「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2024年5月28日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2024年6月11日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2024/05/28配信のハイライト

  • 「ゲームをすべて女の子に」と「台湾に対する中国の勝利条件」
  • 「Microsoftの強み」と「冴えないGoogle」
  • 「知事の権力」と「クレジットカードが使えなくなるサービスの理由」
  • 「ゼンマイ文明の夜明け?」と「ゴムコンピューター」
  • 「腋臭の原因特定」と「iPS細胞と倫理」
  • 「二重国籍は証明の問題ではない」

「ゲームキャラをすべて女の子に」と「台湾に対する中国の勝利条件」

山路:早速、今日はちょっとAIの話とか、あとは国際的な硬い話題みたいなものもあるんですけども、1本目の話題として、私の心にぐさりと突き刺さった、中国ゲームユーザーの話。

小飼:国際的な話題じゃないですか。

山路:この、かわいい女の子がいっぱい出てくるソシャゲってあるじゃないですか。もう山のように。

小飼:山のようにありますね。

山路:で、当然、最近は中国がまさにそういうソシャゲの開発拠点みたいな、もう世界の一大女の子生産地みたいになっているんですけれども、その中国のゲームユーザーがソシャゲに出てくるキャラクターを、もう全部女の子にしろと。一人たりとも男をモブでも、

小飼:まぁ、そういうゲームタイトルがあってもいいとは思うんだけれども、いやでもゲーム内に男の子が、男不在って言ったら、東方がそうじゃん。スピンオフの話とかにはオスも出てくるんだけど、100パーセントメスじゃん。

山路:まだ日本のほうが女の子だけの世界、進んでるんだけど、中国のほうはまだ、その男が出てくるソシャゲも、それなりにあるんだけれども、それに対して男を出すな、と。主人公が男と女と選べるゲームがあるんだけども、男をもう選べるようにするなと。

小飼:だってポケモンもそうじゃん。ポケモンもそうじゃん。

山路:そうそう。

小飼:だからさ、これポケモンのユーザーキャラ自身をポケモンにするっていうのは、ないな。なんでだろう。なんでだろう、ポケモンマスターがポケモンっていうのだって、ありだと思うんだけどな。

山路:まぁそこのとこはちょっと、この場合の男キャラを排除したいのとはまた別問題になってくるのかもしれませんけど(笑)。ただ、ここまでして、中国のゲームユーザー、まぁ中国のゲームユーザーって一括りにしていいのかどうかわからないですけども、もう、自分もかわいい女の子になってひたすらキャッキャウフフしてたいっていう欲望って、こんなに強いものなのかなっていうのに感心しましたけどもね。

小飼:どうなんだろう。いや、でもね。男というのか、オスのほうが狭いところに詰め込むというと事故になりやすいというのは、確かに生物学的な事実ではあるよね。

山路:そんな先の、生物的な安全性のことを考えて彼らが気にしているわけではないと思いますけどもね(笑)。ただ本当に中国人ってずいぶん、

小飼:いや、だから男キャラを排除したいっていうのは、これあれなの、自キャラも、

山路:そうなんです。

小飼:ああ、なるほどね。

山路:主人公の、自分が演じる主人公ですらも男はイヤだと、

小飼:東方だと、自キャラもメスになるな。

山路:そう。なんかもう、自分も明らかにかわいい女の子になって、かわいい女の子に混じりたいという欲望が前面に出ているところがすごいなっていう。で、なんていうか、中国ってこの10年、20年で、

小飼:かわいい女の子になって、でもこの場合、だから、どんなゲームジャンルかにもよるじゃん?

山路:まぁいわゆる、なんていうんですかね、

小飼:ぶっ殺し合いをするゲームだってあるわけじゃん。

山路:ああ、とにかくソシャゲで課金型で、かわいい女の子の効果が出てくるような類のやつ、全般と考えていただければということなんですけども(笑)。

「男の娘もダメ」(コメント)

山路:なんか男の娘もダメみたいですよ。

小飼:男の娘もダメなのか。

山路:本当に女の子でないと許さんという、そういうちょっと過激、原理主義的な動きが今進んでるってその記事に書いてありましたけどもね。

小飼:ゲームのジャンルにも、じゃあ、あれなのか、クマさんのぬいぐるみとかはいいわけ(笑)、

山路:まぁたぶん、弾さん、個人的な性的指向としてはもう全くピンとこない話だと思うんですけど、ただ中国ってこのところすごい文化的に成熟してってるなって思ったんですよね。

