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「『シン・ゴジラ』の爽快感は俳優やプロデューサーのクリエイティヴを許さない作り方から生まれている」
まずは、昔のゴジラシリーズと同じように、「東宝」のテロップが流れる。
最近の東宝映画で、このマークをこんなに長い秒数で見せる作品は珍しいよね。
そして、初代の『ゴジラ』と同じ、「東宝映画作品」という製作会社名を一枚看板で出して、その後で「シン・ゴジラ」というタイトル。
その後の映倫のマークは、どうやっても入れなきゃいけないものだから、ど真ん中に小さく入れるという。これは、庵野の「映倫のマークを意地悪く入れる」という、いつものやつだよな(笑)。
ああ、やっぱり展開が早いよね。
漂流したボートの映像がまず流れて、そして「デッキに人はいません!」、「遺留物有り!」という台詞が続く。
これは「この靴の持ち主は自殺した」っていう印だね。
なんでこんな位置に靴を並べてるのかというと、船の後ろの方にこれを並べちゃうと、船内にカメラが入った瞬間に、ネタがバレちゃうからだ。
この辺から、「ある人が船から飛び降りて、そのおかげでゴジラが現れた」っていう因果関係が示されてる。
映画が始まってから、まだ2,3分だというのに、もう、ゴジラがドンと出てくる。
本当にテンポがいいんだよ。あらゆる映画って、これくらいのテンポでなきゃダメだと思うんだけど。
ナレーションとかがあったら、絶対に言葉を被せずに、セリフを言い終ってから0.5秒くらいの間を置いて次のセリフを入れるものなんだけど。
このセリフの入れ方は上手い。
このニコニコ動画みたいなカットも、セリフ、下のテロップ、画面上に流れるコメントっていう、情報量がとにかくすごいよね。
こういった圧倒的な情報量で緊迫感を生み出す画面作りは本当に上手いよ。
「延々延々、法律に振り回されて話が進まない」という場面で、その前提となっている条文を画面にバッと出すというのは、実はギャグなんだよな。
『シン・ゴジラ』では、とにかくアブノーマルな構図や、こういった見た目の移り変わりというのを最優先して画面を作っているんだ。
だから、今の、法律の条文がそのまま表示されるみたいな、見た目的に面白い場面を入れているんだね。
この総理の「防衛出動は大変だぞ!?」みたいな日本のドラマ的なセリフの言い方、僕はやっぱりダサイなって思うんだけど。
これを演じている俳優さんは、こういうの、すごく嫌がるよね。
演じている俳優としては、「悩んでいる中、決心する」というところまでをワンカットで見せたいはずなんだよ。
それが演技だから。
こんなふうに細切れにされると、演技なんて見せられないんだけども、ここでは細切れにしちゃってるよね。
つまり、「俳優を使い倒している演出」だというのが、ここでわかる。
俺はね、これが邦画の新しい形、映画の新しい形だと思うんだけど。
まあ、実際に演じている俳優としては、こういうのを嫌がるよね。
そして、カットが切り替わって「防衛出動を総理が宣言」というニュースが流れる映像に変わる。ここもいいね。
総理役の俳優さんが「では、宣言する!」みたいに、苦渋の決断を下すところは画面に映らないじゃん。
これも、やっぱり俳優としては、やりがいがない。
かわいそうにな、本当に(笑)。
お、CMになった。やっぱり面白いね。
この前、『関ジャム完全燃SHOW』を見てたら、ゴジラの音楽担当のプロデューサーの おばさん が出てたんだ。
みんな、もう『シン・ゴジラ』の話を聞きたくてしょうがないんだけど、でも、そのおばさんは、すごく言葉を濁すんだよね。
それはなぜかというと、『シン・ゴジラ』っていうのは、映画の音楽担当プロデューサーが、まるで仕事させて貰えなかった映画だからなんだよ。
というのも、これは今、世の中に出ている資料とかにも書いてるんだけど、現場では、とにかく庵野の演出は不評だったんだよね。
撮影の現場では、俳優から出てきた不満、スタッフから出てきた不満を、樋口真嗣が全部「まあ、まあ、まあ、」ってやってたんだけども。
「あんたらのそんなクリエイティブなんか要りません。ここは『怪獣大戦争』のまんまでいいです」とか、「ここは『エヴァ』の音楽を入れます」みたいに。
こういうことをすると、現場の管理職というか、間に入ってクリエイターとかを使ってる人らの仕事が、綺麗になくなっちゃうんだよね。
だって、日本の音響監督とか音楽監督とかって、ほとんど仕事なんかしてないんだから。
クリエイターと監督が直に打合せをすれば済むのに、間に何人も何人も偉い人が入ってくるから、ろくなものが出来ないというか、“間に入って手柄を取りたがるヤツ”が多いんだけども。
そこらへんを全部ぶっ飛ばしちゃったっていうのが、『シン・ゴジラ』を見ている時の爽快感にも繋がってると思うんだ。
そういう日本の俳優的な演技をバーンとやめさせるという、この作り方にも繋がってるよね。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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