多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるDropkickニコ生配信コーナー。深くてタメになるトークを活字でもお届けします!(3月に配信された一部を加筆編集したものです)。
今回のテーマは「格闘家の皆さん、契約書はちゃんと読みましょう!!」です!
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――シュウさん! 今回は日本で話題の「契約問題」についてお伺いします。
シュウ 大きなニュースになっていますね。
――アメリカでもUFCの独占契約のあり方が取り沙汰されてますよね。
シュウ 独占契約とはいってもUFCの場合は一番長くて4試合契約で、チャンピオンまたは今後タイトルに絡みそうなコンテンダーになれば8試合契約じゃないですか。その契約期間内はUFCの独占ですが、契約満了したら拘束されることはないんですね。マッチング期間というのはありますけど。
――契約満了した選手が他団体と交渉した際に、その内容をUFCに伝えて他団体以上のオファーをするかどうか再判断してもらうという。
シュウ マッチング期間が過ぎたら選手は何をやっても自由ですよね。ボクはHIROYA選手と新生K-1が交わした契約書を見たわけではないですし、実際にどうなってるかは知りませんが、試合後から1年間も拘束されるケースは聞いたことがないですね。プロモーター側にも、拘束するのならちゃんと定期的に試合のオファーをしてそれなりに稼がせる機会を与えてあげないといけないという道義的責任も生じますから。
――団体とのトラブルで出場できないケースは聞いたことがありますが、そういった契約は珍しいですね。
シュウ これは選手に対して厳しい言い方になってしまいますが、選手もひとりの大人ですよね。日本の場合は保証人のハンコを押したら逃げられないですが、契約も同じだと思ってるんですよ。「なぜちゃんと契約書を読んでから契約しないんですか」という疑問はあります。契約をしてしまったあとに弁護士を雇っても、不当契約だと証明できないと裁判では勝てないですからね。アメリカでもブラジルでも半永久的な契約というのは不当だということで裁判では勝てると思うんですが、どの程度の拘束なのか?という話でもありますし。
――深く考えずに契約したら……というやつなんでしょうね。
シュウ 契約の問題は芸能界でも話題になってますけど、まだ芸能界だったらわかるんですよ。無名の子にレッスンを受けさせてたり、衣食住まで保証して育てるプロダクションもあるわけじゃないですか。それだったら長期間拘束するのは理解できるんですね。
――投資を回収するということですね。
シュウ でも、芸能界とスポーツは別物ですよね。団体がトレーニング環境を整えてくれるわけでもないですし、選手を育てるためにトレーナーを雇ってくれるわけでもない。選手は基本的に個人事業主ですから。
――ジムに月謝を払って通ってる選手もいるわけですよね。
シュウ じつは日本の格闘家が世界で一番劣悪な条件で試合をしてると思いますよ。安いファイトマネーでチケットの手売りもしてあげてるのに、なぜプロモーターの顔色を伺いながら下手に出なきゃいけないのかボクにはわからないんですよ。
――安いファイトマネーのうえに、体重超過をしたら罰金も払わなきゃならないみたいな話もありますし……。
シュウ そこまで選手に科すんだったら、たとえば大会収益のパーセンテージをもらえないと割に合わないですよ。そのためには正当な権利を主張するために選手側が立ち上がってプロモーターと同等の立場になるように持っていかないといけないんですね。プロモーターも選手がいなかったら大会が開けないわけですから。どこの団体も選手の手売りに頼ってません? プレイガイドでチケットが売れるなんてレアですよね。
――チケットの実態はどの団体もブラックボックスなので断言はできないですけど、プレイガイド売りがメインで興行を成り立たせてようとしてるのはRIZINくらいだと思いますが、そのRIZINも好調というわけではなくて。ファイトマネーに関しては選手が交渉できるほど、興行が潤ってないのが現状かもしれないですね。
シュウ でしたら、せめて選手たちは契約書を読むとか、みんなで選手会を作ったり、定期的に弁護士さんやマネジメントの詳しい方を選んで勉強会をやるとか。そういった努力はしたほうがいいですよね。
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