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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『パシフィック・リム』解説 1 】 ロボット版 “印象派絵画” のような作品」

2018/05/21 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/05/21
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今回は、ニコ生ゼミ5月13日(#230)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【『パシフィック・リム』解説 1 】 ロボット版 “印象派絵画” のような作品


 さて、今回、テキストに使うのは『パシフィック・リム』です。

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 2013年に制作されたハリウッドのSF大作。一昨日の金曜ロードショーでオンエアされました。

 制作費は1億9千万ドル。
 ですから、ほぼ200億円くらいです。

 200億円というと「すごいな」って思うんですけども。

 これ、ハリウッド映画の歴代の予算ランキングでいうと、せいぜい30位 程度なんですね。
 ベスト10とかベスト20に入らないくらいなんですけど。

 ただ、ロボットSF実写モノとしては破格の予算ですね。

・・・

 この映画は、巨大ロボットというものを考える際に、最高に使える映画だと思います。

 なぜかというと、監督のギレルモ・デル・トロという人は、日本のアニメ特撮の大ファンなんですよ。

 
 この人は、もともとはメキシコの出身なんですけど、子供の頃に放送されたり、ビデオ屋に並んでた日本のアニメや特撮、漫画を見て、もう かなりのファンになっちゃったんですね。

 有名な話としては、「8歳の時に、かなり離れた街までバスに乗って行って『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』を見た」というくらいですから、まあ、マニアックなんですよ。

 つまり、僕らが考えている「ああ、メキシコに住んでて、日本の作品が好きなんだ」というイメージから、2つ3つ桁が外れたマニアックさなんですよね(笑)。


 本当に、「今この放送を見てる人の中に『サンダ対ガイラ』を実際に見た人は何人いるんだ?」という話になるんですけど。

 そういう意味で、『パシフィック・リム』の中には、そういった日本人ですら忘れかけている怪獣とか巨大ロボットに対するリスペクトが、ギチギチに詰まってるんですよね。

・・・

 これは、さながら「江戸時代の日本の浮世絵が19世紀のヨーロッパで評価され、印象派絵画という形で逆に日本に帰ってきた」という現象にすごく似てると思うんですよ。

 まあ、もちろん、みなさんも当たり前のように知っていることでしょうけども、一応 確認のために話します。

 浮世絵というのは、江戸時代の日本ではそんなに高級なアートではなくて、どちらかというと安物の、包み紙として使ったり、もしくは切り取ってシールとして障子とか襖の破れていたところに貼ってた程度のもので、生活用品の一部だったんですよ。

 そうですね、“アニメージュについているポスター” 程度の感覚だと思ってください。

 そんな「ちょっと気が利いてるな」と思ったら買ったりするようなものだったんです。


 しかし、それがヨーロッパに流れて、当時の画壇に大きな影響を与えました。

 このヨーロッパに流れることになった原因というのも、ヨーロッパでウケてる日本の瀬戸物を包むための梱包紙として浮世絵を使っていたら、「これはなんだ!?」ということで注目されるようになったという伝説があるくらいなんですけども。

 その結果、ゴッホ、モネ、ルノアール、あとはセザンヌという、後に印象派と呼ばれる画家たちに影響を与えました。

 特に、ゴッホなんて、ものすごい貧乏だったんですけども、その貧乏生活の中でも浮世絵のコレクションというのを100枚くらい持っていたと言われていて、ついには模写まで始めてしまいます。

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 これは、ゴッホの模写なんですけど。

 これ、俺のすごい好きな絵なんですよね。歌川広重の江戸百景のうちの1つを手に入れたゴッホが、油絵でとしてキャンバスにメチャクチャそっくりに模写をしたという絵が残っているんです。

 それくらい、ヨーロッパ画壇に大きな影響を与えて、それが別の形で日本に帰ってくるということがありました。


 『パシフィック・リム』というのも、こういう作品のうちの1つだと考えればわかりやすいのではないか、と。

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