小飼:うん、というのか、なんといえばいいのかな、戦争を知らない子供たち的になってるよね、よくも、悪くもって言う方、

山路:悪くはないんじゃないですか。

小飼:悪く、ぜんぜん歓迎だよ。というのも、だから、僕ぐらいからマイナス15年、20年はいかないかな、ぐらい、要するにひとりっ子政策をガンガンにやってた頃の世代っていうのは、親が実際に朝鮮戦争、それどころか、

山路:抗日戦争?

小飼:抗日戦争やってて、中華人民共和国で自立戦争やってて、その直後に朝鮮戦争に義勇軍として参戦させたりとか、その後に中越戦争をやったりとかやってたんだけど、でも、だいたいその辺りで直の戦争っていうのは止まるんですよね。

山路:そこのところでちょうどユーザーの方から、視聴者の方から質問が来てて、

「台湾の新総統が就任後、中国が台湾の周辺海域で軍事演習を実施していましたが、弾さんは今後数年以内に台湾有事が発生する可能性はあると思いますか? また、その際アメリカが介入などした場合、日本は巻き込まれてしまうのでしょうか?」(質問)

小飼:前回もやってたじゃないですか。台湾は絶対欲しいというよりも、ボトムラインとして中華民国には滅亡してもらわないと困るんですよ。それはなぜかというと、中華人民共和国こそが中華民国を受け継いだ国家だからなんですよね。建前としてはそうです。じつは一番大事なのは中華民国を滅ぼすこと。この場合、ちょっとややこしいのは、今は中華民国というのは、中華人民共和国に息の根を止められる以上に、中華民国台湾省であるところが台湾国になる可能性のほうがずっと高いわけですよね。だからそうなった場合というのは、これまたややこしいことになるわけです。でもボトムラインとして、自分のところに欲しいというのと、それを軍事的に屈服させたいというのは別なんですよね。

山路:たとえば具体的な勝利条件を挙げるとしたら、どういうものが中国政府にとっての勝利条件になるんですかね?

小飼:無血開城をさせることです。

山路:じゃあ本当に、市民がそれを望んで、わー、みたいな感じになるのが一番、

小飼:理想を言えば、台湾が総選挙をやって、親中政権というのか、中華人民共和国と合流するというのが、これが理想中の理想ですよね。でも今のところはあり得ない。

山路:しかし、じゃ軍事的な衝突みたいな可能性ということになると、もっとさらに確率としては下がるというか、軍事的なことでその目標を達成しようとすると。

小飼:今あり得るシナリオとしては海上閉鎖というふうに言っているけれども、

山路:無血開城の手段の一環として海上封鎖しようとしているんじゃないかという、

小飼:これはジレンマなんですよね。

山路:ジレンマ?

小飼:中国はすごい軍事的にも経済的にも強い国、スーパーパワーになったのはいいんですけれども。それだけ自給自足が難しくなったんですよね。

山路:いろんな国と取引をして、仲良くやらないとやっていけない国になったということ。

小飼:そうなんですよ。たとえば、かつて大豆を一番買っていた国というのは日本だったんですけど、今は中国なんです。石油も日本より輸入しています。天然資源でもそうなんですけれども、たとえば海上封鎖しちゃうということは、今度さらに海上封鎖されちゃうという可能性も大きいわけですよね。

山路:そうか。そこのところは中国の思い通りに封鎖だけして勝ち、というようなことをやるわけにはいかないか。

小飼:前にも言ったように、純軍事的に制圧するのに海を経てるというのはものすごいでかいんです。

山路:相変わらず。これほど空母とか作ったりとか、海軍力を、数年前に台湾有事のこととか話したときから、さらに海軍力増してますよね。

小飼:海軍力増してます。

山路:それでもまだ難しい?

