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今回は、ニコ生ゼミ2月4日(#216)から、ハイライトをお届けいたします。
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「岡田斗司夫のドイツ旅行記3 “本当は色鮮やかなゴシック教会”」
僕が滞在したミュンヘンの中心地にあった有名な市庁舎は、ゴシック建築に見せかけた“なんちゃってゴシック”だったんですけど。
じゃあ、ニュルンベルグには本当のゴシック建築はなかったのかというと、ニュルンベルクに行ったら、本物がありました。
これは、ニュルンベルクにある “セントローレンツ教会” という建物です。
一応、壁の一部には平面的な部分も残ってるんですけど、全体的に狂ったような彫り込みで覆われています。
こういう攻め方がゴシックなんですよね。
この平面についても、一見するとただの平面な壁に見えるんですけど、これ、レンガの上に石の板を貼り付けたのではなく、ちゃんと石積みで作ってるんですよ。
ゴシック建築とは、本来、こういった狂ったような建物だと思ってください。
・・・
このローレンツ教会は、中もすごかったんです。内部はこんなふうになってるんですね。
僕らは、ゴシック建築と聞くと、古びて黒っぽいものばかりを想像しますけど。
あれは、長年ロウソクだけが照明器具だった時代が続いたおかげで、ススで黒くなっているだけなんですね。
このニュルンベルクのローレンツ教会は、珍しく、原色が残っているんですよ。
これが本当のゴシック建築なんですね。
僕らが思っている、「黒っぽくて地味でおどろおどろしい」というゴシック建築のイメージは、実は間違っているんです。
どちらかというと、家康を祀っている日光の陽明門みたいなものを想像してください。
あんなふうに、原色であったり金ピカであったりするのが、本来のゴシックなんです。
・・・
それはなぜかというと、ゴシック教会というのは、天上の世界を表そうとしているからなんですね。
「天国というのをこの世の中に再現する」というのがゴシックの教会のコンセプトなんですよ。
今の教会の様式というのは、聖書の世界を絵で表そうとはしていないんです。
「そういったイエスの教えというのは、聖書の中にあったり、あなたの心の中にあったり、信心にこそあるのです」という、19世紀以降の高度にモダニズム化・抽象化されたキリスト教しか、僕らは知らないんですよ。
しかし、11世紀から14,5世紀までの原初のゴシック教会の時代には、「天国というのは本当にあるんだ! それをわからせるためには、それにそっくりな場所をこの世の中に作るしかない!」という熱意で作ってるから、中がもう金ピカなんですよ。
これが、本当のゴシックなんです。
・・・
こういった教会が、ちゃんとニュルンベルクに残ってたので、僕はすごく楽しかったです。
ミュンヘンで、散々 偽物を見た後に、ニュルンベルクまで行ったら、本物があったんですよ。
でも、このニュルンベルクという都市も、大爆撃されているんですけどね。
連合国軍のドイツ国内の爆撃目標の第3位だったそうなんですけども(笑)。
このローレンツ教会も、屋根とかは完全に爆撃でなくなってしまって、今 残っている昔からの部分というのは、写真で見せた入り口だけなんですよ。
中は、戦後に復元したものしか残ってないんですけど。
まあ、そういうわけで、実は僕はドイツには4日間しか行ってないんですけど、4日間、こういうものばかり見て楽しかったです。
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