――今回のシュウさんは、水垣選手が出場するACBモスクワ大会のためにロシアからお送りいたします。
――ヒョードルの試合を見るためにプーチン大統領が来たやつですね(笑)。ロシアというと、いまも昔もお金の匂いがプンプンするんですが……。
シュウ ロシアというかチェチェン共和国の力が凄いですよね。トップのラムザン・カディロフがMMAファンということもあって、国を挙げてMMAをプッシュしてますから。
――MMAは国技の勢いなんですね(笑)。
――2017年に現ナマ!(笑)。
シュウ これは冗談だと思いますけど、「現金に血がついていた」と言ってる選手もいて(笑)。
――笑えないですよ!(笑)。それで今日はUFC日本大会についてお伺いしたいんですけど。岡見勇信選手の緊急出場はシュウさんがいろいろと動いてたそうですね。
シュウ はい。まず岡見選手は7月のPFLの試合が、4試合契約の最後だったんですよ。どこの団体もそうですけど、団体がキープしたい選手は3試合目が終わった時点で契約更新のオファーがあるんです。PFLからもオファーはあって、金額的には合意していたんですけど、こちらが完璧に納得する契約ではなかったんですね。岡見選手はなかなか試合を組んでもらえなくてDEEPやパンクラスに出たりしていたので、「試合が6ヵ月間、組まれなかったらこちらから破棄できる」とか追加項目を要求してたんですよ。PFL自体も来年ちゃんと開催されるのか、信用ならない部分がありましたし。
――そういう理由もあってすぐに契約更新しなかった。
シュウ そのうち岡見選手の4試合目が発表されちゃったんです。PFLとは試合後に話し合おうということになったんですけど、そのあとPFL代表のレイ・セフォーから連絡がなかったんですね。それでマッチング期間に入ったときに、UFCから連絡があり「ショーグンがケガでアウトになったけど、誰か日本人でいないか?」という話になったんで、そこで岡見選手を推したわけです。
――ショーグンはライトヘビー級ですよね。
シュウ UFC側もライトヘビーでUFCレベルの日本人ファイターはいないというのは充分にわかっていたいんで「ミドルでライトヘビーでやれる選手はいないか?」という聞き方をしてきましたね。そうしたら私が岡見選手を推していると聞いて、レイ・セフォーからカンカンに怒ったメールがきましたね(笑)。
――こっちの契約はどうするんだ?と(笑)。
シュウ だけども、ボクはハッキリ伝えたんですよ。レイ・セフォーは元ファイターじゃないですか。「岡見選手がこの歳でUFCにカムバックできるチャンスがある。それがわからないのか?」って。
――申し訳ないですけど、UFCとベラトール以外はどこのイベントもステップアップに過ぎないですよねぇ。ROAD FCやRIZIN、KSWのような国内特化型団体ならまだしも。
シュウ やりとりしても埒が明かないので、UFCのマッチメイカーのミック・メイナードからレイ・セフォーに電話してもらったんです。そうしたらレイ・セフォーは「シュウのためにはやらないけど、UFCのためならいいよ」ってことで(笑)。
――レイ・セフォーとしてもUFCには恩を売っておきたいんですね。
シュウ そういうことだと思います(笑)。
――UFCは岡見選手以外の案はあったんですか?
シュウ 岡見選手以外に正式にオファーがあったのはエンリケ・スギモトくんだけです。
――日本在住のブラジル人でHEATのミドル級チャンピオンですね。
シュウ でも、エンリケくんは練習してなかったし、230パウンド近くあったので1週間で体重を落とすのは難しいと。
――UFCは打診自体はいろんな選手にしていたんですよね。
シュウ いろんなところにボールを投げたと思います。要はライトヘビー級で、あのレベルの選手は日本人にはいないということはマッチメイカーも最初からわかっていたんで。
――そこからスタートしてるんですね。
シュウ 福田力選手にも打診はあったと思いますし、中西良行選手にも打診はあって「全然練習してないですけど、やります」ということだったんですけども。UFCとしては最終的に岡見選手とエンリケの2人にオファーを出したんです。UFCというのは1試合契約は絶対にないですから。そこからはファイトマネーと条件の交渉ですね。最近のUFCの契約には、階級が明記されることがある。つまり契約してから階級を変更することができない契約もあるんです。ですから、まず1試合しかライトヘビでしかやらない。2試合目からはウェルターでやれるという条件でないと受けられない。
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