「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2022年04月19日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2022年05月10日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2022/04/19配信のハイライト

  • 『月曜日のたわわ』と「世の中こんなもんだなって思い込ませる」広告
  • 「吉野家シャブ漬け」解任の「問題点」
  • マスクTwitter買収提案と「株主は神様」
  • 株式会社と違う「新しい形態」と「利益の上がらない仕事」
  • アメリカのレンドリースの意味とロシアの「極道戦車」
  • 「 開張型の稲」と「標準理論」「新しい発電素子」

『月曜日のたわわ』と「世の中こんなもんだなって思い込ませる」広告

小飼:夏時間ということで、10分ほど、

山路:中途半端な夏時間だなあ(笑)、

スタッフ:機材トラブルで申し訳ありませんでした。

小飼:ハードウェア的に問題があるやつで、今回は本当にバックアッププランが使えたということで、ちょっとありがたかったです。

山路:配信用のアプライアンスがなんかちょっとバグったかなんかしてうまく動かなく、フリーズして動かなくなって、パソコンに直結して配信したということでいいんでしたっけ。

スタッフ:スイッチャーはそのまま、ビデオ入力で入れてやるっていうやり方でやってます、ケーブルが弾さんのうちにあって助かりました。

「稀によくある」(コメント)

山路:稀なのかよくあるのか、どっちなのか。

小飼:2:1ぐらいとかね。

山路:で、早速なんですけれども、今日タイトルに会社を買うってどういうことみたいなこと書いたんですけれども、

小飼:なんかいっぱい事例が出てきたよね、

山路:すごい事例が(笑)。いきなり今日飛び込んできた事例がこれですよ、

小飼:あれです、シャブ漬け来ます、シャブ漬け来ます。皆さんもちゃんとあれですよ、でもこういうところでシャブ漬けっていうふうに言ったらね。

山路:どうしましょう、シャブの話から行っちゃいますか。

小飼:シャブ漬け丼から行く(笑)、

山路:シャブ漬け丼(笑)『月曜日のたわわ』あたりから、

小飼:すごいタイトルだなこれ、すごいタイトルだなあ。

山路:うん(笑)、

「月曜日のたわわ生娘さんシャブ漬け」(コメント)

小飼:(笑)、ひどい! ひどい、ひどい。

山路:月曜日のほうからいきます? 月曜日のほうからちょっと行ってみましょうかね。

小飼:そっちのほうが軽い話題と言えば軽いわな。

山路:じゃ、これから行ってみましょうか。これ『月曜日のたわわ』という漫画がありまして、ヤングマガジンかな、

小飼:ではなくて、元々このタイトルの通りに月曜日に上げてたんですよね。いつも月曜日に。で、まあそれがまあ人気になって、メジャーデビューして、でいいのかな?

山路:もともとは同人誌というか、

小飼:同人誌というよりTwitter漫画ですよね。

山路:それがまあこの日経の全面広告でバーンと出て、月曜日、まあこう元気に、みんな元気になるみたいな感じの、そういうコピーがついていて、

小飼:まあ、微エロで釣るっていうのは、まあ別に珍しくもなんともないわけじゃないですか。なんだけど、だから腹を立ててる人の声で一番大きかったのは、絵とかそういうことではなくて、だからコピーライティングのほう。

山路:あー、

小飼:要は、これで今週も元気にとかって言って、いや、でもこれ、見られてるほうはたまったもんじゃないと。

山路:ああ、つまり女性の側にとってはっていう。

小飼:そうそう。

山路:嬉しいのは男だけやろうという、主に。

小飼:人類の半分に中指を立ててるなという(笑)。

「お前らのことじゃないのにな」(コメント)

