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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/11/21
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今回の記事はニコ生ゼミ2016年8月7日よりハイライトでお送りします。


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 「『シン・ゴジラ』が映画界に与えた計り知れない影響とは何か?」


 『シン・ゴジラ』は、前も言ったんですけど、僕の中では、怪獣映画としては95点、映画としては65点です。

 一般映画としては、そんなによくないですけど、怪獣映画としては極めて優れている。

 で、『新世紀エヴァンゲリオン』の続編としては120点。
 これは前回から言ったのと数字変わらないです。

 そして、影響力で考えると、はかりしれないと考えています。

 日本の映画人、プロデューサーに、今まで何が足りなかったのかっていうのを考えさせる、すごい作品だと思うからです。


 まず、もう『アベンジャーズ』が成立しないっていうのを、言ってしまってるんですよ。


 それは『エヴァンゲリオン』以降のアニメが変わってしまったのと同じ。

 『機動戦士ガンダム』が登場した時に、子供だましのロボット戦争ものが駆逐されたのと同じような現象です。

 (中略)

 なぜ『アベンジャーズ』が成立しないのか。

 アベンジャーズの最近の作品、特に『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観ると、やっぱりちょっとおもしろくない。

 アメリカでどんなに興行成績が上がろうと、面白くないのです。

 それは『シン・ゴジラ』の逆だからです。


 冒頭で言った『シン・ゴジラ』の弱点とも言える感情移入できるキャラがいないっていうのは、逆に言えば「そんなに感情移入するキャラが必要ですか?」って問いかけにもなる。

 そんなに人間ドラマが、そんなに家族の結びつきが、そんなに自分の内面が必要ですか。

 おそらく『シン・ゴジラ』では、全く見えない牧五郎博士にだけ、内面があったんです。
 それ以外のキャラはぜんぶ表面上の動機で動いている。

 でも、それでちゃんとおもしろい映画ができてる。

 じゃあ、人間ドラマや、家族の結びつきや、主人公の内面をちゃんと描き、ハリウッドの映画として成立するように作ったらどうなるか。


 アベンジャーズの最近のシリーズとか、マーベルの最近の『スパイダーマン』とか『バットマン』みたいに、おもしろくするのにやたら重たいキャラクターが出てきて取り回しがすごい不便なんですね。


 重たいっていうのは、体重が重いとか筋肉があるとかそういう意味じゃないですよ。
 内面が重たいキャラクターです。

 だから『デットプール』みたいなアクロバチックなものを出さないかぎり、なかなかおもしろくならない。

 闇は、もういらないんですよ。


 『アイアンマン』くらいでちょうどいいんですよ。

 金持ちだー、武器も売ってる。
 
 おお、俺の武器が悪いことに使われてる、えらいこっちゃ。

 アイアンマンスーツ作った。
 
 敵もアイアンマンスーツででてきた。
 戦うぞー。

 これくらいでちょうどよかったんですけど。


 これを何人も集めて、それぞれの見せ場を作ろうとした瞬間に、全員が持ってるトラウマが2トンを超えちゃって2トン車には乗らないんですよ。

 2時間映画っていう2トン車に乗るトラウマは2トンが限界なんですけど、全員のトラウマ合計したら、たぶん10トンくらいあるんですよね。

 なので、『シビル・ウオー』がすごい苦しい映画になっちゃった。


 『まどマギ』くらいだったらいいんです。
 だからといって『ガルパン』は僕もう無理なんですよ。

 『ガルパン』に関して面白いと思うのは、後半の戦闘シーンだけです。
 『ガルパン』は『ガルパン』で一気に無邪気な時代に戻りすぎなんです。

 もうちょっと闇があるだろう。
 闇がなくていいと言った覚えはない。


 『マッドマックス』を見てみると、めんどくさい闇はないけれど、ちょいとあるじゃん。

 『ガルパン』ちょいと軽すぎるよと。
 重いの戦車だけじゃん。

 という作品になってしまっている。


 思い切ってマッドマックスまで振り切れたらOKだから、『ガルパン』は後半の30分があるから大傑作だと思ってるんですけど。

 その意味では『シン・ゴジラ』と同じですよね。

 映画としては65点だけども、『ガルパン』としては120点の出来がある、劇場版の『ガルパン』なんですよ。


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