「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2023年04月04日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年04月18日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/04/04配信のハイライト
- 日本が買うトマホークの発射ボタンはホワイトハウスにある?
- 「インドでリチウム鉱床発見」から「エネ放題の未来」について
- ゴードン・ムーア逝去とIPAサイト問題
- AIヤバいからこそ、止まっちゃダメ
- まだAIは手足は置き換えない
- 「いっぱい綻びが出てるTwitter」と「ニコニコ衰退の責任」
日本が買うトマホークの発射ボタンはホワイトハウスにある?
山路:今日、タイトルにもあるようにAIの話とかメインになると思うんですけれども。最初、軽いところから行っといたほうが、
小飼:山路さんの軽いというのが、
山路:いや、これは本当に軽いですよ(笑)、
小飼:鼎の軽重がわからん、あはははは、いやー重いじゃん。重いじゃん、虹色じゃん、あれじゃん、要はゲーミング連載というのが、Appleの配信プラットフォームでは禁止されちゃったんですよね。ゲーミング下痢。
山路:ゲーミング下痢(笑)、ああ、輝いてるからね。七色に輝いてるから、あれゲーミングなんですね(笑)。
小飼:まあでも、Appleのプラットフォームでも、普通にウェブブラウザからはSafariでも見れますよ、ちゃんと。
山路:いやー、なんていうか、「まさに外道」って、いやどっちが外道なんかよくわからんけれど(笑)、ただよく今まで見逃してもらってたな、むしろ(笑)。これ、この漫画のそもそものタイトルもちょっとなかなか配信とかでは口にするのに、
小飼:画太郎先生のコピペ、ネタの使い回しっていうのはさ、AI化待ったなしだよね。だから、いまだにガタロウ先生が手でやってるのだろうか。やっぱりAIで生成してほしいところですね、これは。
山路:あれってやっぱ毎回毎回、ちゃんと描いてるんですか(笑)?
小飼:いや、毎回毎回自分でコピーにかけて、
山路:コピーにかけて(笑)?
小飼:修正して、コラージュして、
山路:それAIは(笑)、
小飼:でも書き下ろすものは書き下ろしてるんだよね、だから少なくとも七色下痢は今回書き下ろしてる、少なくとも塗り下ろしてはいる、
山路:でも七色下痢、めっちゃもう(笑)、3回か4回ぐらい出てきますけど(笑)。
小飼:いや、だからちゃんとトラックがトナカイになったりね(笑)。
「どういうこと?」(コメント)
山路:って、漫☆画太郎先生の、『漫古☆知新』というその、どうしようもないタイトルの漫画がiOSアプリ版では配信できなくなったんですね。だから、Safariとかでその『ジャンプ+』のページにアクセスして閲覧してほしいという(笑)、
小飼:ちゃんといちおうリンク出しておきましょうかね。
山路:ただこれ、真面目な話すると本当に、プラットフォームごとにけっこうな検閲基準が違ったりとかして、なおかつ、それでめちゃめちゃ配信の影響ってデカいじゃないですか。本当か、配信するほうは大変だなって。
小飼:いや、だからそこをやっぱりね、まあでも、今回はちゃんと配信停止になるというのがネタになるというね。
山路:漫☆画太郎先生にとってはけっこう、箔がついた話ではあるかもしれませんけれどもね。ということで、最近のニュースとか行きたいんですけど、ちょっと硬めのニュースから言っていいですか? イギリスのTPP加盟って、これデカくないですかと。
小飼:ああ、Brexitした以上はということなのでしょうかね。いや、でもイギリスの一つや二つが入ったぐらいじゃ、アメリカの抜けた穴って埋まらないよね。
山路:「イギリスの一つや二つ」ときましたか(笑)。
小飼:いやまぁ、でも実際にそうじゃん。だから経済規模も日本の半分じゃん、弱じゃん。
山路:じゃあ全然特に大きな影響はなかったりとか、
小飼:だけれども、イギリスが来るとTPPのメンバーの中では2番目のエコノミーということになるのか、今は? 本来はアメリカが1番で日本が2番でだったんだけど、アメリカが抜けちゃったので。だから今日本、カナダの順か?