山路:相当これもまた炎上しそうなコメントですな。

小飼:炎上狙いだったのかな、どうなんでしょう。

山路:この問題ってよく本当に起こるじゃないですか。それこそちょっと前だったら、えーとなんだっけ、なんたらちゃんは遊びたい、献血のパンフで、割と巨乳キャラの子が使われて、宇崎ちゃん、『宇崎ちゃんは遊びたい』か、で何か揉めたりとか、そういうのは本当に度々あるんですけれども、今回のってそれどう考えるべきかなと。私は正直、あの全面広告見て「うげっ」とはなったんですよね、正直。

小飼:そもそも僕は日経どころか新聞全然取ってないので、本当にどこの国の話というよりも、ウクライナとロシアの話がもう全然忙しくて、え、そんなことあったのっていう正直言ってそんな感じだったんですけどね。

山路:だけど、こう何て言うのかな、男から見てもちょっとあれは「うげっ」となるというか、まあ私の個人の感想ではあるんですが、そういうものって別にそんな堂々とそういうものを見るんじゃなくて、もうちょっとこそこそ見ろよとかっていうのはまず思ったことだったんですよね。

小飼:だから、こそこそ、大勢に対して見る場としてはTwitterという理想的なメディアがあって、だからそこに収まっているうちはとても良かったんだけど、

山路:Twitterだったら自分がフォローしたものを見るっていうことだから、ある意味積極的にプル型で観るもんだけど、

小飼:だからそれをマスメディアにあてはめちゃったところでミスマッチが起こったっていう、まあ割とよくある話ですね。

「新聞にはあれ以上の広告バンバンあるやん」(コメント)

山路:まさにそうですよね。

小飼:全くその通り。まったくその通り。

山路:それこそなんていうか、医学、インチキ医学情報みたいな感じの本の広告なんかもバンバン出てたりとか、あの生霊がどうたらみたいな話とか、

小飼:今やマスメディアの広告って、もうそんなんばっかりじゃん。

山路:(笑)

小飼:だから、それでますます遠ざかるんだよね。これ、まだ紙の広告がマシかもしれない。だって、マスメディアのWebにある広告とかさ、ほんとエロ漫画の広告ばっかりやん。すいません、それすら僕、AdBlockerで全部殺してるんですけど(笑)、

山路:プレミアムじゃない、金払わないでYouTube見てると表示される広告も、凄いですよね。もう、なんか毛生え薬と情報商材しかないんかみたいな感じの。

「『プレイボーイ』の新聞広告もひどいぞ」(コメント)

山路:何だろう、誰に対して怒ればいいのかっていうのが正直よくわかんなくなってくるところがあるんですけれども。

小飼:怒る対象としては広告主でしょう。だからなんでそういうところに広告を出すんだと。いや、だからどこにどういう広告を出すのかっていうのは、販売戦略として重要じゃん。この場合は確かに、だから炎上した結果を売れるっていうことはよくあるわけじゃないですか、

山路:たしかに、

小飼:往々にして炎上マーケティングというのを仕掛けたりするわけですけれども。この作品の場合、それが適切だったかどうかっていうのは、ちょっとわからない。

山路:これが本当にそれこそ、進撃の、同じ講談社の『進撃の巨人』の広告だったら、仮にちょっとグロいシーンだったとしたらどうなのかみたいな。

小飼:あれね、巨人がエレンの母ちゃん食ってるところとかね。

山路:それだったら、またちょっと違ったのかどうかみたいなところもあるんですけど。これ、表現の自由みたいなことに関してはこの場合、弾さんは、

小飼:ぜーんぜん関係ない。表現の自由とかうんぬんの前に、商品なんです、しょ・う・ひ・ん。だから生肉を野菜売り場に置くのが適切かとか、そういう話ですよね。でも確かにしゃぶしゃぶを推すのであれば、それもいいかもしれない(笑)。

山路:しゃぶしゃぶ(笑)。

小飼:繰り返しますが、商品なんです。だから、これを公開するなとかっていうのは誰も言ってないし、Twitterで作者の人をフォローしてればいくらでも見れるわけですよね。

山路:これが例えば、今回新聞に広告として出たじゃないですか。新聞だったら、ある意味新聞を購読してる人がまあ見るもんだっていうことはあるんですけど、これが例えば、街中に大きな看板で出る場合は、

小飼:(コメントを見ながら)吉野家の話はこれからがっつりしますので、楽しみにしてください。

山路:これ町中にデカい看板でこれが出たんだったら、どうだったんでしょう? 弾さん、意見変わります?