小飼:それでもまだ難しい。

山路:しかもなおかつ、中国の若いやつ、このかわいい女の子のキャッキャウフフしてたいという若いやつが増えてるわけだし(笑)。

小飼:それでも、純軍事的に台湾を焼け野原にするというのはぜんぜん可能ですからね。

山路:純軍事的に台湾を焼け野原にした場合、それって中国の負けってことになるんですか?

小飼:そう、政治的な。だから今台湾にいる人たちを平伏させてやっとなんです。

山路:じゃあロシアがウクライナにやったみたいな侵攻をやって勝ち、みたいなふうには簡単にはいかないということなんですね。

小飼:いや、だからずっと難しい。陸続きでも、あれだけ難しいわけです。

山路:うーん。こんな何年もかけてやるような戦争になっちゃうぐらい難しいわけですもんね。

小飼:それどころか、厦門から白兵戦で届く距離の金門島でも落とせなかったわけです。今の戦力であれば、いけるとは思いますけれども。だけれども、政権が変わるたんびに軍事演習をするというのは、いざとなれば軍事的オプションを取るのもできますよっていうことを政治的に示す意味合いがあるわけです。

山路:なるほどね。これ、ちょっとAIの話に行こうかなと思ったんですけど。

小飼:むしろあれなんだよな、台湾が中華民国をやめちゃったときのほうが面白いことになるんだよな。

山路:えっ、どういうこと? 台湾国になった場合ってこと?

小飼:そう、だからその場合というのは、少なくとも中華民国はなくなるわけじゃないですか。

山路:そういうことってちなみに今、中華民国が台湾国になるってことは可能なんですか?

小飼:モンゴルの例があるからね。だから本来、今の中南海の人たちが思い描いている、ここまでは中国であるというのは、今の中国プラス台湾プラスモンゴルなんです。

山路:あー。

小飼:なんでそうなるかっていうと、清の時の版図、

山路:最大版図、

小飼:そうそう。

山路:うーん。その割にはモンゴルって、いちおう独立はしてるじゃないですか。

小飼:なぜかというと、ロシアがいたから。

山路:あー。

小飼:中国には中国のモンゴルがあるの、内モンゴル自治区という。

山路:なるほど。なるほどね。台湾とかもある意味、別の外国としての台湾国と、中国の一部としての台湾みたいなのが並立するみたいなことってありえたりするんですか?

小飼:あるし、で、台湾は台湾で、単なる台湾島ではなくて、たとえば文化的にも、故宮博物院の宝物をどっさり持ってってるわけですよ、どっさり持ち出したわけです。

山路:そうかそうか。台湾って考えた場合、私らある意味台湾人というかっていうので一つのものとして考えてしまうけども、決してそうでもないというのは、

小飼:それは我々が昔のことを忘れてるから。

山路:すっかり、日本も統治してたのに。

小飼:そうです。だから今の国民党というのは、現地人を弾圧して政権を立ててるわけですよ。

山路:うんうんうん。確かにな。昔、大学で台湾の原住民の方の言語を学ぶという講義っていうのを1回受けたことがあって、その台湾のその現地人の話す方にゲストに来ていただいて、いろいろ話を伺って、全く言語体系違うんですよね。

小飼:違います。

山路:ということで、じゃあちょっとAIの話に行こうかなと思ったんですけど、その前に、なんかAI習近平を中国、作ったらしいですよ。

「日本はああいう形で敗戦しなければ、台湾は平和的に独立できたかな」(コメント)

小飼:いや、手放さんでしょ。うん。いや、仮にハルノート全面受け入れして、大陸から一切手を引いたとしても、日本は台湾と朝鮮と、それからもう樺太を手放すということはなかったでしょうね。

山路:ああ、いやいやいや。これ、いかがですか、AI習近平(笑)。

小飼:これ、あれなんじゃないの?

山路:本当にLLMをきみ、わかっとるのかみたいな感じのする話だと思うんですけども。

小飼:いや、だから、本物の習近平、怒らない?

