と思って夕日を浴びていた。

 「その思い出が忘れられなかったから、ああいう演技になった」 と言っております。

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 まあまあ、撮影の風景はこんなもんなんですよ。

 もう完全に “兄貴とガキ2人” なんですよね(笑)。


 もうこれは、本当にみんな、ハリソン・フォードの後を、金魚のフンみたいに、ずーっとついて歩いていたそうなんです。

 自分がルーク役をすると聞いて、マーク・ハミルは 「マジかよ?」 って言ってたそうなんですけども。

 キャリー・フィッシャーとマーク・ハミルは、ハリソン・フォードに憧れて 「演技とは何か?」 とか、「映画に出るとはどういうことか?」 を学んでいたそうです。

 ハリソン・フォード自身、実はかなり長いキャリアがあるので。

 まあ、半分くらいは仕事がなかったんですけども。

・・・

 実は、マーク・ハミルがルーク・スカイウォーカー役として選ばれた理由は、ジョージ・ルーカスによると 「誰も顔を見たことがないから」 だそうなんですよ。

 つまり、「売れない役者だったから」 なんですね。


 ルーカスとしては、「誰も見たことがない全く新しい役者ばかりで映画を撮りたい」 と思っていたんです。

 彼にだって、マーク・ハミルの演技が下手なのはわかってたんですよ。


 それどころか、ラストシーンの近くで、デス・スターを爆発させたルークがXウィングから降りて「みんなー!」って再会するシーンで、駆けてきたレイア姫に対して、本来の役名である「レイア!」ではなく、「キャリー!」って、レイア姫を演じている女優の名前の方を言っちゃってるんですね。

 それを聞いて、ジョージ・ルーカスは大喜びで採用したんですよ。

 上から 「レイア!」 ってボイスオーバーをすることもなく。


 今、Huluなんかで『スターウォーズ』が見れる人は、ぜひ見てください。

 クライマックスを英語版で見ると、レイア姫と抱き合うルークは、きっぱりと 「キャリー!」 って言ってますから(笑)。


 言い終わった後、マーク・ハミルは間違いに気づいて顔を伏せて照れたんですけども。

 その後、すぐにハリソン・フォードが来てくれて、そのままハン・ソロとガシッと抱き合ってごまかしてるんです。


 では、なぜ、ジョージ・ルーカスはこれを採用してたのかというと、彼は、こういうものをこそ求めていたからなんですね。


 “上手い役者による完璧な演技” ではなく、本当にその場にいる気になって欲しい。

 「自分はルーク・スカイウォーカーである」ということを本当に信じて、それを演じているマーク・ハミルというものが完璧に消え去って、ただルーク・スカイウォーカーだけがいる状態であって欲しい。

 その時には、もう、レイア姫の名前を忘れてしまっても構わない。

 それよりは、「あ!キャリー・フィッシャーだ! キャリー!」と思わず叫んでしまった時の、喜びや安堵といった感情を優先したい、と。


 ジョージ・ルーカスというのは、映画の全てをコントロールしたがるので、ついつい俳優に関しても完璧な自分のプラン通りのものを望む人に見えるんですけども、実はアドリブが大好きなんですよ。

 『アメリカン・グラフィティ』でも、冒頭、ベスパに乗った主役の1人が、ブワーッと走ってきて、ベスパをドライブインの前で停めて降りるというシーンがあるんですけど。

 俳優がオートバイの乗り方をよく知らなかったために、そのまま壁にツッコんで、ゴテンって転ぶところを、本編で そのまま採用してたりするんですよね(笑)。


 こんなふうに、NGシーンを採用することが多い。

 それくらい、現場のノリの方を大事にするような人なんです。


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