傑作Netflix『Mr. マクマホン: 悪のオーナー 』を楽しんでいいのか。ニコ生で配信されたものを大胆に編集したものです(語り/ジャン斉藤)
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・なぜ『極悪女王』で“ブック”というネットスラングが使われたのか
『極悪女王』に続いてNetflixが放つプロレス作品『Mr. マクマホン: 悪のオーナー 』は、プロレスの近代史どころかアメリカンカルチャーも網羅しており、NHK「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」で流れても違和感ないほどの出来で面白かったです!……いや、はたして「面白かった」という感想で済ませていいのかと悩んでしまう問題作でもありました。
『極悪女王』は実話をベースにしたフィクションですが、こちらは全6話からなるドキュメント。作品全体のクオリティは相当高く、当初はWWEが全面協力。WWEの試合映像はもちろんのこと、WCWなど消滅した団体のものもふんだんに使われ、ビンス本人をはじめステファー&トリプルH夫妻やWWEの幹部、ハルク・ホーガンやアンダーテイカーのレジェンドたちも取材に応じています。ビンスのドキュメントの制作が明らかにされたのは、2020年10月のことでしたが、2022年6月に撮影期間中にビンスの不倫スキャンダルが発覚。それ以降ビンスはカメラの前に現れず、WWEも作品協力から撤退。制作が一時中断されましたが、そのスキャンダルを取り込むとで作品は完成されました。第1話目の冒頭「ビンスの大半の取材はスキャンダル発覚前に収録した」というテロップが入った。ビンス・マクマホンという人間がどこに暴走するのかが明示されていたわけです。
ビンスやWWEにとって都合の悪いドキュメントを制作中止に追い込むことができなかったのはなぜか。
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虚構と現実の間をキャラクター化して面白がる風潮は木村ミノルなどにも見られましたが、本人のヤバさが遊ばれていたキャラを楽々飛び越えてしまったことで、関係者に慎重さが根付くきっかけになるのか否か。