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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【捨てられないTシャツ・シリーズ】ライトスタッフをもつ伝説のパイロット”チャック・イエーガー”の不幸」

2017/08/19 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/08/19
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今回の記事はニコ生ゼミ8/6(#190)よりハイライトでお送りします。


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「【捨てられないTシャツ・シリーズ】 ライトスタッフをもつ伝説のパイロット”チャック・イエーガー”の不幸」


 前回のお話

 今回の「捨てられないTシャツシリーズ」はサム・シェパード追悼記念。彼が『ライトスタッフ』で主役を演じたチャック・イエーガーのTシャツ https://goo.gl/mjo3zm の紹介です。

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 チャック・イエーガーは、伝説のパイロットなんだけど、愛機にいつも”GLAMOROUS GLENNIS”って書くようなオッサンなんだよ。


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 チャック・イエーガーは、世界で一番最初に音速を突破した男なんだけどね。

 彼が音速を突破した当時は、ちょうどアメリカとソ連の冷戦が始まった頃だったんだよ。

 おかげで「音速を突破したことを秘密にしろ」と言われてしまった。
 だから、不幸なことに全然 報道されなかったんだよね。


 全然 放送されなかっただけじゃない。
 アメリカのハリウッドで、『ジェット・パイロット』という映画まで作られちゃった。

 『ジェット・パイロット』はアメリカ軍の空軍が出来たばかりの頃、軍の全面的な協力の元、作られた映画で、世界で初めて音速を突破するパイロットの映画だったんだよ。

 その映画の中で、音速を突破しようとするシーンでは、「もうダメだ、もうダメだ、操縦桿が震える」と主人公がピンチが描かれる。

 そして「そうだ!操縦桿を逆に扱えばいいんだ!音速になる瞬間に操縦桿を逆に扱えばいいんだ」
言って音速を突破する。

 これがアメリカ中で大ヒットしちゃった。

 だから、後にやっとチャック・イエーガーが、「実は世界で最初に音速を破ったのは彼なんです」
と、ちゃんとアメリカ人に紹介された時、取材に来る人、来る人が、「あのシーンのデータ提供はあなたですか?」とか、「音速を突破する時には操縦桿を逆にするんですね?」とか、質問責めにあってしまう。

 チャック・イエーガーは「そんなことをしたら死にます」とか、「そんな映画、見たこともない」とかめちゃくちゃ怒りながら、何度も何度も答えさせられる羽目になったんだよ。

