「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2022年02月22日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2022年03月08日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/02/22配信のハイライト
- ワクチンブースト接種と「調剤する感覚でワクチン合成」
- 「ソフトウェア産業は今や総合芸術」と「9割9分9厘は怪しいNFT」「Googleの下心」
- トリガー条項と「霞が関維新」の関係
- ウクライナ情勢と「ロシアの落ちぶれぶり」
- ウクライナ情勢の影響と「フランスの原発政策には秘策が?」
- 「核融合来る来る詐欺」と『異世界の歩き方』
ワクチンブースト接種と「調剤する感覚でワクチン合成」
山路:今日はちょっとなんかいつもと違う感じの(笑)、しかしこう、新しいスタジオなんですけれども、えらいまたそっけのないというか、愛想のないバックですよね、この(笑)。
小飼:いや、いいんじゃない?
山路:なんかこう、夜逃げしたなんか事務所跡で配信やってるみたいな感じですよね(笑)、
小飼:そういうのもあるかもしれない、
「小屋か」(コメント)
「ラジオ局」(コメント)
山路:ラジオ局ではないですね。
小飼:ハイエースからやるとかね(笑)。
「スタッフに女子がいないから」(コメント)
山路:それはかなり大きな問題ですよね。
「ラジオ番組っぽい」(コメント)
山路:それはいい意味でですね。
スタッフ:オンエアランプのせいですね、そこの。真ん中のオンエアランプ。
小飼:いやー全部緑色にしてさ、任意の(笑)、
山路:それ言ったんだけどな、それなんかクロマキーとかにするのはまずいわけ?
スタッフ:いや、まずいというか、できますよ。じゃ1回、クロマキーでやってみますか?
山路:うん、そうそうそう。なんかあの、ダメだったらダメで、
小飼:板張りっぽいじゃなくて、まさに板張りなのですよこれ、じつは。
山路:これ合成だったら、むしろ凄いよね。
小飼:合成ではなくて合板です。
山路:合板(笑)。まぁクロマキーで失敗しても、これより悪いってこともないでしょうよ(笑)。というわけで新スタジオからお送りしているわけなんですけれども、ところこでワクチン接種、3回目の打ちました?
小飼:ブースター打ちました。前回、打てる手前だったんですけれども、その週末に打ちましたね。山路さんは?
山路:私も打ってきたんですよ、先週の木曜だったかな。自衛隊のほうで。
小飼:ああ、じゃあ、あれだ、場所は同じだ。大手町の。
山路:ファイザー、ファイザー、モデルナですか?
小飼:はい。
山路:私も同じなんですけど、副反応どうでした?
小飼:あのね、重くはなかったんだけど、長く続いた。3日ぐらい、僕、なぜか今回はいつも、いつもというのか、前2回は左側に打ったので、右側に打ってみたんですけど、しばらく痛かったですね。3日間ぐらい。
山路:え、腕だけで、でも済みました?
小飼:うん。
山路:悪寒とか発熱は?
小飼:腕というのか、肩で。発熱あんまなかった。
山路:今回なんか私、めちゃめちゃ副反応きて、打ってから72時間ぐらい続きましたよ、悪寒発熱が。
小飼:おー。すごい、抗体いっぱい持ってそう。
山路:本当に、モデルナ濃いわーと思って。で、モデルナアームっていうんですか、私はこの辺からこの脇腹的なところまで、なんか痛い、モデルナアームなのかな、それも。
小飼:余ってたロキソニンテープがあったので、それ貼っといたので、それが効いたのかもしれない(笑)。
山路:ロキソニンテープ、ああバンテリン的な感じで?
小飼:要するに、普通の湿布ですよ。
山路:そうなのか、そういう、
小飼:四十肩五十肩の時にどっさりもらったやつがまだ残ってたので(笑)、
山路:そういう手があったか、なるほどな。湿布を張れば良かったか。なるほどね。
小飼:とても効いた。
「モデルナは半量だっけ」(コメント)
山路:なんか半分の量にしたんでしたかね。
小飼:で、そんなに効くんだっていう。
山路:そうそう(笑)。
小飼:そうだ、リンパ節腫れたのかもしれないね、山路さんの場合。
山路:へえ、そういうのってけっこうあるんですか?