小飼:いや、広告として効果あるのかなっていうのは、だからそれ常に思いますよね。

山路:もう単純にそういう問題であって、

小飼:それを言ったらパイプテクターとかわけわかんない商品の広告をそれは地下鉄に載せといて、だからそれでうちにも導入しようっていう人いるのかしらね。ただそういうのを置いておくことで、直接それが売り上げにつながらなくても、あ、こういう商品というのは社会的に受け入れられてるんだっていう洗脳効果は確かにありますよね。水素水しかり。

山路:なるほどね。

小飼:プラズマクラスターしかり。

山路:単純に商品に誘導するだけが目的じゃないかもっていう、

小飼:ニセ科学のほうがずっと問題なんだけれども、広告でバンと見せることで直接売れなくても、これは世の中に受け入れられてるんだ、だから世の中こんなもんだなっていうふうに思い込ませる効果は確かにある。おっぱいの大きな女の子というのは、おじさんたちの癒しなんだ、だからそれは世の中にとっていいことなんだっていうふうに思わせる効果はあるんですよ。だから実際に巨乳の人の苦労とかっていうのは全く知らずして、実際大変なんですよ。どっちかって、どっちかって言うかじゃなくて、確実に苦労が多い。だから、実際の巨乳な人というのは十中八、九、筋肉と取っ替えられるのであれば筋肉にしたいって言いますよね。

「吉野家シャブ漬け」解任の「問題点」

山路:肩こりひどいそうですしね。じゃあ、ちょっとそのこれも、企業の話なんですけど。早速これ行ってみましょうか。吉野家の、

小飼:キターーー。

山路:吉野家の、生娘シャブ漬け丼っていう(笑)、

小飼:まあこれ自体はどうしようもない話で、もう何というのかな、1発レッドカードというのか、レッドカードではなくって、審判を平手打ちしちゃったような、

山路:わっはっはっは、

小飼:なんて言えばいいのかな、ウィル・スミスをさらに1段すごくしたような事例なんですけども。一つ驚いたのが、吉野家ホールディングスが、実際のところ、シャブ漬けの、やくざ的な喩えを使うのであれば、破門したわけですよね、これを言ってのけた常務取締役の伊東さん、伊東氏を。で、どうやって破門したかと言うと、吉野家というのはまず事業体の吉野家を100パーセント子会社とする吉野家ホールディングスというのがあって、伊東氏の立場というのは、吉野家ホールディングスの執行役員、執行役員というのはこれ法的なエンティティではないんですね。だから部長とか次長とかと同じで、

山路:職名というか、

小飼:社内的なまあ呼称なんですね、日本では法的なエンティティはない、アメリカだとあるんですけど。その子会社であるところの吉野家の常務取締役、常務というのは単なる肩書きなんですけど、取締役というのはもうこれ会社法でりっぱに役割を定められてるエンティティで、まずこの2つの立場、厳密に言うとさらにこれ、雇用されてたはずなので、

山路:この執行役員っていう、ヒラじゃないですけど、従業員として吉野家ホールディングスに雇用されてたという、

小飼:そうそうそう、だから立場が3つあると思ってください。完全に縁を切るためには、この3つを全部切らなければいけないんですけれども、まず子会社の吉野家の取締役、これは親会社が100パーセント株を持ってますから、親会社のほうで株主総会を開いて、解散したという形を取れます。

山路:解任ね。

小飼:解任。あ、ごめんなさい、解散してたらあれだ、会社のほうですね、解散が当てはまるのは。別の言い方をすると、取締役というのはじゃあ誰がクビにできるかというと、株主なんですね。他の取締役にはできないです。でもニュースというのか、プレスリリースでは吉野家ホールディングスで取締役会を開いて、解任決議を出して可決したと。それで何で、株主総会やってないのにクビい出来るかって言ったら、親会社なので。親会社なので、みなしで株主総会をやったことにできるんです。

