多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。(この記事は5月28日にニコ生配信されたものを編集したものです)






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きょうは月に1度のお楽しみ、シュウ・ヒラタさんのMMAマシンガントークなんですが……シュウさん、かなりお忙しいみたいですね。

シュウ そうですね。ボク、ニューヨークの道端に座ってやってます。

――えっ、どういうことですか(笑)。

シュウ 平田直樹&樹選手に密着しているABEMAのカメラマンさんが明日、日本に帰るんですけど、PCR検査を忘れてまして。いまから連れていかないといけないんです。

――そんな状態でやっていただくのは申し訳ないんですけども(笑)。平田兄妹はABEMAの海外修行プロジェクトの一環として、ニューヨークに来てるんですね。

シュウ はい。私はABEMAのコンサルタントとして、選手たちの受け入れ先を提案して交渉、手配してケアするということをやってるんですけども。どこのチームも簡単に受け入れてくれるわけじゃないんですよ。

――よく「アメリカン・トップチームに行けばいい」という声がありますけど、あそこに入るのは大変だったりしますね。

シュウ 大変です。たとえば行けたとしても、事前にしっかりと話しておいて、プライベートレッスンとかも全部ブッキングするんですけども。そうなってくると有名コーチになればなるほど、有名な選手もいっぱい抱えちゃってるんで時間があまりないんですよね。

――やっぱり1人で見れる人数は限界がありますもんね。

シュウ あります。もっとぶっちゃけなこと言っちゃえば、1試合3000万円ぐらい稼ぐ選手を見てるコーチは、その選手からパーセンテージもらうことを考えたときに、5パーセントでも150万円もらえるわけですからね。

――それだと日本からやってきた見知らぬ選手に、どれくらい親身になって指導できるかっていう話になっちゃいますね。

シュウ そうなんですよ。ですから今回はABEMAさんの力をお借りして、それなりのフィーをコーチにオファーしてます。そういった交渉がすごく難しいんですよ。

――やっぱり予算があるといっても、時間をお金で買える場合と、買えない場合もありますもんね。

シュウ そうなんですよ。お金を出せば面倒を見てくれるわけじゃないですからね。他の選手の試合が入ったら、コーチはそっちをサポートしなくちゃいけないわけですし。有名チームになるほど、選手なんて毎週のように試合してますからね。

――ゲストに時間を割いていると、いま指導している人の信用すら失いかねないってことですね。

シュウ ですから海外修行は、きっかけだと思うんです。本当は数年間とか腰据えないと成果はえられないですよ。まずは、なるべく選手に合ったコーチまたは練習環境を選びたいですよね。樹選手の場合はグラップラーじゃないですか。フィニッシュ力も付けなくちゃいけないということで。今回は何箇所か提案した中から、彼女が10th Planetとセラ・ロンゴを選んだんですけども。10th Planetは和気あいあいとしていて、一般会員や女子も多くて楽しく練習できる感じなんですよ。セラ・ロンゴの場合はほとんどがプロ志向で、クラスも細かく緻密な感じで、マンツーマンの練習が多い環境なんですね。やっぱりクラスを教えてくるのがアルジャメイン(・スターリング)やマット・フレボラのようなUFCファイターだったり、練習相手もアルジョ(チームメイトはアルジャメインのことをこう呼んでます)とかメラブ(・ドバリシビリ)とかだから、トップ中のトップが一緒にやってくれるんで。

――濃密な練習ができるんですね。

シュウ 今日はこれからガチスパーなんですけども。樹選手にとってはビッグデーだと思いますよ。自分の実力を測れる日だと思いますし。

――ニューヨークには村田夏南子選手も来てますし、魅津希選手に平田選手もいる。日本の女子トップが揃うのはなかなかいい絵ですね。

シュウ いまや夏南子ちゃんがセラ・ロンゴをすごく気に入っちゃいまして。向こう2カ月ぐらいトライするためにニューヨークに来ることになったんですけど。ニューヨークの女子部は魅津希ちゃんが仕切ってるんですよ。若い子たちの面倒を見ていて女子部のボスになってますね。