山路:TPPって今ちゃんと機能してるんでしょうか? と。
小飼:機能はしているはず、だけれども、パンデミックのおかげですっかり霞んじゃったよね。
山路:ああ、そういうことか。それがあってから、なんかいろいろ貿易自体とかが収縮したりとかシュリンクして、
小飼:だから加盟国の間の国境の敷居を下げましょうというのがTPPの意義だったんだけれども(笑)、パンデミックのおかげで各国ともビャーンと敷居を上げちゃったので、だから今は各国もTPPのことを忘れてて、パンデミック前はどうだったのかなーというのを恐る恐る戻しているというフェーズだから、加盟申請するとしたらある意味、いいタイミングではあるよね、世界各国がもうパンデミックに根負けしても、はっきり言います、根負けして、
山路:根負け(笑)?根負けしちゃうとね。
「中国と台湾とフランスが入ってくれたら」(コメント)
山路:それはもはやパシフィックではないのでは? というか、イギリスが入った時点で、
小飼:もはやWTOでいいじゃないかという話になりますけど(笑)、でも、そうなるべきなんだよね。いや、だけども本当にパンデミック前というのはさ、全長400mのコンテナ船が毎日のようにスエズ運河を抜けてった時代だったわけだよね。それと同じくらいの大きさのクルーズ客船が、世界中クルーズしてたわけだよね。けっこうスクラップしたよね、クルーズ客船とかって。
山路:え、スクラップにしたんですか?
小飼:したしたした、
山路:需要が減ったやつを? え、そんなにあっさり需要が減ったら、スクラップっていう、
小飼:需要戻りつつあるけれども、少なくともパンデミック前の水準ではないから。
山路:そんなに手軽にスクラップにするんだ(笑)。
小飼:手軽にスクラップにするんですよ。だいたい1隻1000億円ぐらいするんですけど、だから一番大きなクルーズ客船っていうのは。
山路:それでも放っておく維持費よりも、スクラップにしたほうが安いっていうか、お得なわけなんだ。
小飼:そうそうそう、だから一昔前のやつとかっていうのをボンボン、スクラップにしたんですよね。
山路:へぇー。
小飼:いや、でも動く物体としてすごいですよね、最近のクルーズ客船というのは。
山路:なるほどね。ちょっとコメントで「TPPのメリット何?」ってあるけど、それ、さっき言った国のあいだの余計な関税だったりとか、いろんな細かい決まりとかがより少なくなって貿易しやすくなるってことですよね。
小飼:そうそうそう。
山路:これ、あとTPPの話に戻るんですけど、中国がもう加盟申請してるじゃないですか、台湾が出したら、あとを追うように中国も加盟申請はしてきたじゃないですか。あれってどうなると思います?
小飼:どうするんでしょうね。
山路:TPPの他のメンバーのほうがってこと?
小飼:うん。加盟条件って何だったっけ? 現加盟国、
山路:全員じゃなかったかな?
小飼:だから、NATOとかと一緒か。
山路:これ、中国ってRCEPとかもあるやんけみたいな、
小飼:だから、中国入れるんであれば、アメリカの再加盟と同時ぐらいでないと、バランスオブパワーが(笑)。EUとTPPとか、あるいはASEANとか、要するにアジアの状況とヨーロッパの状況で何が一番違うかって言ったら、国の大きさの比率がものすごい不均等なんだよね、アジアのほうの。だから、まずアメリカと中国が超大国としてデーンとあって、ずいぶん小さいけれど、それでもイギリスとかフランスの倍以上の日本がデーンといて(笑)。
その日本の半分というのか、韓国がいて、さらに小さなところにベトナムがいてっていう、これがヨーロッパだと、イギリスはBrexitで抜けちゃったけども、ドイツ、フランス、イタリアってかなり似てるじゃないですか、経済規模も、人口の規模も。
山路:そもそもTPP的なものとかって、ある程度アメリカ中心にもともとはやろうと思ってた集まりですもんね。
小飼:でも、その肝心のアメリカが抜けちゃったという、ただ似たような話というのは国際「連盟」の時にもありまして。
山路:人の集まりっていつも同じっていう、
小飼:そうなのよ、アメリカがぶち上げといて、アメリカが最初入らなかったという(笑)。例の日本が抜けちゃうやつですね、国際連盟というのは。
山路:バイデン政権に本当に同情するところとして、トランプの尻ぬぐいにめっちゃ手間かかってませんかと。
小飼:まだ尻ぬぐい終わってないところですね、TPPから抜けちゃったのは。
山路:国際関係のやつでいうと、今度はフィンランドがNATOに加盟確定という。今日したんだっけ?