山路:100パーセント持ってるわけですもんね。

小飼:それは会社法319条ですね、一応そういう規定があるんですけれど、でもその場合にも、あくまでも見なしなので。だから親会社のほうで株主総会に相当することをやってたから、そこでちゃんと決議を取ったというのは少なくとも議事録は作らなきゃいけない。普通はその議事録の中身というのをダイジェストしてプレスリリースに乗っけるんだけど、株主って言葉が出てこない。だからそこはちょっと気になったから、だから法的にそれはOKなはず、というのか、ちゃんと、まさか法務のチェックを受けてないはずはないので、

山路:まさかないだろうと。

小飼:だから、ちょっともっとはっきり誤解がないようにとは思うけれども、OK。その次に、親会社のほうの執行役員、執行役員というのは単に偉い肩書きの、部長とかと似たような、要はだからこの人はえらい社員、従業員であるぞというのの記号なんですけれども、を解任したと。要は例えば部長とか課長とかっていうのを降格して、平社員にすると。これもあの確かに吉野家ホールディングスの取締役会の裁量でできます。ここで一つ問題なのは、このプレスリリースには、要はそのプレスリリースが発せられた本日以降、伊東氏との契約関係は無くなりましたと、ございませんと書いてあるんです。ということは雇用も無くなったはずなんですけれど。

山路:吉野家ホールディングスがそう言ってるわけなんですよね。

小飼:だから、普通というのか、こういう場合よくあるのは、すぐにクビにするのではなくて、社長付けとか、まだ写真ではあるけれども、

山路:なんか部署は、所属部署はないみたいな、

小飼:座敷牢に押し込むという、

山路:社長付けを座敷牢と言うと(笑)、

小飼:だから前段階があるんですよね、その前段階ふっ飛ばして、もう伊東氏とは一切縁を切ったと。伊東氏って書き方をしてるんです。だから、少しでも会社に立場が残っているのであれば、敬称略すはずなんですよ。
 弊社社長の伊東が、弊社取締役の伊東がとか、弊社社員の伊東がっていうはずなんですけど、一切、絶縁したからこそ「伊東氏」という表現が可能になってるんですけども、じゃあ、解雇っていうのはそんなにすばやく手っ取り早くできるもんだったのっていう。ちょっと僕もそこ、わからなくて、僕が実地で体験した取締役としての経験は、執行役員っていうエンティティがまだ日本でそれ流行ってなかった頃、会社法も今みたいにきちっとしてなかった頃、まだ有限会社すら存在していた頃のものなので、

山路:前世紀の話ですもんね。

小飼:ちょっと古いかもしれないですけども、でも、基本を押さえていれば、あ、こうなっているはずだっていうのはわかるんですね。それは何かって言うと、会社にとっての神というのは株主なんですよ。だから、神を冒涜する行為というのは要するに株主を冒涜する行為で、取締役を選任するというのはこれ、株主の特権なんですよね。だから株主が選んだ人たちなので、君たちこれ会社を経営しなさいっていう、取締役が別の取締役を勝手に解任するっていうのはできないんです。

山路:あー、なるほどね、なるほどね。

小飼:ただし代表権を取り上げるっていうことはできます、そこまではできます。

山路:取締役会の中で、誰かの代表権を取り上げることができるんだ。

小飼:そうそう、だから単なる取締役と代表取締役の違いっていうのは、代表取締役というのは法人としての、会社の決定というのはできるわけですよね。例えば契約を結ぶ時というのは、必ず会社名だけではなくて、代表取締役のサインなりハンコなり、

