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part101
◎世界のTK“引退激勝”高阪剛16000字インタビュー
◎臼田勝美インタビュー「念願のデビュー前に藤原組をやめたのは……」
◎荒唐無稽テキスト「デスマッチがプロレス界をダメにした10の理由」
◎いまこそ振り返りたい堀口恭司が耕したバンタム級の歩み
◎堀口恭司敗戦/平良達郎2週間スライドのポイント■解説・水垣偉弥
◎天心vs武尊ルール問題のポイントは「10-10」の境目■サーバル
◎【vsK-1】RISEライト級王者・原口健飛インタビュー【THE MATCH】
◎朝倉海、中井りんはUFCと契約できるのか。サトシはオリベイラに勝てるのか?
◎『週刊ポスト』RIZIN記事の感想……PRIDEとRIZINの違いとは?
◎【牛久、伊澤!!】一言多い有能コーチ・横田一則が語るRIZIN2冠のウラ側
◎岡見勇信が語る世界に勝つ方法「中村倫也にGSPの姿が見えた」
◎また飲酒運転で逮捕! 元祖ディーバ、サニーの“暴走”人生
◎ダチョウ倶楽部・上島竜兵とプロレス
◎飯伏幸太LINE暴露騒動とは何か?■事情通Zの「プロレス 点と線」
◎時代と寝る平良達郎、歴史的快挙の渡辺華奈
◎YUSHI10000字インタビュー「“いけてる感じの男”になる方法」
◎DEEPはなぜ好調なのか/ぼんやり層がTHE MATCHを楽しむ方法
◎誠実のプロレスラー・大谷晋二郎を信じろう■松澤チョロの脱線プロレス
◎平本蓮vs安保瑠輝也消滅の内幕■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
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RIZIN35の引退試合をTKO勝ちで締めくくった「世界のTK」こと高阪剛16000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
──引退試合、お疲れさまでした。劇的で感動的なフィナーレでした!
TK ありがとうございます。
──はじめに気になったのは入場曲がストーンローゼスの『ドライヴィング・サウス』ではなかったことなんですが……。
TK ああ、そこから入りますか(笑)。はい、今回はモトリー・クルーでした。
──『ワイルド・サイド』ですよね。
TK じつは『ワイルド・サイド』はリングスのデビュー戦のときに使おうと思っていた曲なんです。
──あっ、そういう曲だったんですね。
TK 使いたかったんですけど、デビュー戦だから早くリングに出ていかなくちゃいけないから。
──ああ、新人の分際では曲に合わせて入場できないってわけですね。「Wild Side!!」のサビを歌うまでにリングインしている可能性がある(笑)。
TK はい。なので、デビュー戦はスティーブ・ヴァイにしたんですけど。
──リングスって選手それぞれにオリジナルテーマ曲が用意されてましたよね?
TK ありましたけど、自分は頑なに使わず……(苦笑)。
──ハハハハハハ! こだわりがあったんですね。
TK 長く使ったのは『ドライヴィング・サウス』ですけど、「オリジナルを作ります」って言われたときに、自分は「たぶん使わないと思いますけど」って言ったら「じゃあ寄せた曲を作るので」と。『ドライヴィング・サウス』に似た曲を作ってもらったんです。
──リングスオリジナル入場曲のアルバムも発売されてますけど、『ドライヴィング・サウス』がモチーフだったんですか!
TK で、実際にその曲を聞いたら「……すいません、やっぱり使えません」って感じで(苦笑)。
──でも、しっくりいかなかったんですね(笑)。
TK はい。「1回だけ使ってください」って頼まれたから1回くらいは使ったんですけど、本物がいいなぁと。
──ある程度キャリアを積んだら、間をおいて入場できるわけですよね。 『ワイルド・サイド』に変えようとは思わなかったんですか?
