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・斎藤裕、「ケラモフのダーティファイト」「朝倉未来vsクレベル」を語る
――笹原さん!RIZIN.30は面白かったんですが、大会終了後の榊原代表の総括ではクレベル・コイケに相当オカンムリのようでしたけど……いったい何が起きてるんですか?
――ぱんちゃん璃奈大好きマスコミの熊久保さんなら真っ先に「ぱんちゃんはどうでした!?」って聞きがちですけど、ボクはこの手のトラブルが大好物なんです!
笹原 社長の総評では「3ヵ月前に斎藤裕とのタイトルマッチをオファーしたけど、体重が落とせないと断られた」「ケガをしたのは最近の話」「やる気のない奴にチャンスをあげるほど待っている気もないし、大晦日も可能性は限りなく低いよ」と。これだけ聞くとクレベル選手がRIZINの都合に合わせないから社長が怒っているように聞こえますが……RIZIN.31は10月24日に開催されることを昨日発表しましたけど、なかなか発表ができなかったのはクレベル選手待ちだったんですよ。
――でも、クレベル選手は斎藤裕戦のオファーをずいぶん前に断っていたんですよね。
笹原 どういうことかといえば、6月の東京ドーム大会の朝倉未来戦のあとにクレベル選手には斎藤戦のオファーはしました。そのあともいろいろあったんですが、全部話すと5時間くらいかかるので省きます(笑)。で、結論から言うと、社長の説明どおり「体重が落とせないから無理。でもで11月の頭だったらやれる」という返答があったんです。いまはコロナの影響で会場を抑えるのも大変なんですが、それでも11月頭に空いている会場をなんとか見つけたんです。もちろん斎藤チャンプにも状況を説明して待ってもらっていたんです。
――それっていつ頃の話ですか?
笹原 今大会の10日前くらいじゃないですか。ちょうどRIZINガール合宿とか撮影しているときですよ(笑)
――ガハハハハハ。
笹原 そうしたら数日後に「足をケガをしました」という返答が来たんです。
――うわっ……。
笹原 なのですぐに「診断書ください」って連絡したんです。ケガの状況も知りたいし、なんなら格闘家のケガに関するスペシャリストのRIZINドクターにも診断してもらって、少しでも可能性があるのであればその可能性を探ろうとしたんですよ。でも、全治1ヵ月だから11月の大会は無理だと。RIZINドクターに診せるまでもないと。
笹原 ケガをしてしまったことは誰にでも起こりうることなので責めるつもりは毛頭ないですが、それで「11月は無理だけど、大晦日はよろしくね」と言われても、そりゃ素直に「ハイ、わかりました」ってなんないですよ。
――こういう展開だと、さすがに……それで榊原さんも「大晦日は使うつもりはない」と。
笹原 おまけに足をケガしてるはずなのに「会場でクレベルが走ってましたよ」とかスタッフからの報告もあったり、あの日も別に運営本部にお詫びにくるわけでもなく……いやこれ、別にウチが偉そうにしていて、頭を下げろとか言ってるんじゃなくて、人としての礼儀の話ですよね。
――ケガはしょうがないけど、その後の対応がどうなんだってことですね。
笹原 あの総評のときボクは別の場所にいたんです。こういった事情を知らないスタッフが「社長がクレベル選手に怒っていますけど、大丈夫ですか!?」って慌てて知らせにきたんですけど。交渉過程を知っているボクからすれば、社長はかなり抑えた言い方をしていると思いましたよ。
笹原 いや、全然わかりませんけど、チャンピオンは準備できていて、体重が落ちないからって断った挑戦者にすぐまたチャンスを与えるつもりはない、という社長の説明どおりだと思いますけどね。
――でも、こうなると堀口恭司選手や那須川天心選手、朝倉兄弟のようにRIZIN側が「全力で磨こう!」という気持ちになりたくても、難しいんでしょうね。
笹原 「選手は俺たちの言うことを絶対に聞け!」とか「ケガを押してでも試合しろ!」とか言うつもりもないし、実際に我々はそんなことしたことないですし。なんかもうちょっと誠実に話をしてほしかったなって感じです。なのでしばらく放っておくしかないんじゃないですか。
――そんな無責任な!