山路:で、これって単なる、便利な習近平語録を検索しやすくしたシステムのことなんじゃないかっていう気がするんですけども、AIというより。

小飼:だから、こいつがハルシネートした場合っていうのは絶対に、本物のリアル習近平がブチ切れると思うんだけども。

「Microsoftの強み」と「冴えないGoogle」

山路:またIT企業冬の時代が来てしまいますよね、中国で(笑)。ということで本格的なAIの話のほうなんですけれども。Microsoftがこの前に開催したMicrosoft Build、そこのところですごいAI戦略っていうのをバンバン打ち出したと。その中でかなり注目されるのが、このCopilot+PCっていう企画を打ち出した。パソコン、そういうAIチップを搭載したパソコンの上で新しいWindowsを走らせて、AIに最適化した、生成AIをとても使いやすくしたパソコンとWindowsの組み合わせを売っていこうみたいな作戦なんですけども。ちょっとデモで見た、Recallでしたっけ? 今まで自分がパソコンでどんな作業をしたのかっていうことを言葉で尋ねると、教えてくれたりとか。かなりパソコンでどんなふうに生成AIを使うのかっていうことのビジョンっていうのが、だいぶ固まってきてるんじゃないかと思いますけど、弾さんどう見ました?

小飼:その前にさ、検索窓がさ、あっちにもこっちにもバラバラあるっていうのをどう理解してほしい?

山路:Windowsのユーザーインターフェース?

小飼:たとえば、ここにまず11の場合、ここにサーチというのが必ずあるでしょ。それはいいとして、こうすると今度ここにも出てくる。

山路:今Windows11で立ち上げてやってるとこなんですけど、確かに多いな(笑)、検索窓。

小飼:Explorerで、こっちもなのか、こっちなのか。だからこの辺のUIっていうのは、パソコンのほうが首尾一貫性が低いっちゃ低いですよね。むしろマルチウィンドウなので、UIがバラけてしまうというのか。これがスマートフォンの場合は位置決まってるし、スクリーン不動産の希少性というのもあるので、まとまってるっちゃまとまってるじゃないですか。

山路:iOSの場合ホームスクリーンからキュッと検索して、そのままウェブに行ったりとか調べもしたりとかもできますしね。そういう意味で確かにiOSとかmacOSのほうが首尾一貫してるというのはそうかもしれないけども。
 このCopilot+PC打ち出した時に、WindowsのほうでいろんなLLMをある意味OSの中で突っ込んで、自由に選べるようにするみたいな、そういう、それを利用してさらにアプリを展開できるような仕組みっていうのも作り込んできたっていうことだったりするんですけれども。

小飼:作り込んできたっていうのかな。

山路:まだ作り込んでない? まだ初歩的な段階に過ぎない?

小飼:初歩的というのか、やっぱりUIに関するセンスというのがいまいち感はあるよな(笑)。まぁでも、そもそもそれがWindowsっていうだけでかなり使われるわけですし。

山路:あと思ったのが、そのOSの中にいろんなLLMを入れて使えるようにして、それをいろんなアプリから呼び出せるようにするとか、それって同じこと絶対にAppleもやってきますよね。

小飼:というのか、Appleのほうが先行はしてましたよね、Siriにしろ何にしろ。

山路:まぁLLMではなかったですけどね。本当にここのところでMicrosoftがやっぱり歯噛みしているのは、モバイルを持っていないことなのかなとか、改めて思いましたけど。つまりWindowsでCopilot+PCとかって、いろんなLLMをやってプログラムからOSのAI機能でいろいろ呼び出せますよって言ってるのに、それをモバイルにそのまま展開できないっていうのはものすごくはがゆいんじゃないかなと。

小飼:まぁモバイルアプリはいっぱい出してるじゃないですか、Androidにしろ、iOSにしろ。ただデフォルトじゃないんですよね。これはでかい。これ「が」でかい。

山路:ここでWindows Phoneを持ってたら、ぜんぜん話は。

小飼:うん、手放しちゃう、だからタイミングが悪かったよな。ナデラに変わる前だったからね、Windows Phoneを手放しちゃったのは。

山路:ああ、そうか、ナデラになってからではないのか。

小飼:からではない、ナデラの時に、実質上のディスコンって、

山路:じゃあスティーブ・バルマーの時に、モバイルにも積極的に力を入れなかったし、やめるのは早すぎたという、二重の意味でミスったということか。

小飼:うん。まぁはっきりディスコンティニューしますっていうふうに言ったのは確かナデラになった時からだけども、だけども、もう続けませんっていうのが決まったのがまだバルマーがいた頃。

山路:その判断ミスは本当に、

小飼:いや、単に判断ミスって言っちゃっていいのかなあ。

山路:そうなの? 仕方がなかったとも言えるってこと?