TK 『ドライヴィング・サウス』は長く使っていたし、入場曲って勝ったときまたかかるじゃないですか。そのときのいいイメージが 『ドライヴィング・サウス』にはあったんですよ。そういうこともあったりしたんで、ずっと使い続けていたところはあったんですよね。
──今回の引退試合で『ワイルド・サイド』を使うことはいつぐらいに決めたんですか?
TK もう試合が決まったときには。キャリアがどうのとか関係なく試合がやりたいっていう思いがあったんで。だから自分もデビュー戦のつもりでいこうと。だからいままで1回も使ったことのない、デビュー戦で使おうと思っていた『ワイルド・サイド』にしたんですね。そういう経緯があったんです。
──めちゃくちゃいい話です! 『ワイルド・サイド』の「Save the blessings for the final ring, amen」という歌詞にかけてるのかなと思っていたり。
TK いや、歌詞のところまで見てなかった(笑)。
──じゃあ深読みしすぎですね(笑)。
TK じつは理由は他のところにありましたね。本当にデビューのときに使いたかったくらいモトリー・クルーが大好きだったし、あの年代のロックが大好きで。そもそもボクがロックに芽生えたのはKISSの『デトロイト・ロック・シティ』。小学校5年くらいで聴いて、そこからなんで。
――ボクはモトリー・クルーは後追い世代なんですけど、モトリーって『ワイルド・サイド』が収録されたアルバム『ガールズガールズガールズ』からスタイルが変わったじゃないですか。
TK そうですよね。『ガールズガールズガールズ』前のモトリーも好きなんですけど、ポップすぎて。モトリーはライブにも行ったんですけど、そのときはヴォーカルのヴィンス・ニールが抜けたあとで、ヴォーカルはジョン・コラビだったんですよ。
――ちょっと微妙だったグランジ路線時代のモトリーですね。でも、それはそれで貴重です!
TK あれは大学のときですね。でも、トミー・リーのドラムが見られるからいいかと。
──トミー・リーの360度の回転ドラムは、ロックぼんやり層のボクでも痺れます! しかし、今回の引退試合がなかったら『ワイルド・サイド』で登場する高阪剛は見れなかったかもしれないんですね。
TK まぁ使ってないでしょうね。今回の相手の上田(幹雄)くんはMMAデビュー戦ですけど、自分のキャリアをひけらかすような試合をやりたくなくて。自分は毎試合毎試合、全力で試合をしたいという気持ちが強いんですけど、どうしてもやっぱり自分の思いと違う見方が先行することもあったりして。先輩だとか先駆者とかリング上がったらそんなものは関係ないんで。
──その姿勢が入場曲に込められてたんですね。
TK なので、自分なりにパッと思いついたのがあれっていうか。入場はこれでいこう、と。
──「神は細部に宿る」という感じでプロですね。
TK いや、そんなことない、そんなことない(笑)。
──結果は極真世界王者相手に打撃で勝ったわけですけど。試合前からガンガン攻めようと。
TK そこに何年か前にたどり着いたんです。要は相手がどうのこうのじゃなくて自分の戦いをしっかりとやると。
──何年前にたどりついたんですか?
TK 結局ぐるぐる回ってるんですね。「俺ってこうだよね」って自分で自分のことを再認識したっていうのが何年か前。「何年か前」っていうかもうずいぶん昔だけど(笑)。
──高阪さんくらいのキャリアでも“自分探し”をしてるってことですね。
TK 自分は中学時代に柔道を始めたんですけど、試合で勝っていた時期があったんです。滋賀県で決勝まで行って、全国大会まで行ったり。そのときの柔道は、いわゆるガチャガチャ柔道。要はバカみたいに攻めまくって体力だけで戦ってたんですね。だから体力勝負になって相手のほうに体力があった場合は負けているんですよ。そういう柔道で最初は始まったんですけど、高校や大学でやるようになって、技術が必要なんじゃないの?と。それで技術を学んでいったんですけど、全然成績は上がってないんですよ。それは自分の本質が見えなくなっていたんじゃないかなって。それを総合の中でも気づいて。
──それが数年前。
TK でも、それは何周もしているんですよ。「やっぱり攻撃しなきゃ!」「でも技術も必要だよね」「いやでも結局、俺ってこうじゃん」って自問自答を繰り返しながら、いまに至る。思い返せば、何度も何度も巡って時間が過ぎていったなって。
──今回の引退試合では自分の原点に立ち返ったと。
TK はい、そうですね。「ここだろう」という確信は自分の中にあった。「自分はこうじゃなきゃ何も生まれないよ」って。
──確信はしてるけど、迷ってしまったのはなんなんですか?
