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QUINTETは最終的には『週刊プロレス』にも載って欲しい■QUINTET審判団・新明佑介

2018/08/02 21:01 投稿

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QUINTETはなぜ面白いのか? 柔術家といってもこんなに思想が違う――という寝技の魅力をQUINTET審判団の新明佑介氏に語ってもらいました! 読めばさらにQUINTETが楽しめます!(聞き手/橋本宗洋)




――
QUINTET審判団の一員にして、日本ブラジリアン柔術連盟の新明佑介さんにQUINTETの魅力を伺いにきましたが、今回のQUINTET2も面白かったですね。

新明 毎回ハズレがないですよね。やっぱり5人のチーム戦で抜き試合になると偶発的なことが起こりやすいというか、想像もつかないドラマが起こるんだなあと思いますね。

――
組み合わせの妙ですよね。

新明
 大将対決まで引き分けになると、チーム全体の「指導」の数が勝敗を分けることになりますよね。「指導」を避けたいからアグレッシブに動きますし、それによって一本が生まれやすくなる。QUINTETはルールがイベントを面白くしているところはありますね。

――
前回のQUINTETでは、優勝したCARPE DIEMの岩崎正寛選手が禁止されていた整髪料をつけていたことで指導を取られて、そのひとつの指導が勝負に響きかねない展開になっていて(笑)。 

新明
 まさか整髪料がっていう(笑)。全チームがルールをすべて理解していたかどうかはわからないですけど、あのルールをやるかぎりは指導を取られないほうが絶対にいいと思うので。 

――
ポジションをキープしているほうが指導を取られる場面もあって面白いですよね。上で固めてるだけではダメだと。普通だったらポジションを取られてるほうが指導を取られますけど。

新明
 ほかの格闘技では、ほぼないですよね。「極めにいかないと指導を与える」ということはルールミーティングでも言っていて。QUINTETではポジションを変えて動かないと指導を取られるし、極めないと勝てない……ということがだんだん浸透してますよね。それによって、まったく寝技を見たことない人が理解しやすくて面白いと思ってもらえるイベントになってると思いますね。

――
そこで気になるのは、ルールによって試合が動かされるのは、柔術的な発想からすると相容れないところでもあると思うんですね。

新明
 ああ、たしかに。時間無制限の勝負だったり、昔グレイシーがやっていた道場マッチからは、かけ離れてますよね。勝つために無理に動く必要はないわけですし。

――
それなのに、やってる側からは思いのほか、QUINTETへの拒否反応が出てないのも面白くて。

新明
 大会前日のルールミーティングで桜庭さんが選手たちに毎回言うのは「これは格闘技だけど、エンターテイメントなのでみんな極めに行ってくれ。攻めに攻めてくれ」と。その桜庭さんの言葉にみんなうんうんと頷いてるんです。

――
桜庭さんがQUINTETの姿勢を訓示してるんですね。

新明
 桜庭さんは今回一本負けしちゃいましたけど、ガンガン動いてましたからね。引き分けを狙おうと思えばできる力があるんですけど、そこはプロフェッショナルですよね。

――
「ファンタジスタ」と呼ばれる桜庭さんだからこそ、QUINTETのやりたいことが伝わるというか。

新明
 仮に日本ブラジリアン柔術連盟がQUINTETのようなイベントをやっても、こうはならないのかなと。かといってプロレス団体がやったとしてもここまでの発展はなかったと思うので。

――
逆に桜庭さんと中井さんが一緒にやるのは大きいですよね。ルールディレクターが島田裕二さんだったらまた違う世界になってますし(笑)。

新明
 これまでの大会が面白かったことで「QUINTETに出たい!」という人が多いんですね。ということは、動いて極めて勝とうっていう思いがあるってことですもんね。

――
QUINTETに出場希望してきた選手が試合で動きもせずに固めて……というのも変ですよね(笑)。

新明
 ジオ・マルティネスがハイサム・リダを極めた試合なんてホントに凄いと思いましたね。ハイサムとの体格差からすると、ジオは引き分けを狙いにいくのかと思ったんですよ。攻めているふりをしながら試合時間を終わらせる。ところが最初からガンガン攻めて完全に極めちゃいましたから。今回はこの試合が凄く印象深かったですね。

――
そこは抜き試合の妙というか、ハイサムも「引き分け狙いだろう」と思ってたんですかね。そこで不意を突かれたというか。

新明
 そうかもしれないですよね。ハイサムも後手後手に回った感はあったので。こないだある関係者と話していたら「外国人には時間いっぱい耐えて引き分けを狙うという感覚がない」と。どんなに体格差があっても勝ちにいくもんなんですよっていう。

――
へえー。そういえばエディ・ブラボーもインタビューで「日本人は引き分けも仕事として考えるんだな」みたいなこと言ってましたね。 

新明
 かといって個人主義でやってるわけでもなく、チーム一丸となって戦ってますからね。そこはルールがチーム戦の面白さを引き出してるとも言えるんですけど。

――
エディ・ブラボー率いる10th PLANETの決勝戦での強さを見ると、1回戦で大将戦ドローまで持ち込んだ石井慧チームは相当強いんじゃないかなって気がしますよね。

新明
 強いですね。自分が主審をやってましたけど、大将対決は「指導を取られたほうが負ける」っていう意識で見てたんです。

――
ジャッジするほうも緊張感を持ちますね(笑)。

新明
 結局、両者指導は1回出しました。チーム全体でも指導は同数だったので、大将対決の旗判定になったんですけど。

――
いや、こうなると、先鋒から指導を意識して戦いますよね。だから動きのある試合になって、一本も出やすくなりますし。

新明
 同じチームがもう一度戦っても、順番が違えば違った結果になるんじゃないか……っていう想像力も働きますよね。そのへんもQUINTETの魅力で。 

――
10th PLANETは持ってるもの、期待されてるものを出してきたっていう面白さもありましたよね。大会前の技術解説でエディ・ブラボーが披露したラバーガードも使うし、ツイスターコントロールもいくしで。

新明
 彼らの必殺技ですよね。そこはプロレス的な面白さだと思うんですね。

――
スタン・ハンセンの試合ならウエスタンラリアットは必ず見たいみたいな(笑)。10th PLANETのリッチーが桜庭さんにレッグスプレッドを仕掛けてましたけど、あれって桜庭さんの「はずかし固め」ですよね。リッチー本人はわかってないと思いますけど。

新明 ハハハハハハ。プロレスでいうと「掟破りの……」ってやつですよね。10th PLANETは本当に有効だからこそ技術として使ってるわけなので。


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