小飼:地図見るとわかるけれども、本当にロシアの西側の国境というのは本当にNATO、NATO、NATOになっちゃったよね。冷戦の頃というのは他の国を挟んでたんですよね、ワルシャワ条約機構というのは大昔にあって、の国というのは挟んでたんです。今やNATOの加盟国なので、直にNATOと国境を接してるんですよね、今のロシアというのは。
山路:それにしても(笑)面白いようにみんなNATOに入りたがってるじゃないですかと(笑)。
小飼:だからそれも、プーチン一代でそうしちゃったというのがね。
山路:こんなに、フィンランドってまぁ申請してから何ヶ月か経ちましたけど、いざ批准したら、もうそれこそ数日で実際に加盟みたいな、こんなスムーズに入れるんだと思いましたけどね。
小飼:うん。トルコも「いいよ」って言ったので。
「入らNATO」(コメント)
小飼:いや本当に「入らNATO(ネイトー)」だよ。
山路:みんな、そんな感じのノリにはなってますよね。
小飼:そう、バルト三国もNATOですし、ポーランドもNATOですし。今ロシアの西側でNATOでない国というのはベラルーシくらいじゃん(笑)。
山路:ベラルーシもあと謎なのが、ロシア、核配備するって言ってるじゃないですか、ベラルーシに。その前では国外に核は出さないって言ってたじゃないですか。ベラルーシは国内なんだと思ってるってことなのかよっていう(笑)。
小飼:まぁでもその一方で、ルカシェンコさん、のらりくらりと派兵を逃れてるよね。
山路:核配備はいいんですかねって(笑)。
小飼:核配備はいいのかよ。まぁでも兵隊は送りませんよという。のらりくらりと。
山路:核は配備されてもそれで実際に使われるかどうかは別問題だからってことなのかなぁ。ルカシェンコの処世術ってよくわからんところが。
小飼:というのか、いわゆる戦術核っていうのは冷戦で削除されたはずのものなんですよね。だから、今各国の核兵器というのは、いずれも戦略、かつての戦略核っていうべきなのかな、に分類されるものですよ。だから、要は戦術と戦略の違いっていうのは、戦術核というのは使うか使わないかというのは現場の軍人が決められるわけです。
山路:そうなの?
小飼:いや、だって普通に大砲の弾頭だったり、あるいはもう、いや、潜水艦はみんな戦略だね、クルーズミサイルも含めて。要はホワイトハウスないし、ロシアだったらクレムリンからの発射命令というのがあって初めてあれですけれども。
山路:ウクライナ戦争始まってからずっと核の話は出てましたけど、
小飼:いや、だからベラルーシの核というのはボタンを押すのは誰っていうこと。配備するけれども、ボタンは相変わらずプーチンでないと押せませんよっていうふうに言ったら、ベラルーシ、なんかいいことある? だから、それを言うと日本がトマホーク買うって言ってますけれども、トマホークの発射ボタンというのは誰が持ってるんですか?
山路:あー、日本ではない?
小飼:日本で、いや、でもトマホークは通常弾頭も載せられますし、実際に通常弾頭を載せたやつというのが中東で使われましたけど、イラクでも使われましたけど。
山路:特に違うのが載せられた時に、それは日本のコントロール下にあるわけではなくなってしまうということ?
