毎大会恒例!笹原圭一RIZIN広報の振り返りインタビュー!!(聞き手/ジャン斉藤)


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――
笹原さん、RIZIN大阪大会すごかったですね! ところでテーピングの件が騒がれていますね!! またRIZINが何かやったんですか!?

笹原
 なんてヘタクソなインタビューの入りなんですか! もうちょっと大会の面白さを語って、よきところで「ところで……」って聞いてくださいよ。

――
インタビューのしすぎで特殊な始まりじゃないと興奮しない倦怠期を迎えた夫婦みたいになってます。マジメな話、RIZINって拳の骨折が多いのはグローブやテーピングのせいだ……とかよく騒がれてますけど、テーピングのルールが改正されたことでまた憶測を呼んでいますよね。

笹原
 テーピングの支給本数が決まっていたんですけど、大晦日から申請すれば追加できるようになった、というだけの話です。

――でも、RIZINキックに関しては追加申請すれば渡してたんですね。

笹原
 キックは3年くらい前からルールを変更しました。ネットでは「那須川天心が文句を言ったから変わった」という意見がありましたが、全然違いますね。

――
どんなきっかけだったんですか?

笹原
 ピーター・アーツなんです。

――
ここで唐突にピーター・アーツ!!

笹原
 そうなんです。2015年に旗揚げしたときにピーターが「いや、キックだと少なくないか」と言われたんです。でも当時は「これまでみたいに本数も持ち込みも自由にするんじゃなくて、バンデージの本数を定めて、それを運用していこう」と決めていたので、ピーターに事情を説明して理解してもらったんです。

――競技としてルールを定めようとする中、ピーターからの提案だったんですね。

笹原
 そうです。ただキックについては「そういう声が多くなれば、検討すればいいよね」という感じだったのですが、そのうち天心選手や他の選手からも「バンデージの量を増やせませんか」と言われたこともあって、キックに関しては認めるようになりました。

――
キックは増やしたのにMMAでは増やさなかったのはなぜですか?

笹原
 いや、増やすのは全然簡単ですよ。でもMMAについては現行の量で足りているというのがそもそもの我々の認識です。じゃあUFCと比べてRIZINの量は多いと思いますか?それとも少ないと思いますか?ABC(The Association of Boxing Commissions)は?パンクラスやDEEPは?

――
全然知りませんよ!(逆ギレ)。

笹原
 そうなんです。誰もそんなこと調べもしないので「RIZINは●●だ!」みたいな、これまた陰謀論みたいなことを言う人がいるんで困るんですけど、ちなみにABC、つまりUFCは10ヤード、ボクシングのWBCやJBCも同様です。パンクラスやRIZINは15ヤードで、ちょっと多いくらいなんです。

――
他の団体とそこまで変わらないってことですね。

笹原
 変わらないです。で、大晦日から申請すれば追加で渡すことが決まって、ルールミーティングの席でも説明しています。以前からキックではテーピングとバンデージの追加支給を認めていますが、実際にこの数年で追加支給を申請してきた選手はごく一部の選手のみで、RIZIN34に限った話でいえば、MMA出場選手ならの追加申請は1選手のみ、キックは追加申請なしでした。

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――
RIZINで拳の骨折が多いのはグローブやテーピングが云々と言われてますけど、それはどう考えているんですか?

笹原
 そもそも「RIZINだけ拳の骨折が多いというデータがあるのか」という話だと思います。こういった話に印象や感情を持ち込んでも意味がありませんから、データに依拠して判断すべきだと思います。UFCと比べて明らかに差があれば、何か改良したほうがいいって話になるんですけど、グローブもバンデージもそこまで大きくは変わらないですよ。RIZINは旗揚げからすべての試合でどの選手がどんなケガを負ったのかというのは拳の骨折はもちろん、すべてデータは全部取っているんです。そのデータをもとに、UFCの拳のケガの状況をアメリカの論文からデータをもらって比較検討しているんですよ。

――
UFCファイターの拳のケガの状況もチェックしている。

笹原
 その数字と比較しても、RIZINの方が圧倒的に拳の骨折が多いなんてことはなかったです。

――RIZINって、いろいろマジメに取り組んでいるんですね(笑)。

笹原
 「日本手外科学会学術集会」というのがあるんですが、今度4月にRIZINドクターが「トップレベルの総合格闘技大会における手指外傷の発生状況と特徴」というテーマで発表することになっています。

――
へえ、ものすごく興味深いですね!

