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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/10/12
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おはよう! 岡田斗司夫です。

お笑い人工知能の『大喜利 β(ベータ)』というのをご存知でしょうか。
この間、吉本のニュース番組で取り上げられていました。
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「放送作家の仕事を奪う!?お笑い人工知能『大喜利 β(ベータ)』」


 『大喜利 β(ベータ)』の話題が出た時に、僕と一緒に同席していた芸人さんたちがパニックになっていましたよ。
 「これから、どうしたらいいんだ!?」って。

 千原ジュニアさんのイベントで、「大喜利が出来る人工知能がある」という事で、この大喜利 βが出場したんです。
 そして、若手でも実力派のお笑い芸人“ニューヨーク”と直接対決をしたんですよ。

 「ズルが無いように」という事で、千原ジュニアがその場で考えた問題に、ニューヨークと大喜利 βくんが交互に答える形で対戦しました。


 千原ジュニアが出したお題がこれです。

 「こんな東京オリンピックはイヤだ。どんなの?」

 これに対してプロのお笑い芸人であるニューヨークの答えが、これです。

 「ラストの聖火ランナーが角田信明」

 その場の司会者にも「角田さんって誰だっけ?」と言われてしまい、あまりウケませんでした。
 そして大喜利 βくんの出した答えが、これです。
 
 「聖火の代わりに千葉を燃やす」

 もう会場は、ドッカンドッカン大ウケでした。


 凄いですよね。
 対戦相手のニューヨークにも絶賛されるような出来でした。

 結果は5対3でした。
 大喜利 βくんはニューヨークに勝ってしまったんです。

 ニューヨークは大喜利 βくんの答えを「緩急も凄かったし、お笑いで負けた感じがする」と言ってました。

 「人工知能だから」といった贔屓もありません。
 人間がアタフタして負けたわけでもないんです。
 
 ニューヨークは「ストレートにお笑いの勝負で負けた気がする」と唖然としていました。

 今、大喜利 βは、大喜利に答える他に、お題を考えるAIと、ツッコミを入れるAIを作って、ツイッターで公開しているそうです。

 「これが出てくると、放送作家はいよいよヤバい」
 そう芸人たちは言っています。

 大喜利 βくんの開発者は「完成度は、まだ20パーセントです」と言っています。
 「これからボケの精度も上げていくし、お題を精製する機能も、ガヤを飛ばす機能も作っています」と言ってるんですね。

 このガヤを飛ばせる機能が怖い。

 たとえば「こんな桃太郎のお供はいやだ!」というお題に、大喜利 βくんが「麻生太郎」と答える。
 これに「前総理だけども!」とか「確かに、ちょっと子分っぽい感じするけど!」みたいなガヤを入れると、ネタが分かりやすくなる。

 そんな機能も作っているそうです。

 ここまででも、十分に面白かったんですよ。
 でもさらに「実は・・・」という形で、吉本のマネージャーが教えてくれた事があります。

 千原ジュニアは毎月、紀伊国屋ホールで『チハラトーク』というイベントを、千原せいじ さんとやっているんですね。
 そのチハラトークのゲストに、「大喜利 βくんを呼びたい」という事でブッキングをしたんですよ。

 そしたら開発者の方が「いいですよ」と言ったので、出る事になったんです。
 ところが実は、その回のチハラトークは、あらかじめ出るゲストが決まっていたんですね。

 そのゲストには「悪い!今回はお前らはバラシで(また後日で)お願いするわ!」と言ったらしいんです。
 だけど、その回のゲストはニューヨークだったらしいんです(笑)

 ニューヨークは、大喜利勝負で大喜利 βに敗れて、オマケに仕事も大喜利 βに奪われるという、散々な結果になったそうなんです。


 この現状だけを見ると、「確かに面白いけど」という形にしかなりません。
 でも未来を考えると、かなり怖い。
 すごい事になると思います。

 多分、彼氏や彼女や友達がいらなくなっちゃう世界が来ると思うんです。

 大喜利 βは、今のところ、お題があると数秒で60個ぐらい回答が出るらしい。
 そして、その回答を人間が選んでいるそうです。

 今、ツイッターで公開されている大喜利 βは、ツイッターでみんながリツイートしている答えを、自動的に「ウケた」と判定しているんですよ。

 大喜利 βくんはディープラーニングで作られているので、実はどういう構造で面白い答えを作っているのか、開発者も分からないんですね。

 開発者がしている事は、ただ単に「日本語のつながり」というデータを、たくさん打ち込んでいる。
 たとえば「朝」だったら「明るい」とか「希望」とか、関連しそうなキーワードのデータを打ち込んでいるだけなんです。

 開発者は二人。
 一人がプログラマーで、もう一人が言語学者だそうなんです。
 
 世界最先端の事をやりながら、「なにが面白いか?」を発見するのはプログラムがやっている。

 そこが面白いですね。


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