小飼:いや、買うと言うからには、それ日本のものでしょうと。
山路:通常のやつでしか使わないと。
小飼:だけども、基本的にトマホークというのは地上の固定目標を狙うものなんですよね。対艦ミサイルのバージョンも開発されはしたんですけれども、今はもうそれは引退しちゃってて。今いるトマホークというのは固定の地上の目標ですよね。主なところというのは基地ですね、特に飛行場ですよね、を狙っているわけですけど。それって日本で目標設定して、日本で発射できるんですか? と。巡航ミサイルというのは足が遅いので、普通の旅客機ぐらいの速度しか出ないので、けっこう早めに撃たなければいけないんですけれども、ということは日本は先制攻撃するんですか、という。けっこう日本がトマホーク買う問題というのは、自衛隊ってこの兵器に手を出さないっていうのを少しずつ少しずつ手を出してきた歴史なんですけど、その中でもけっこう大きいんですよ、トマホークを。
山路:核を持つ話にもちょっと関わってくるか、
小飼:今のところ核兵器は抜きにしても、例えば一昔前というのはAWACSとか、要するに空飛ぶレーダーですよね、とか空中給油機とかっていうのは、要は日本の領土領海よりも外に手が届いてしまうので、まずいんじゃないかという、でも結局買ったわけですよね。だから今の自衛隊というのは、AWACSも持ってますし、空中給油機も持ってます。
でも、それよりもデカいんですよ、トマホークを持つっていうのは。だって専守防衛には使えないですもん。だから、僕は個人的にはトマホークを買うんであれば、もっと他のミサイルを買って装備すべきだとは思いますけれども。だから、質的な意味合いが違うんですよ。ちょっと話がずれちゃいましたけれども、でも本当にベラルーシの核に通じるものがあるんですよね。だから、ベラルーシに核があるといっても、実体はロシアのミサイルであると。日本のトマホークというのも、実体はアメリカのミサイルというふうに、少なくとも世界は見るでしょうね。山路さんもそういうふうに、たぶんトマホーク買えって言ってるミリオタの皆さんは「山路さん誤解してる」って言うと思います。僕もいちおうそうは言っておきます。でも、実際のところ、発射ボタンはホワイトハウスにあると思いますよ(笑)。要は日本のお金でアメリカの軍備増強を手伝ってあげるという構図にしかならんと思いますよ、実態は。むしろ日本が勝手に使えるっていうふうになったほうが問題になりますよ。
山路:なる。おおー。なんというか、その兵器の仕様とかを知らんと、
「ミリタリーの勉強ってどうしてるんですか?」(コメント)
小飼:いや普通にニュース見るだけで入ってきますよ。英語でニュース見てるだけで入ってきますよ、それは(笑)。
山路:まぁしかし興味関心がないと、そこのところでなかなか身につかないところではありますけどね。
小飼:まぁそれはありますね。
「インドでリチウム鉱床発見」から「エネ放題の未来」について
山路:私なんかミリタリー関係の兵器の情報を聞いても、なんか右から左に抜けていく感じがするんですけども(笑)、なかなかこう覚えられんもんがある。じゃあちょっときな臭いことにこれもつながるかもしれないけども、国際ニュースでもう一つ。これをきな臭いと捉えるかどうかっていうのはまた別問題なのかもしれんけど。インドでリチウム鉱床が見つかったという話。これがまた、なんかきな臭い辺りにあるのかな。
小飼:なんできな臭いと、
山路:パキスタンとの係争地。
小飼:ああ、そうかそうか。いや、なんだけれども、石油よりは大きくないんじゃないかな、というのも、今のところ、石油ほどの需要がないっていう言い方も変だけれども、前にもこの番組で言ったことあると思うんですけれども、リチウム電池で一番制約のある資源というのはリチウムじゃないんですよね(笑)。
山路:マンガンだったりとか、
小飼:そう、だからかつてはコバルトだったり。これとかは未だにコバルトを使ってます、コバルトを使うというのが一番いいんですが、コバルトってリチウム電池抜きにしてもけっこう貴重でお高いものなので、初めからそれ以外のものというのは模索されていて。今はちょっと性能を落とせば、リン酸鉄でもいいというのがわかってて。今の車用のリチウムイオン電池とかっていうのは、リン酸鉄でガンガン切り替わっているところですよね。
山路:ただリチウムは重要であることは間違いない、
小飼:重要であることは間違いない。
山路:ですよね。
小飼:ただし、いざとなれば海水からでも採れます。
山路:ただそれが採れるとは言って、今の何十倍ものコストだったら現実的にはあんまり意味がない、
小飼:そういうことです。でも、結局のところどこから採るか、その資源をどこから採るかっていうのの一番の制約条件っていうのは、それ掘るのに、それ手に入れるのおいくらなの? なんですよ。よく日本は資源ないって言うでしょ。いや、とんでもない、実はどっさりあるんです。実際どっさりあるんだけれども、海外から買ってくるほうが安いので(笑)。例えば貴重なレアメタルとしては、かつてはインジウムというのは日本でほとんど採ってたんですけれども。フラットパネルのLCDとかの透明電極というのは、インジウムの入った合金で作るんですけど、ごく微量だけども、ないととても困るというものなんですけども、それは北海道の鉱山でほとんど採ってました。
山路:え、世界のほとんどを?