笹原 10月、11月も大会が目白押しだし、RIZINガールも育成しなくちゃいけないし、やることいっぱいあるんですよ!
――なるほど。しかし、斎藤チャンプの周りには嵐が吹き荒れますよね(笑)。「逃げる逃げる」と煽られていた相手が戦ってくれないわけですから。
笹原 斎藤選手本人は何もしてないのに騒ぎが起きていて、不思議な磁場を持っていますよね。元気玉じゃなくて、みんなの不幸を不幸玉にして集めている感じすらしますね(笑)。
笹原 すっごく大きな反応だったんですよ。
――ボクは以前からRIZINの斎藤裕評がちょっと低いんじゃないかって不安だったんですよ。
笹原 試合後に社長とも「斎藤チャンプが登場したときの反応すごかったですね」って話してたんですけど、2人とも「正直、すまんかった」という感じですよ(笑)。
笹原 あー、たしかに。斎藤選手には何か応援したくなる自然な物語がありますもんね。
――試合中に反則をやられたり、判定結果で批判されたり、相手陣営に取り囲まれたり、逃げてないのに「逃げた」と騒がれたり、チャンピオンなのに第3試合に置かれてみたり(笑)。
笹原 そうやって並べられると、なんか我々が常に茨の道を歩かせている感じがしますね(笑)。
――かつてのWWE的に見ると、悪のオーナーのビンス・マクマホンに酷い仕打ちを受けるベビーフェイスっぽいですね。あ、榊原さんが「悪のオーナー」と言ってるわけじゃありません。
笹原 いや、言ってますね(笑)。でも、何かトラブルが身に降り掛かっても斎藤選手は東北出身だからなのか、ガマン強くグッとこらえているところもいいのかもしれないですし、なによりチャンピオンという立場が斎藤選手を成長させている感じがしますよね。10月大会の対戦相手はまだどうなるかわからないですけど。堀口恭司も、那須川天心も、朝倉兄弟も不在の大会を、斎藤裕はどうやってRIZINを支えるのかというテーマですね。
笹原 大晦日に向けて関係各所に働きかけはしていますけど、自民党総裁選の結果によっても動きは変わってきますよね。
笹原 だって総裁がそのまま首相になるでしょうから、その人が外国人を受け入れるのか、それとも規制するのか、どっちに針を振るかで我々みたいな立場は全然左右されちゃいますよ。社長が先日説明したように、ベラトールとも何かやれればと思っていますから、できるだけ早く入国規制をといてもらいたいと動いてます。
笹原 スコットでいえば、今回の堀口選手の件で、社長がアメリカに渡って4日間ずっとスコットと一緒いて、いろんな話をしてきたんですよ。もちろんメインテーマは堀口恭司の話なんですが、じつはそれって今回の渡米で話した内容の一部なんです。で、おもいいっきり要約すると「お互いこの業界にも長くいて、プロモーター業も長い。50歳も超えて俺たちよく頑張っているけど、こんなもんじゃないだろ!もっと面白いことやろうぜ!」という、じつに若々しい話なんです(笑)。
笹原 社長とスコットが話した中身を聞くと、夢見がちな中学生みたいな話なんです(笑)。で、社長はそれを本当に実現させようと熱を込めて説明してくるわけですよ。 まぁでも実現するのは相当大変そうなんで、ボクは何も聞かなかったことにしていますけど(笑)。
――ハハハハハハハハ! 榊原さんとスコットって不思議な関係ですよね。古くからの友人でもあり、プロモーター同士だからどこまでいっても商売敵じゃないですか。
笹原 そうなんです。お互いがお互いのことをこれまでの歴史も含めてよく知っているから「オマエの苦労はよくわかってるよ」っていう感じなんですけど、一方で「それでもオマエには負けねーけどな」みたいな、関係なんですよ(笑)。
――愛憎が入れ乱れていて最高です!