――新庄ばりのBIGBOSS宣言をしてもらいたいですね(笑)。

シュウ 平田兄妹が言っているのは、日本の練習に比べると技術重視なんですよね。ものすごい細かい技術を何回も教えて、その反復練習がすごく多いと。そこに大きな違いを感じるみたいですね。あとフィジカルのトレーナーにしても、10th Planetとセラ・ロンゴの2種類の違ったものを経験してるんで。こういった経験は何事にも代えられないことだと思うので、これからどうするかを考えてほしいですよね。

――以前からシュウさんが言われてるように、1回行ってみて、それをどう活かしていくかが重要だと。

シュウ そうなんです。ぶっちゃけた話をしちゃうと、観光ビザだと3ヵ月以上こっちにいれないわけですから。もっと長く滞在できるO-1ビザを取るのにだいたい70万ぐらいかかるんですよ。それに飛行機代と宿泊費、場所によっては車を借りることを考えると200万ぐらいないと無理ですね。普通の若者にとって200万なんて絶対に無理だと思うんですよね。

――UFCとか北米のメジャーと契約を結ぶんだったら、違うんでしょうけど。

シュウ UFCと契約したら、UFCを通じてP-1ビザを取ってくれるんで。これがあれば契約期間内はアメリカにずっと住めるんですよ。そうなると、ビザの問題もなくなりますから、70万円は頭痛の種からなくなるわけですよね。

――堀口選手がアメリカン・トップチームに行けたのは、いろいろな条件をクリアできたからで。けっこうハードルが高いってことですね。

シュウ あと堀口くん、それから佐藤天選手、それから井上直樹くん、魅津希ちゃんは、なんだかんだ言っても3年据えてるわけですよ。直樹くんはパンデミックのおかげで、いったん日本に戻しましたけど。やっぱり数年はいないと厳しいですよ。ですから直樹選手の場合は、1年ちょいでパンデミックになって戻って、それでやっとまたNYでの練習を再開できたんで、これから、あと2〜3年やれば、いろいろと弱点を克服でいるようになるのでは?と期待してます。彼ももう25歳ですからね。本気でUFCのトップ、つまりMMAの世界で頂を目指すのなら、もうそろそろ年齢的にもギリギリだと思っています。これを言ったら怒られるかもしれないですけど、プロレスの海外修行とは違いますからね。数ヶ月メキシコとフロリダあたりに海外修行に行って、なぜか短期期間で身体がデカくなって都合よくタイトルとか獲って「凱旋帰国」してましたけど、それは競技の世界ではありえないことですからね。アートでもスポーツでも、ほんのちょっと数ヵ月行っただけで劇的にうまくなったりとか強くなるんなら、みんなやりますよね。

――最近の日本格闘家はアメリカ修行ブームですけど。井上姉弟は普通に黙々とずっと続けていますね。

シュウ 魅津希ちゃんなんて、3年間1日も帰ってないですからね。ちゃんと復帰して勝つまで帰る気はないと思いますよ。ここから次の話題につなげると、直樹くんのRIZINでの試合も決まったんですよ。


――7月2日の沖縄大会だけじゃなくて、先々のカードまで決まっているという話は聞いてるんですけど。直樹選手のカードも決まってるんですね。

シュウ 決まってますね。佐々木憂流迦選手の試合も決まっていますし。

――憂流迦選手がバンタム級にまた下げるという考えもあるそうですが、次の試合はどうなるんでしょうか。

○朝倉海、メラブ、井上直樹の三角関係は? 
○『ROADtoUFC』は半年前から準備できていれば…
○負けた風間俊臣が選ばれたのはフィニッシュ力
○レイ・ロンゴとは何者か
○有力選手をかっさらイーグルFC、BKFC……まだまだ続く!
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