小飼:そうそうそう。
山路:へええ。
小飼:なんだけども、中国で採ってくるほうが安いということになって閉山しちゃいました。
山路:へー。
小飼:なんで閉山したかって言ったら、資源がなくなったからではないです。もう掘っても出てこなくなったから、ではないです。他から持ってきたほうが安いから。だから有名な例っていうのは石炭がそうですよね。コストかければ日本からでも、まだいくらでも出てくるんですよ。
山路:経済の壁という、
小飼:経済の壁なんですよ。だから経済の壁がどれくらい大きいかっていうふうに言いますと、炭酸ナトリウムという非常にローテクでいっぱい使われている物質がありますよね。それがないと洗剤とかもできないし、ガラスとかもできないしという、どっさり作る。それを化学的に構成する方法としてはソルベイ法というのがあって、これ、化学の歴史では必ず出てきます。
山路:ソルベイ法。
小飼:ソルベイ法。それを見つけたソルベイという人はそれで大金持ちになったんですけども。じゃあ、今どこで一番多く手に入れてるかって言ったら、
山路:掘ってんですか?
小飼:そうなんですよ、実は天然物があって。もっと安い天然物があるんです。
山路:じゃあソルベイさんは何のために合成の手法を考えたんですか(笑)?
小飼:いや、だから当時は鉱山が見つかってなかったから。アメリカにあるんです、今、世界最大の。天然物が、トロナ石って言うんですけど、アメリカにあるんです。
山路:へえ。後で見つかったわけなんだ。
小飼:今、逆に天然物を持ってきてます。でも、その逆に例えば、天然物だったというのが人工物になったというのはいっぱいあって、一番有名な例というのはこの番組でも何度も何度も取り上げているハーバーボッシュ法由来のアンモニアですね。かつては硝石、あるいはチリ硝石というのは天然物だったわけですよね。でも、今はニトロ基というのはいったんアンモニアを作ってから、それをオストワルト法で酸化して採ってますよね。
山路:経済とかいうかそういうことの、いかにコストの問題によって入手手段も全然変わってくるわけなのか。
小飼:そうそうそう。なので、リチウムも地上のぶんというのが枯渇しちゃったら、もういざとなったら、あるいは電気がもっともっと安くなったら、海水から採るのが一番安くなるはずです。
山路:じゃあもしかして、再生可能エネルギーとかの効率とかも上がってきたら、採算が取れるぐらいまで、
小飼:というのか、再生可能エネルギーのインストールベースが大きくなったら。要は例えば今は昼間とか発電しすぎの時にはスイッチオフにしちゃってるんですよね、もったいないことに。だから、その代わりに海水を電気分解するとか、あるいはアルミニウムを精錬するとかっていうふうには使えるわけです。
山路:そうか、あんまりリチウムイオン電池とかで資源問題っていうのは、それほどのネックになるわけじゃない、
小飼:いや、なんといえばいいのかな、再生可能エネルギーにskepticalな人たちっていうのはいるじゃないですか、やたらケチをつけたがる人たち。やたらケチをつけたがる人たちのケチのつけどころの一つとして、リチウムというのはあるんですけれども、足りなくなる状況というのは今のところ考えられないですね。だから、今のところ一番の問題っていうのは電池の生産能力です。
山路:ちなみにこのインドでリチウムが掘れるとしても、製造は中国が担うことになるみたいなふうには書かれてましたけどね。
小飼:インド人、映画作れるんだったらさ、ちゃんと電池も作れるように(笑)、なんかすごい無茶苦茶な話の振り方だと思うけどさ(笑)、でもどっちも高度な技術には変わらないわけじゃん。
山路:なかなか面白いというか、リチウムちょっと安心、そう聞くと安心するものがありますね。
小飼:いや、だから太陽光と風力とリチウム電池に関しては、もうあとは量の問題なので。しかも、リチウム電池はその後にさらにナトリウム電池というのも控えているので、リチウム電池ほどの性能はないけれども、とにかく材料が、それこそ海水でいいので(笑)。もちろん塩化ナトリウムですら、海水よりもさらに岩塩は安いということで、今日本の塩化ナトリウムというのは、岩塩と、あとメキシコの塩田からだから採ってきたやつですね。ちなみに塩化ナトリウムというのは、ほとんど工業用に使われています。
山路:それ、岩塩がけっこうなシェアになるぐらいに安く採れると?