 もうホントに死ぬまでその手の質問に苦しんだらしい。


 何度も、“映画のモデル”と誤って伝えられたりもした。

 もっとひどい時には、「チャック・イエーガーが音速を突破する時は、操縦桿を逆にした。それは映画『ジェット・パイロット』を真似たんだ」と言われることすらあった。

 ほんとに可哀想な目にあったんだよ。


 実はチャック・イエーガーは、第2次大戦の時からパイロットをやってた。
 そして第2次大戦の時はP-51に乗ってた。

 いわゆるムスタングという飛行機だよね。

 あのジュラルミンの銀色ピカピカの飛行機の横にも”GLAMOROUS GLENNIS”って書いてたんだよ。

 ”GLAMOROUS GLENNIS”号で、1日で5機のメッサーシュミットを撃墜したこともある。

 ホントに撃墜王だったんだよ。


 大戦中にね、11.5機だったかな、すごい数の飛行機を撃墜した。

 その中にはメッサーシュミット262という世界最初のジェット戦闘機もあった。

 それをP-51で撃ち落とすという、もう本当にとんでもない、すご腕パイロットだったんだ。


 やっと戦争が終結して帰国。
 幼馴染のグラマラスなグレニスと結婚する。

 つまり、恋人時代からグラマラスなグレニスって書いていたんだ。


 その後、1947年に、このベルX-1という飛行機のパイロットに選ばれた。


 これはF-104という飛行機。

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 NASA仕様のNF-104というやつです。


 ベルX-1と何が違うかっていうと主翼の面積がやや広い。
 あと尾部にロケットモーターがついている。

 このロケットモーターで空気がないところでも加速できるというNASA特別仕様のやつです。


 これをバーンとロケットみたいに空に打ちあげて、ソ連を破る上昇記録を打ち立てようとした。
 『ライトスタッフ』の映画では、クライマックスで描かれているシーン。


 さっきも言ったように、音速 近くまで加速すると飛行機が不安定になる。

 同時に、宇宙空間に行くからさ、いろんなところの舵が全く効かなくなるんだよね。


 ここにいろいろ丸い粒みたいなのがついてるけど、これね全部サブロケットエンジンなんだよ。

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 この機首の所にもちっちゃい穴みたいなのが開いてるじゃん。

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 これで小さいロケットモーターが噴火して出力制御しなくちゃいけないんだよ。


 でも、こいつらの調子が悪くて、空中でどうやっても姿勢が保てなくなって結局まっさかさまに墜落して落ちてしまったんだ。

 それでも、チャック・イエーガーはなんとか死なずに済んだ。
 
 そういう中でも生き残ってきた、歴戦の勇士なわけだ。


 後にノースロップでフライングボディ機のテスト飛行もやっていた。

 フライングボディ機というのは、飛行機自体が翼の役割をしているやつで、後のスペースシャトルとかの原形とかになったやつ。

 これのテスト結果をベースにしてスペースシャトルが作られたっていう。

 愛妻家のイエーガーは常に自分の飛行機に”GLAMOROUS GLENNIS”って名付けてるんだよね。

 P-51が初代の”GLAMOROUS GLENNIS”1号、このX-1が音速を突破したやつが”GLAMOROUS GLENNIS”2号。

 このP-51はね、ハセガワとかレベルのプラモデルで大きいプラモデルを買ったら、大体”GLAMOROUS GLENNIS”仕様になっている。

 あと、タミヤのX-1のプラモデルも”GLAMOROUS GLENNIS”って機首にきっぱり書いてる。

 飛行機ファンにはすごく愛されたおじさんなんだよ。


 このTシャツは高円寺の商店街で見つけたんだけどさ、今いった流れがあるもんだからさ、「あ、X-1だ。まさか。」と思って見たら、上に”GLAMOROUS GLENNIS”って書いてあるんだよ。

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 「わかってるじゃん!」って思ってよく見たら、ここに1.2.3って書いてあるんだよな。

 1、チャールズ・エルウッド・チャック・イエーガー。
 チャック・イエーガーだ!!

 2、ベルXS-1
 わかってる!

 3、”Element needs to break the sound of barrier.”
 音速を破るためのエレメントである。


 airframe(機体)と言わずにエレメントと書いてある。
 エレメントという言い方は当時の空軍用語なんだよね。


 4、"End of a broom"
 帚の先

 これはチャック・イエーガーが前の日に酒飲んで馬から落ちて肋骨を折っちゃって、X-1のドアを閉められなくなったことがあったんだよ。


 マクロスのロイ・フォッカー大佐でもあったけど、“飛行機に乗る前に酒を飲む”という伝統があったからね。

 肋骨が折れてても、テスト飛行はする。
 でも、肋骨が痛いから思うようにうごけなくてドアをロックできない。

 そこで、チャック・イエーガーは、そうじ夫のおっさんから、帚の端をのこぎりで切った奴を貰ってきたんだ。

 で、飛行機に乗って箒の先端でドアのロックをよいしょって締めたという、実際の話がある。
 それを完璧に再現してくれてるTシャツなんだ。

 だから、めっちゃくちゃ嬉しかったんだよ!


 いやー、やっぱり一流のパイロットというのは、飛ぶ前に飲むんだなということでですね。

 河森君の言ってた「リアル”ロイ・フォッカー”の話は正しかったんだなあというのがわかったという思い出のTシャツです。

 捨てられないっていうのはね、このサイズじゃ俺もう着られない。
 10年前にはこれが着れたというのがすごいよねぇ。

 ということでまたいつかは着たいなと思って未だに大事にとってあるTシャツでありました。
 
 
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