TK いや、迷いはまったくないです(笑)。
──でもぐるぐる回っちゃうんですね?
TK そこはもう何周もしてますね。やっぱり自分がいままでやってきたことってトライ・アンド・エラーの繰り返しで。やってダメだった、そのダメからまた何かを見出す。またダメ、また見出す。その繰り返しだったんです。それはいまもそうなんですけど、それはすごく大事だなと思っていて。だからそこはすごく練り込んだ感が自分にはあって。
──同じ場所をぐるぐる回ってるように見えるけど、じつはそうではないということですね。
TK そうです。自分の身体の核となるものが一周回ることでできるんです。一周回るというより、塗り重ねていくイメージですね。それがどんどん分厚くなっていくのが格闘技なのかなって思ったり。
──そうやって分厚くなる前でやめざるをえないケースもありますよね。ここまで戦えた高阪さんの身体の頑丈さが……。
TK それはもう間違いないと思います(笑)。途中でこれはマズイなっていう故障もあったんですけど、なんだかんだで完治したので。
──高阪さんってたまにとんでもない殴り合いをするときがありますけど、いまの話を聞いて納得しました!
TK そういうことだと思います。UFCでいうとバス・ルッテンとの試合なんかは、カウンターのタックルやグラウンドのポジションの使い方とかすごく練習していたんです。
――1999年1月9日のUFCヘビー級王座挑戦者決定戦の死闘ですね。
TK あのときはリングス所属のまま、シアトルに移って練習していたんですけど。モーリス・スミスやフランク・シャムロック、ジョシュ・バーネットやジョン・ルイスとか、そういう選手たちと「これからはこういう戦いが必要なんじゃないか」と練っていた時代でもあったんで。
──いまは「強くなるならアメリカ!」となってますが、20年以上前に画期的なことをやってましたよね。高阪さんの引退試合が発表されたときに、バス・ルッテンとの試合を見返したんですけど、戦略的な戦い方で。「最近の試合ですよ」って言われても驚かないというか。
TK そうですか(笑)。あのときは試合のやり方としても「このプランで行こう。それがもし崩れたらこのプランで行こう」と。いまのUFCの選手がやっているプランAからプランCまで用意しておくかたちに近かったのかもしれないです。
──時代の先頭を走っていたわけですね。あの時代のUFCってまだアングラ感が漂ってましたよね。
TK アスレチックな方向に向かおうとしていた時代の過渡期でしたね。ルールも毎大会ごとに変わっていて。ルッテン戦は1R12分で、オーバータイムが3分。その前までは15分1Rだったんです。
――5分3ラウンドになるまで時間はけっこうかかってますよね。それにしても15分1Rからの1R12分+3分という変更って(笑)。
TK 15分だと最後にガス欠しちゃう奴がいるから、どこかで切ろうってことになって。12分にして、残り3分だったらどんだけ疲れていてもできるだろうと。あの時代はホントに試行錯誤の繰り返しで。UFCの大会が終わるじゃないですか。あのときはSEGという会社がUFCを運営してたんですけど、そこの社長がホテルの部屋にファイターを集めて「今日はこういう試合が多かった。何かルールで意見ないか?」ってミーティングを始めるんです。
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