小飼:うん。いや、だから、3番目っていうのは難しいなと。だからもうすでにiOSとAndroidは普及済みだったわけよ。僕はけっこう好きだったんだけどな、Windows Phone。

山路:今の視点からしてみたら、2014年ぐらいだったらまだワンチャンあったんじゃないかという気もしてきますけどもね(笑)。

小飼:もう少し頑張るべきだったのか。そう、Nokiaを買ってまでね。でも皮肉にもさ、Surfaceはもう、板についたわけじゃん。意外と他のPCベンダーとも、棲み分けができてるというか。

山路:今回、Microsoft、Copilot+ PCでだいぶパソコンとかローカルなオンデバイスのAIに関しての戦略が明確になってきた気がするんですけれども、その他ライバル、GoogleでありAmazonであり、Metaとかも入ってくるのかもしれないけど、特にライバルとしてデカいのはAppleだったりするんですけども、この辺りとAI戦略って、それぞれどう違ってくるんですかね。
 MicrosoftってやっぱりCopilot+ PCでやろうとしてるのってパソコンをAI使ってすげえ便利にして、みんな、Windowsの入っているパソコンを買ってくれて、ガーッと使ってエコシステムに入ってきてくれると嬉しいっていう感じですよね? Azureとかクラウドがあるのはもちろんなんですけれども。

小飼:Microsoftの強みっていうのは、どれもある。だから、どっちに転んでも、MicrosoftのAIを使う羽目になるという言い方もあるけれども。たとえばMacを使ってたって、Office系で使うことになるわけですよ。

山路:どっかのところでマネタイズポイントが必ずあるという。

小飼:そうそうそう、

山路:クラウドを使ったら絶対Azureで課金されるし、Bingを使ったらそこで広告、広告はそんなにでもないのかもしれないけど、あったりもするし、Officeを使ったらそこでAIを使うOfficeで課金できるしみたいな。これに対して、たとえばGoogleの場合だったら、Androidは持ってますよね。Android上でAIとかを載せてくる。

小飼:あとは自分のサイトに載せてくる。それで一つ気になるというのが、Googleがちょっと冴えないじゃないですか。技術的には決して見劣りしないのに。やっぱり課金ポイントだと思うんですよね。

山路:なんていうか、Googleが今やってることって、アクセルとブレーキを両方いっぺんに踏んでるみたいな感じがするんですけど、広告とビジネスとAIって相性、最悪ですもんね。

小飼:あと、AIの元データ自身が、今までのウェブのおかげでだいぶ汚染されてるなぁと。これ、LLMの前のAIもあれじゃないですか、ネトウヨ化するという、

山路:タイとかでしたっけ? テイか、

小飼:はい。これはMicrosoftのやつですけれども。けっこうウェブの毒に、既にして汚染されてるという感じが。

山路:そうか。オープンになっている、ある意味Googleが得意としてた分野のデータソースっていうのがあんまり使い物にならなくなってきちゃった。なるほどね。enshittification(メタクソ化)が、まさにウェブソースに関して。Googleは広告から依存しないビジネスをなんとか作ろうと頑張ってはいるんだけれども、みたいなところだから、そういうところがまだ軸ができきってないから、いまいち冴えない感じになっているという。
 Metaもわかりやすいっちゃわかりやすいのかな。Metaはある意味AI使って、InstagramなりFacebook、そのサービスを使ってくれたら、広告ビジネスが盛んになるという。

小飼:あっちのクソ具合というのも、なかなか進んではいますよね。

山路:(笑)前澤友作さんに訴えられたりとかしてますから。

小飼:そうそうそう。だから、SNSはSNSでTwitterにしろFacebookにしろ、本当にインプレゾンビが跋扈してるわけですよね。

山路:あとAIという文脈で言うんだったら、VRヘッドセットの相性がいまいちよくわからないところがありますよね。Metaの場合。VR、XRすごく推してるけれども、そこにAIで本当に、

小飼:そこに社命をかけてまで。

山路:Amazonもまぁ、今AIとかいろんなHuggingFaceとかと組んだりとか、Anthropicに投資したりとか、いろいろ動いてはいて、AWSからいろいろAIのサービスを呼び出せるようにしてますけど、あんまりトッププレイヤーみたいな感じで動いてないような。

小飼:には見えますよね。

山路:これはAmazonがロボットとか、ルンバみたいなロボットとか、あるいはAlexaみたいなもんとか、そういうものとかでAIを進めようと、いわば静かにしてるところなんですか、力を蓄えてるところなんですかね?