山路:実印、私もよく押しますよ、契約書に。

小飼:そうなんです。だから実は、日本の法務局のほうの印鑑登録というのは残ってるんですよね、実は。実はそこの部分っていうのは、完全に印鑑フリーにまだなってないんですよね、確か。法務局は確かあれは。でも、個人取引ではもう、ほぼ一切、押印するっていうことはなくなったんです。それはさておき。だから代表取締役というのは、実際に人の手が必要、法人という手がない存在で、実際に手が必要な時に、手を動かせる立場の人を法人と呼ぶ、代表取締役、

山路:法人の何ていうか、アバターみたいな位置づけなんですね。

小飼:そうです。その脳みそに当たる部分っていうのが取締役会なんです。だから、そのメンバーではあるけれども、取締役というのは。代表取締役というのはまた格別なんです、運動神経にアクセスできる、代表取締役は。普通の取締役と代表取締役の違いっていうのはそこなんです。
 だから、代表取締役を解任するということは他の取締役にもできるんですけれども、解任された場合でも、その時点ではまだ取締役なんです。その人を本当に取締役会から叩き出せるのは株主総会だけなんです。なんだけど、株主総会っていう言葉が出てこないので「えっ」てなったんですよね。で、「えっ」てなった方というのは、僕以外にもいっぱいいらっしゃったみたいで、だからおかげで法務クラスタの人たちが、一体どういう機序で、どういうフローで伊東氏を叩き出したのかというのを解説してましたよね。僕もあれなんですよ、親会社なので、親会社のほうで、そう、見なしでOKになってたんですね、僕も319条の実例っていうのはあんまり知らなかったんで。見なしでOKになった、見なしでOKになったけど、見なしでやったというのがプレスリリースになかったというのがまず一つ気になってたところで。プレスリリースでもっと気になったのは、会社、会社じゃないや、ホールディングスのほうの執行役員を解任したっていうのも、これもまたOKなんですよね。だからここまではOKなんですけれども、一番びっくりしたのは、

山路:執行役員を解任すること自体は、部長を降格するようなものだから、本当にそのホールディングスの経営陣の任意にできてしまうと。

小飼:一番気になったのは、本日以降、当社と同氏との契約関係は一切ございませんっていう、だから一文が最初のパラグラフの、最後のところにある。だからこれ、一言余計なんです。いや、だから本当にそれできたのと。例えば懲戒解雇とかであれば、懲戒解雇って書かなきゃいけないんです。懲戒解雇ってなかなか難しいです。この場合はOKなのかっていうの、ちょっと僕もわかんない。

山路:これ、あくまでもなんていうか思考実験とかですけども、例えば雇われた被雇用者と雇用主が、お互いに同意して、雇用契約を解除するってことはできますよね。

小飼:いや、本人の意に反して、会社における地位を取り上げるっていうのはものすごいハードルが高く設定されているんですよ。例えば役員の場合というのは株主総会が必要ですよね。役職の場合は取締役会が必要です、要は部長を課長にしたりとか、課長を平社員したりとか。

山路:執行役員をヒラにしたりみたいな、

小飼:そうそうそう。だけど、その人の最後の雇用契約を取り上げるというのは、それこそ本人が刑事罰でも食らわない限り、

山路:だけど、本人が雇用契約を解除するっていうことを、

小飼:待って。待って、だからそれは本人の意に反してる場合。本人が辞めるって言ったら、いつでも、どこでも、理由の有無に関わらず、辞めれるんです。会社を本人の意思で辞めるというのは、一身上の都合の一言だけでいいんです。そこを言いたかった。

山路:あー、なるほどね。

小飼:そうなんです。だから、普通はそういう形をとるんです。本人が辞めたというかたちにさせるんです。だからその場合は本人が辞めるっていう形にしやすいように、例えば使い込みがあったとするじゃないですか、だからこの場合、使い込みの弁済できない部分は不問にするとかね、そういうことするんですよ。それくらい、懲戒解雇っていうのは難しいんですよね。だから、この場合はだから最初の2段まではストンストンていくのがわかるんだけど、最後の段階どうやったんだろうなっていうのは。僕もこういう、これに似たような場合っていうのは、これに似たような場合っていうのとはちょっと違うな、そう、だから元役員の方に辞めていただいたことがある、辞めていただかざるを得ないんですよ。そう、だから本人の意思であれば、いつでも、どこでも。だけど、その本人の意にそぐわないためには、その本人の意思に逆らってやるためには、きちっと法的な手続きをとらないと、

