北米MMAを知り尽くした男・水垣偉弥が語る井上直樹vs金太郎!(この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです)
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――金太郎選手はすっごく頑丈でしたねぇ。
水垣 井上くんはカーフをめっちゃく蹴ってて。試合途中、金太郎選手は蹴られて嫌そうな感じはしてましたけど、試合後に裏で会ったとき足を引きずることなく普通に歩いていたので「マジかっ!?」ってビックリしました(笑)。
――えげつない関節蹴りもけっこう入ってましたよね。
水垣 そうなんですよ。ボクらの前で見栄を張っていたのかもしれないですけど、それにしても……。ボクなんかレガースをつけててもカーフキックを3発もらったら、もうヤバイですよ(笑)。金太郎選手、ぶっ飛んでるなぁと思いました。頑丈さと気合いは凄いですよね。
――堀口選手選手のカーフは踏み込んで蹴りますけど、井上選手とはどう違うんですか。
水垣 選手によって蹴り方に違いはあって、井上くんのカーフはジャブ的なものですね。
――ジャブでもあれだけ蹴られればダメージは蓄積しますよね。
――寝技には行かないと?
水垣 あんまり皆さんには伝わってないですけど、井上くんはめちゃくちゃ負けず嫌いで、めちゃめちゃ気が強いところがあるので。そこはお姉ちゃんの魅津希選手の試合を見ればわかるんですけど、やっぱり兄弟だなという血筋をあらためて感じましたね。
―― 「テイクダウンができなかった」んじゃなくて、気の強さのせいで「狙わなかった」んですね。
水垣 「行ってもいいんだよ」と、しつこく言っていたし、そういう練習もしてたんですけど。いきなり狙うのはリスクはあるけど、2ラウンド中盤までの戦いで、だいたいの感じは掴めてきてたので、むしろ組みに行こうと。セコンドから見ても、 金太郎選手はテイクダウンディフェンスは強いとは思うんですけど、組みには差はあったと思うんですね。
水垣 そうなんですよ。2ラウンドの様子から見ると、金太郎選手は3ラウンドは覚悟を決めて前に出てくると思ってたので、 そこは絶対に付き合わないで、サクッとテイクダウンしちゃおうぜ、と。試合後に井上くんに話を聞いたら「……それをやっちゃったら負けたような気がする」と。
――井上直樹、カッコイイじゃないですか!
水垣 セコンドとしては「いやいやいや!」なんですけど(苦笑)。そこはファイターとしては魅力的で、彼の良さでもあるんですけど。トーナメントで戦わないといけない日は決まってるし、それを考えると余計なリスクやダメージは避けたいですよね。でも、本人は「あそこで引くのはイヤだし、楽しくなっちゃった」って言ってました(笑)。
――すごいなあ(笑)。マネジメントのシュウ・ヒラタさんのツイートによれば、井上選手は右手をケガしていて、ほとんどの使えなかったんですよね。
水垣 そうなんですよ(苦笑)。今回の試合を見直していただければわかるんですけど、右はほとんど使ってなかったんです。そんな事情もあってカーフキックを軸にする作戦を立ててたんですよね。
――途中で組みを狙うはずが、「楽しくなっちゃった」ことで打撃戦に終始したと。
水垣 セコンドとしては「それはちょっとやめてくれ!」って感じなんですけどね(笑)。
――右も使えないわけですし。
水垣 前回の試合(石渡伸太郎戦)を決めたフィニッシュブローの右は使えなかったんですが、それ以外の武器が本当に多いので。何か一つ使えなかったぐらいで……という自信が井上くんにあったんだと思います。
――相手のパンチをスレスレでかわすディフェンスは凄まじかったですよね。
水垣 井上くんと練習をするとわかるんですけど、本当にね、パンチが当たらないんですよ……(しみじみと)。3ラウンドに鼻血を出して、金太郎選手がどんどん前に出て、金太郎選手のファンが多いこともあって 会場が沸いて。パンチはかわしてましたけど、この盛り上がりが判定に響くんじゃないか……ってドキドキしてたんですね(笑)。
水垣 そうです(笑)。「ジャッジ、見ててよ」って思ってましたね。金太郎選手の根性で、そういう雰囲気が作られてしまったところがあってドキドキしました。
――島田裕二さんが競技運営のトップだった時代だったら、そんなノリで金太郎選手に判定がついていたかもしれないですね(笑)。 ボクはPPV観戦で画面で見ていたので、井上選手がパンチをかわしてることはわかってたんですけど。会場だと、ちょっとわかりずらいですよね。
水垣 最後にムキになっちゃったところ。そこも良さではあるとは思うんですけど。ボクが井上くんの練習を初めて見るときに言ったのが、相手に合わせすぎて星を落としていることで。 アメリカでやったCFFCの試合でも、全然負ける相手じゃないのにグラップラー相手にがっちりグラップリングの勝負をして負けてしまったり。今回は判定で勝ったんですけど、なんでもできるからこそ相手に合わせて星を落としているので。なんでもできるぶん、器用貧乏じゃないですけど、 なんとなく相手に合わせちゃう。 これから上に行くにあたっては、そういうところが負けにつながる可能性が出てくるので。ファイターとして魅力としても残しつつも、やらないところはやらない戦い方を身につけてほしいなっていう。
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