小飼:あるいはAWSの目玉サービスに持っていこうか。

山路:なるほど。そこの最後に来るのが、GAFAMで言えばAppleなんですけども、AppleはAIで結局MacとかiPhoneとかを便利にして買わせようという。

小飼:まぁ、そういうことです。

山路:ある意味、一番わかりやすいビジネスといえば、一番わかりやすいですよね。

小飼:あとAppleの場合っていうのは、元にするデータというのが、それぞれのユーザーになりますよね。プライバシーに突っ込める分は嬉しいんだけども、でもなんでLLMがLLMかって言ったら、Largeだからですよね。パーソナル以外のベースになるデータっていうのは必ず必要になるわけですけれども。だからそこの部分も本当にどうやって切り分けるのかっていうのはね、たとえばChatGPTも、動画の学習データどうしたんだよって言ったら、口をモニョモニョさせたじゃないですか。

山路:Appleなんかはヘルスケアとかで差別化していきそうな気はするんだけれども。

「BtoBであるMicrosoftが強いのかな」(コメント)

小飼:BtoBもできるというね。

山路:BtoBを握ってるほうが強かったりするんですか? このコメントの趣旨っていうのは、BtoBを握ってるからMicrosoftが一番、この中では強いっていうことを言いたいのかなと思ったんですけども。

小飼:BtoBを握ってるから強い、ね。いや、一番負けにくいという感じはしますよね。

山路:とりあえずOfficeみたいな、OfficeにAI入っていればまぁまぁ使うから、大外しはしないだろうという気がしますけどもね。

「データが取りやすいのかなと」(コメント)

山路:ああ、なるほど。確かに企業内データを使って、たとえば企業の中で使うナレッジベースみたいなものを、そういうAIを構築しやすいというのがありそうな気がしますけどもね。いや、本当にここのところ、Microsoftの今回の手というのはどうでしょう? 効果的な手ではあんまりない?

小飼:あんまりないっていう、もちろん効果はありますよ。

山路:ユーザーに対する訴求としては?

小飼:劇的に見えないところというのが、むしろ強いところですよね。

山路:今までのパソコンを使っているみたいな感覚で自然に入ってくるという意味?

小飼:うん。

山路:本当に次回6月11日はちょうど、AppleのWWDCがその前にあるから、Microsoftの戦略とかとちょうど比べられていいかなと思うんですけれどもね。

小飼:すいません、あれ、ちょっとこれ、エアコンちょっと弱めて。

山路:冷えてきました?

小飼:寒い。

山路:ああ、それは風が直に当たってましたか。

小飼:失礼しました。業務連絡。

山路:寒さ弱いですね。寒がりですよね(笑)。じゃあちょっと、IT絡みで、

「弾さんは寒さに弱い」(コメント)

小飼:弱くなった。弱くなったというべきだよ。

山路:それはやっぱり脂肪が落ちたからということになる?

小飼:それもやっぱりかなりあるのかね。うちとかでもやっぱりエアコンの設定温度で、

山路:私が暑いと感じるような温度にしてたりしますもんね。

小飼:ちょっと見せて。温度じゃなくて、これは、これは自動はないのか、自動モードはないのか。

山路:じゃあちょっとIT絡みの話で、全国自治体のITシステム共通化の話、ちょっと行っておきましょうか。これまでこの『論弾』とかでも何回か言ってきたような、地方自治体がそれぞれITシステムを作るのってバカげてるよねっていう話っていうのは。

小飼:いや、だから、こんなのは何と言えばいいのかな、30年前から進めてるべきことだよね。わざわざ話すの?

山路:みたいですよね(笑)。ただまぁ、しないよりはマシという。

小飼:いや、たださ、これってみずほとかグリコみたいになる可能性っていうのも。