笹原
 これ、べつに我々がドクター陣に強制しているとかじゃなくて、ドクターチームが少しでもケガが減り、安全に競技ができる一助になればって自主的にやってくれているんですよ。もうどんだけマジメなんだって話ですよ(笑)。

――
あと日本ではRIZINはやっぱり注目度が高いから、ケガも騒がれがちってことなんですかね。

笹原
 もちろんそれはあるでしょうし、あとはRIZINドクターから言われてむちゃくちゃ腑に落ちたのがSNSやYoutubeの影響ですね。

――
どういうことですか?

笹原
 昔から拳のケガ自体は数は変わっていないと。ただ、2年前くらいまでは選手が自分のケガの情報をわざわざ発信するメリットがないので、そういった発信が少なかったけど、最近はYoutubeでケガの報告がひとネタになって再生回数が稼げるので選手がこぞって手術やケガの報告をする様に変化してきていると。それが世の中的には骨折が増えたような印象が与えられているじゃないかと言われたんですよ。

――
やっぱり注目度の影響ですね。

笹原
 で、先生いわく「最近の選手達は病院に来るとレントゲン画像や手術の写真などネタを求めて来くるんですよ(笑)」と。あとはRIZINという大きな舞台で、選手は爪跡を残したい! ということで、いつも以上に頑張っちゃうというのもあるかもしれません。RIZIN静岡大会で渡慶次幸平選手と戦ったハリー・スタローンはDEEPに上がっていたんですが、佐伯さんいわく「あんなに頑張ったこと一度もないわ!」って怒ってましたから(笑)。

――ハハハハハハハハハ! 現代MMAでメジャーに上がってくる選手は強打系が多いですし、あんな薄いグローブで殴ればケガはしやすいですよねぇ。

笹原
 誤解しないでほしいのですが、骨折してしまうことは仕方ないと言ってるわけじゃないです。少しでも安全に試合ができるように、グローブも改良を重ねていますし、いろいろな努力は当然しています。極端なことをいえば、UFCのグローブを使ってもいいですよ。でも、UFCだから問題ないと飛びつくのって思考停止だし、それではいつまでたっても競技の質は向上しないですよ。ちゃんと自分たちの頭で考えて検証すべきです。

――UFCのグローブもアイポーク問題が頻発しましたし。……というわけで試合の話ですが、笹原さんも絶賛のツイートをされてましたけど、やっぱりすごかったです!

笹原
 でしょ? というか、RIZINは毎回すごいんですよ!ガハハハハハ!

――いや、RIZINじゃなくてその翌日の修斗の西川大和ですよ!

笹原
 んあ~! たしかに西川選手はすごかったですけど、RIZIN事務所のど真ん中で何を言い出してるんですか!?

――RIZIN事務所で話すから意味があるんですよ! 階級上のウェルター級に挑戦して日本屈指の寝業師・山田崇太郎から一本を奪う。事前予想では「一本負けするんじゃないか」という声が多かったせいか、わざわざ一本を狙って獲ってますよね。

笹原 パウンドでフィニッシュもできたのに、絶対に一本を獲るという強い意思が伝わってきましたね。まだ19歳ですよね? あの落ち着きっぷりは、ジェレミー・ホーンみたいなベテランファイターが転生したとしか思えない(笑)。

――中にジェレミー・ホーンが入ってそうな雰囲気はたしかにある(笑)。

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