山路:それこそ逮捕されても、すぐに雇用契約解除を勝手にできるわけじゃないですもんね。

小飼:そうなんです。いや、吉野家の気持ちはすごいわかりますよ。吉野家、本当、吉野家のツラに泥を塗ったわけですから。

山路:本当に、すごい塗り方ですよね、しかも(笑)。マーケティング担当の役員が。

小飼:これは一つ憶測なんですけども、その前にですね、この吉野家ホールディングスによる、リリースの前に、前日ぐらいですか、詫び文が出てるんですよね。当社役員の不適切の発言についてお詫びというのが。これは吉野家ホールディングスではなくて、株式会社吉野家の名前で出てるんですけれども、これが全然トーンが違うんですね。詫びてはいるんですけど、具体的な処分というのは全然ない。そう、大変申し訳ございませんでした、で尽きてる、だから具体的にどういう処分が発言者に降るのか、そもそも、この当社役員の不適切発言についてのお詫びという文章の中には、伊東氏の名前というのが出てこなくて、「株式会社吉野家常務取締役企画本部長が」なんです、名前が出てこない。

山路:ほうほうほう。

小飼:この文章が書かれたのは、その伊東氏本人じゃねという。

山路:何かそのメタデータか、

小飼:そう、メタデータの中に、PDFのメタデータの中に、作成者Ito Masaakiと書いてある(笑)、ちょっと待て。ちょっと待て。

山路:これってつまりは、この時点で広報を通してないのかと、疑いたくなる、広報どころか法務を、

小飼:そう、むしろこれ、不適切発言以上にまずいことなんですよ。核兵器を積んだ艦船が、統合参謀本部とか大統領とか、要は核兵器を使う権限がある人ではなくて、現場の判断で射っちゃったようなもんですね、これ。よほど深刻な問題で、ただこれに対する譴責というのは出てきてないですね、プレスには。

山路:これは結局そのまんま掲載されてるってことなんですか、今の詫び文、

小飼:そうなんです、だから今も、魚拓取るまでもなく。

山路:あら、そうですか(笑)。URLを出せば普通にみんな見えてしまうという。

小飼:共有しましょうかね。

「吉野家の顧客対応を見てると、その辺前からガバガバだよ」(コメント)

山路:どっちゃにしても、きちんと会社内のガバナンスがどうなってるのかっていうのがさっぱり見えてこない話ではありますよね。

小飼:まず最初の部分ですね、これは。

山路:当社役員の不適切発言についてのお詫び、はいはい。なるほどね。

小飼:そのまま転がってるんですね、はい。魚拓取るまでもなく。

山路:これはじゃあ本当に、吉野家の広報的には問題ないと思って出してるってことなんだなあ。

小飼:少なくとも、事業会社の株式会社吉野家にとっては、この文章は問題ないっていう、取り下げもしてないですしね。に対してですね、ここで次の行きましょう。

「吉野家トップページからも見られるぞ」(コメント)

山路:あ、そうですか、吉野家トップページから普通に見られるんだ(笑)。あー、すごい、確かに本当だ、ニュース、新着情報の中に入ってますね。

小飼:これはもうずっと表示で。これ両方見比べて見てください。とても同じトーンとは思えない。これに関する一番自然な説明というのは、最初の部分は伊藤氏のもう自作自演で、まあ要は株式会社吉野家の取締役会も通ってないし、ましてや吉野家ホールディングスのほうの取締役会も通ってない、

山路:そんなことありえるの? (笑)

小飼:いや、でもそれが一番合理的な説明なんですよね。