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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/06/19
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「パナマ文書が公開されたけど、金持ちってケチなの?」(前編)

 パナマ文書が公開されたおかげで、タックスヘイブンで合法的に税金から逃れてる人間や企業やワンサカ出てきました。
 日本にも数が少ないもののチラホラいて、その中にはドワンゴもありました。
 自分がバイトして稼いだ540円がパナマに行っていた事に、深い憤りと感動を覚えます。
 何故、人は自分で稼いだお金を手放したくないのでしょうか?
 金持ちってケチが多いですね。
 
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 ネットで流れてる公開されたパナマ文書の中に、サしかにドワンゴの名前も入っております。

 まずポイントは、この事件は“道徳的な問題”という事なんだよね。
 なぜなら、「タックスヘイブンにお金を流して、税金を払わないこと」は非合法ではないんだ。

 ここまでは大丈夫だよね?
 これは合法なんだよ。

 ちょっとグレーかもしれないけど、あとは道徳的なものになるんだよ。


■急に売り上げが伸びた会社は翌年の納税に悩む

 本来だったら日本国に納めるべき税金を払っていないわけ。

 日本政府は「お金がないから消費税を上げます」とか言ってるよね。
 財務省も「予算がない」って、ずっと言ってる。

 それは日本国に払うべき税金が払われていないからだよね。
 金持ちがタックスヘイブンにお金を置いて節税していたからだよ。

 昔、ガイナックスがパソコンゲームで儲けた時代があった。
 年間の売り上げが4億円ぐらいを越えたら時にタックスヘイブンの誘いが来たんだよ。

 その時は「パナマとケイマン諸島の両方で会社を作りませんか?」と言われた。
 たとえ翌年の売り上げがゼロであっても、何千万円かの税金は用意しときゃなきゃいけないわけよ。
 「こんな事をやってたら会社が潰れる」と思ったよね。
 なので、急に売り上げが上がったりしたら、どの会社も翌年の納税をすごく苦しむの。


■ベストセラー作家は翌年の納税で苦しくなる

 “ベストセラー破産”という言葉がある。
 ベストセラーを出したら、出版社からお金を貰うよね。
 そしたら、税務署が勝手に決めた、その年と翌年の"見込み納税"というものが出てくるんだ。

 なので小説家はベストセラーが出たら本当に苦しい。

 昔、『楡家の人びと』を書いた北杜夫という作家がいたじゃん。
 その北杜夫が遠藤周作と二人でスイス銀行に口座を持って、脱税しようとした事があった。
 だけど当時のスイス銀行は、メチャクチャ管理が厳しかった。

 ゴルゴ13は「振込みはスイス銀行にしてくれ」って言っていたけど、北杜夫の話を聞いてたから、「それはウソだ」と思ったよ。

 なぜなら、ちょっとしたお金の出し入れの度にスイスに行かなきゃいけないらしい。
 本人がその支店に行って、口座開設した銀行員の目の前でサインをしなきゃいけない。
 
 北杜夫もスイスに行って、口座開設しようと思ったんだけど、「やってられるか!」となったらしい。
 だからスイスの銀行口座を持つことは、事実上ムリなんだ。
 

■小金持ちになった人間は節税を考える

 たとえばヒットラーも隠し口座をスイスに持ってたんだけども、スイス銀行は「ヒットラー本人が来てサインをしないとダメです」って言ったんだ。
 なのでヒットラーの口座を動かせないというトラブルがあったぐらい。

 スイス銀行には、いまだに引き取り手のない金が山ほどうなってる
 そんなひどい事をやっている。

 それを北杜夫が知って、その恨み言を『さびしい王様』という小説の中にまるまる一章書いた。
 スイス銀行で口座を持ったら、こんなにひどい目に会うぞという話だね。

 後に、遠藤周作との対談で「あの時にスイス銀行で口座を持とうとしたよな」と言われて、北杜夫はめちゃくちゃビビッたというエピソードがあったんだ。
 それぐらい租税回避は、小金を貯めた人間だったら、かなり考える事だと思うんだよ。


(次号へ続く)

【まとめ】
 タックスヘイブンは合法ですがグレーです。
 しかし、急に売り上げが伸びた会社や小金持ちになった人間なら、租税回避は考えることだと思います。