笹原 でもお互いの信頼関係がなければ、堀口恭司がベルトを巻いたままベラトールに移籍するとか、普通じゃ絶対に無理ですよ。スコットと社長の信頼関係があったからこそできたウルトラCの座組ですよね。このあちもたぶん、アッと驚くようなことが起こると思いますよ。
笹原 ぱんちゃん選手がなんとか女子キックというジャンルを盛り上げたい、RIZINで爪痕を残したい!! という心意気がものすごく伝わってきましたね。ただRIZINに出て嬉しいというだけじゃなくて、 自分の使命を背負っている姿勢が見えました。勝ったけどKOできなかった、大きなインパクトを残せなかったことも反省していましたし、自分に何か課して戦っているんだなと。 またチャンスを作りたいと思いますし、これでRIZIN女子キックは終わりということではないと思います。
笹原 ボクらが課したんじゃなくて、彼女自身がそれを使命と思い、ある意味勝手に背負っているわけじゃないですか。そんな十字架なんてないほうが楽に決まってますけど、そういう覚悟がなきゃ、革命なんて起こせないですから。あとは格闘技ってやっぱりライバルがいてこそ盛り上がるところはありますし、ぱんちゃんに誰かが乗っかってきて渦ができれば面白いことになるんじゃないかなって思いますね。そういう意味では対戦相手の百花選手も素晴らしかった。自分が何をやるべきかっていうことがわかっていたというか。気持ちが見える選手はまたチャンスを作ってあげたいなって思わせますよね。
笹原 熊久保さんの熱狂の仕方もすごいじゃないですか。N野さんの話によると、「公開練習でも『何か質問ありま…』くらいで食い気味に質問してきたし、大会前インタビューでもマシンガンみたいに質問浴びせてましたよ」って言ってました(笑)。
――榊原さんの総括会見も、最初の質問が熊久保さんの「ぱんちゃんはどうでしたか?」だったんですよ! 榊原さんが「熊久保さんは女子キックが好きですねぇ」ってニヤニヤしながら喋り出して、例のクレベルの話に繋がっていくわけですけど(笑)。
――第2試合は昇侍vs鈴木千裕。昇侍選手が下馬評をひっくり返す秒殺KOでした。
笹原 鈴木選手は緊張していたのか印象としては動きが固いなって思いました。初めての舞台で舞い上がっていたところもあったのかもしれないですし、 やっぱり平常心で戦うことって簡単なことではないですよね。一方で昇侍選手はやりましたね。素晴らしかったです!
笹原 昇侍選手にオファーしたとき「相手はキックボクサー」という程度の認識だったみたいなんですね。で、 よくよく調べたらMMA経験もあってメチャクチャ強いんじゃないか!ってことがわかって(笑)。「打ち合うんじゃなくて寝技で攻めたほうがいいんじゃないか?」とか、「でもRIZIN側が望んでるのはそうじゃないだろう!」という葛藤があったらしいんですよね。
――昇侍選手のほうがキャリアは上だから、MMAとして臨めば勝機を見出せますよね。
笹原 だけど「俺がRIZINに呼ばれたのはそうじゃないだろう」と。そこで絶妙なアドバイスをした人間がいたんですよ。
笹原 「相手はRIZINデビュー戦で絶対にインパクトを残そうとするからガンガン振り回してくる。 おまえはコンパクトに打ち返せ!」。実際に鈴木選手は力任せにガンガン前に出たところを……。そのアドバイスもあって昇侍選手はKOできたんだと思います。
RIZIN.30の各試合振り返り、金太郎パンフレット事件、朝倉未来リングに上がらずの舞台裏……などなど14000字インタビューはまだまだ続く!
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https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2053667
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コメント
コメントを書く(ID:14866982)
――確認だが、堀口はベラトール所属の選手になったということか
榊原 そうです。ベラトールの契約下になります。契約したのはベラトール。ただ、スコットと僕らの関係の中で、その契約の中の1試合を売ってもらう形で(参戦が可能になる)。
だそうです。
(ID:2034678)
サラの入場は藤谷美和子ですよ、そこは!と言っていたのに笹原さんのインタビューでは「格闘バンド with MIWAKO」の呪いが解かれた感じはしますね(笑)。
さすが編集のプロ
(ID:65778068)
秋山があの曲を入場曲に使ったのは、いまだに許せないなあ。ホントに空気の読めない奴。