小飼:そうなんですよ。
山路:そうなんだ(笑)。
小飼:そうなんですよ。
山路:そうか、面白いな。技術が発達したりとか、あるいはその経済状況が変わると逆に昔ながらのほうが、
小飼:(コメントを見ながら)そう、メタンハイドレートは、それもいい点です。たぶんメタンハイドレートは資源の量だけ見たら、今の天然ガス田よりも大きいと思われます。ただし今は採掘コストがもう全然割に合わない。だから、何らかのブレークスルーでものすごい安く採れるようになったら。というわけで、メタンの資源もあんまり心配はしてないですね。というのか、むしろ地球温暖化のことを考えたら、勝手にメタンが大気中に出るというのはなるべく避けたいんだよね。炭酸ガスにしちゃったほうがまだマシなんだよね、炭酸ガスと水にしちゃったほうが、燃やして。
山路:これ、資源枯渇の話になると、銅とかどうなんですか? copperのほうの銅。
小飼:あ、あれだ、銅はですね、確かに資源、今言ったものよりはずっと少ない、ほとんど、昔から使われてて、ある程度の量があるということで、コモンメタルに入ってますけども、単純にクラーク数とかから見たら、レアメタルに分類したいぐらいのものなんです。ただし、すごいいっぱいリサイクルできる(笑)。リサイクルがすごい簡単。リサイクル率がものすごい高い。
山路:しかし需要ってまかなえるんだろうかみたいな。
小飼:うん、足りるのはわかってる。
山路:そうか、じゃあ資源が足りなくて困るみたいなのは、あんまりないのか。
小飼:ない、あのね、うまいこと、ここはなんて言えばいいのかな、資本主義がうまくできてたところで。供給不足になると単価が上がって、それで新しい採掘手段というのが開発されて。
山路:ソ連で回らなかったサイクルだ、
小飼:だから石油がもう40年間、「あと40年間しか持たない」って言われてきた一番の理由はそれです。
山路:誰も今、言わなくなってるからなー(笑)。
小飼:資源枯渇というのは、少なくとも元素レベルではないですね。元素とか、すごい単純な化合物レベルでは、モノマーのレベルではないですね。
「オーランチオキトリウムって断念したんだっけ」(コメント)
山路:藻ですよね、藻類の、油を産生する藻類ってやつかな。結局それも、コストの問題ですよね。
小飼:たぶん、原因がバレル200ドルくらいの時代が来たら、そっちも行くんではないかなと。まだまだ安すぎる。まだまだ、たかだか100ドルくらいで、たかだかって言っちゃうとあれだけれども。
山路:最近EUのほうで、ドイツがちょっとその内燃機関をもうちょっと作らせてくださいよと、売らせてくださいよということで、合成燃料の内燃機関はOKになったじゃないですか(笑)。
小飼:いや、だからそれは何重にもおかしい、合成燃料というのは全然グリーンでないから。普通に、単純に化石燃料のほうがまだグリーンだから、少なくとも今のところは。本当にe-fuelっていうやつと、水素っていうやつよりもタチ悪いね。
山路:本当に、業界の都合で動いている話にしか見えないんだけどもなぁ。
小飼:というのか、そもそも目処ねーじゃん。目処立ってねーじゃん。だから、少なくとも30万トン級のオイルタンカーの腹を満たせるぐらい作ったっていう実績、持ってきてからe-fuelって言ってほしいな。
「じゃあドイツの真意は何かあるの」(コメント)
山路:これって業界団体の突き上げじゃないのかな?
小飼:というのか、今のプロジェクションで言うと2035年までに全部、電気自動車というのは間に合わないんじゃねっていう懸念があるんだと思う。僕は間に合うと思うんだけどね。
山路:じゃあちょっといちおうオプションとして残しておきたいっていうことなのか、
小飼:そうそうそう、
山路:合成燃料と言いつつ、間に合わんかったらガソリンでも動けますみたいな、
小飼:一番最低なのは、水素内燃機関。
山路:ははははは。電気使えよと、電気そのまんま使えよと。
小飼:まだ燃料電池のほう、まだFCVのほうがマシ。いや、だからGAZOO Racingとかさ、ちょっと死んでほしいんだけど、はっきり言って。
小飼:そもそもFCVですらもはや正解ではないんだよね。かつては正解だと思われてた。なんだけどもう、これはBEVでいいと。だから、普通のリチウムイオン電池直充電でいいんだというのが答え出ちゃってるから。
山路:バッテリーEVのBEVですよね。
小飼:あれよ、Teslaは直近の四半期でもう45万台作ってるんですよ。これはかける4すれば、本田の生産台数に匹敵しますよ。もう、そこまで生産能力も来てるんですよ。
山路:そんな中で、この日本の首相がまた言ったのが、水素の利用を、これから6倍、2030年までに、
小飼:いや、だから頼む、やめて! や、め、な、さ、い。
山路:もうペチャンて潰したくなる感じなわけですね、
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