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「映画『ドリーム』を宇宙マニアの観点からちょっぴりマニアックに紹介するぞ! キャサリン・ジョンソン編」
彼女、映画のポスターの写真で見たら、すっごいダサくてちょっとブサイクっぽく見えるお姉さんなんですけど。
この『ドリーム』という映画が公開されたことによって、アメリカ中のパーティーとかにけっこう呼ばれてたんですけど、その写真を見ると、実際のこの人はわりと綺麗めの黒人なんですよ。
この実際のキャサリン・ジョンソンと主演女優の4人でパーティーに出てる写真というのが、ネットにはいっぱい上がってるんですけども。
このキャサリン・ジョンソン役のお姉さん(タラジ・P・ヘンソン)の服が一番派手なんですよね。
僕が見たヤツでは、「全身レースで出来たドレスで、乳首とアソコだけが濃いめのレースになってて隠れてるんだけど、残りは全部透けている」っていうエグい服を着てて(笑)。
まあ、ちゃんとそういう写真で見れば綺麗なお姉さんなんですけど。
メガネを含めて、「当時のアメリカの黒人女性はこの程度のオシャレしかできなかった」というのを表現しながら、どちらかというと見た目の綺麗さよりは、“意志の強さ”とか“頭の良さ”とかで魅力を出しています。
初飛行と言っても、マーキュリー計画では、ジョン・グレンの前に2人の宇宙飛行士を宇宙に上げていました。ただし、これは宇宙飛行といっても“弾道飛行”なんですよ。
これについては、「機動戦士ガンダム講座」の「コア・ファイター出撃せよ!」の回の中で、一部のみなさんには散々 説明したので、知っている人もいると思いますけど。
弾道飛行っていうのは、あくまでも放物線を描いて飛ぶようなもので、地球に落ちてくるんですね。それに対して“衛星飛行”というのは、衛星軌道に乗るくらいの高さ、というか、“速度”にまで加速できたものを呼びます。
ソ連のガガーリンが人類で初めて行ったのは、地球の周回軌道に乗った、ちゃんとした衛星飛行だったんですけども、アメリカが飛ばした1人目のアラン・シェパードも、2人目のガス・グリソムも、ただ単に弾道飛行をしただけでした。
だって、「飛んで行って、落ちてくる」だけですから。地球のどの部分に落ちるのかも、全て単純な数学の方程式で計算できます。
しかし、軌道飛行となると話は別なんですね。
(ロケットのミニチュアを見せる)
先っぽに赤いのが付いてますが、これは何かというと“脱出ロケット”です。マーキュリーロケットは発射してから10秒間、これが付いているんですね。
その後、加速を終えた後に、カプセル後部に付いているロケットを切り離して、カプセルだけの状態になり、宇宙を飛びます。
弾道飛行ですから、上がった後は勝手に落ちてくる。
ロケットが上がって、加速が終わった瞬間に、その後の軌道も全部わかるから落着地点もわかる。
しかし、ジョン・グレンの乗るカプセルは衛星軌道に乗るので、ロケットを逆噴射させて減速させない限り、地球には降りてこれません。
さっきも話した通り、放物線軌道は単純なんですよ。
次に、衛星軌道に乗った場合でも、楕円形をしている地球の衛星軌道でどのような動きをするのかも、まあ、計算式で出るは出る。
たぶん、力にして100㎏か200㎏のものを持ち上げる程度のロケットを何秒間か噴射することによって、徐々に楕円軌道が変化していって、最終的にロケットモーターが止まった時、放物線軌道になり、地球のどこかに落ちるか?
つまり、衛星軌道のどの位置でロケットモーターを何秒噴かしたら、太平洋のどの位置に落ちてくるのかを正確に計算する必要があったんですね。
(パネルを見せる。研究者が大勢で大きな黒板に計算式を書き込んでいる写真)
これは1961年の『LIFE』の表紙です。
「NASAの職員はこうやって計算してます!」っていうシーンを写したものなんですけど、これ、マジで計算しているところなんですよ。
こうやって、でっかい黒板にみんなで書いて、お互いに検算してチェックしながら、ザーッと計算するんですけども。
だけど、この楕円軌道から、ロケットモーターで減速していって、放物線軌道になるっていうのがわからなかった。
それを聞いた海軍は「そんなことをするとなると、回収のために空母が3隻もかかるぞ!」と激怒してですね(笑)。
「お前らは忘れてるかもしれないけど、宇宙計画だけじゃなくて、俺たちは今、ソ連と揉めてる最中なんだから、太平洋艦隊の空母を3隻も使えない!」って言われちゃって、ケビン・コスナーは頭を抱えるんですね。
楕円軌道から放物線軌道へと遷移する数式というのを思いついて、でっかい黒板にそれまで書いてあった数式を消して、上から新しく書いてしまうんですね。
この会議に偶然出席していた宇宙飛行士のジョン・グレンが、「いや、もう、俺はあの子に賭けるわ。
とりあえず、あの子が行けるって言ったら行くし、あの子がダメっていうんだったら、俺、コンピューターが良いと言っても行かないわ」と言ったんです。
とりあえずIBMのコンピューターは世界一正しいんですよ。
でも、そのIBMの計算機を操作する職員たちは、自分たちよりもキャサリン・ジョンソンを信じていたくらいなんですね(笑)。
なので、いつも何をやっていたかというと、IBMから計算結果が出る度に、みんながそれをキャサリン・ジョンソンのところに持って行って、「これで合ってますか?」って聞く。
すると、キャサリン・ジョンソンが計算して、「合ってる合ってる」と。
たまに間違っている時もあるんですけど、それはなぜかというと、誰かが入力する数字を間違えて、矛盾が出ている場合なんですよね。
上映している映画館は少ないし、みなさんも、「女性映画だから、あんまり面白くないだろう」とか、「宇宙開発はあんまり知らないから」って思うかもわかりませんけども。
実際は、どちらかというと、「名もなき虐げられていた人たちが、自分の才能なり何なりを生かして、周りの環境を徐々に変えていって、いずれは人類の歴史というのを変えるかもしれない」っていう、けっこう熱いお話になっているんですね。
今日の話で興味を持って、映画『ドリーム』も見てもらえれば、僕としてはありがたいです。
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