小飼:だからけっこうモデルナの副反応で、それあるっていう言いましたね。まぁでも、慣らすと、モデルナ2回目の時がなんかやっぱ一番重いって言ってる人が、
「今週抗体接種です」(コメント)
「3回目行ってきます」(コメント)
山路:それはそれは素晴らしいですね。でもなんか皆さん、3回目打つんならやっぱり翌日と翌々日ぐらいはなんか絶対空けといたほうがいいと思いますけどもね。
小飼:いや、でも打ったその日に20キロぐらい歩いてたんだけど(笑)。
山路:それはたまたま(笑)、
小飼:いや、だから大手町の合同庁舎から歩いて帰ったんだよね、俺(笑)。
山路:いや、打ったすぐには私も来なかったですよ、だけど、
小飼:一晩ぐらいかかるね、副反応が来るのに。
山路:このmRNAワクチンなんですけど、色々他にもいいニュースがあって、モデルナのニュースを、モデルの情報を公開してるんですけど、いろいろ、
小飼:そうなんです、実はレシピを公開してて、そのレシピ通りにやったらできたというニュースですね。
山路:南アフリカの企業がまぁ、一応その少量のワクチン、実際に使えるワクチン、単にその配列だけじゃなくって使えるところまで作ることに成功したという、大量生産の話はまた別みたいですけれども。でも、それをこう、オープンソース的に作り方まで公開してちゃんと企業が再現できるようにしてやって、パンデミックの間は特許料も取らないみたいなことっていうのはなかなか、面白い変化だなと思いますね。これもう一つ、コロナ、コンテナ式のワクチン工場が作るという話が。
小飼:いや、でもさ、これを突き詰めるとさ、ナノボットを投与しておいて、そいつにデータだけダウンロードしておくと作ってくれるっていうところまで、これ行けるはずなんだよね。
山路:原理的にはそりゃそうなんでしょうけど、それを言ったら人工腎臓とか(笑)、その辺の人工臓器だってもうできてても良さそうなみたいな。
小飼:いや、まぁでもそれは、臓器の場合はほら、形とかもあるから、前回腎臓のニュースが出たけれども、単に細胞を増やせばいいというものでもないから。
山路:じゃあその増殖するだけの機能を持ったなんか装置みたいなもの?
小飼:人工T細胞とでも言いましょうか。
山路:インプラントでなんか増殖だけさせる、なんかこう雛形の、雛形っていうか、なんかワクチンを入れると、
小飼:マイクログラムの単位だしね。
山路:へー。それって実際になんか研究とかに掛かってるところがあるんですか?
小飼:まだそこまでは行ってはいないと思うよ(笑)。
山路:色々マイクロボットとかなんかの文脈で、夢物語としてはよく聞きますけどもね。
小飼:いや、だってその逆の悪用もまたけっこう簡単そうだからな。そうだよ、病原体の合成にだって使えるからな(笑)。
山路:あとはドラッグかなあ。なんかその時に応じた色んなドラッグをこう、みたいな話は絶対に出てくると思うけどな。
「マジで5Gになるのか」(コメント)
小飼:そうです、だから5Gで、そう、ワクチン認証を受けられるという、そうか、そうだよね、もうお話としては。
「3Dプリンタはものづくりの民主化はうまくいかなかったけど、コンテナ工場でバイオテックの民主化は来ますかね」(コメント)
小飼:適切に運営できるかどうかっていうのは、やっぱり別問題かもしれないけど、でも、町の薬局にその場で作ってくれるラボができるぐらいのところまでは行っても、全然おかしくないよね。調剤する感覚でもうワクチンを合成しちゃうというね。
山路:それって弾さん的には、タイムスパン的にはどれぐらいちょっと見てます?
小飼:10年かかんないんじゃない?
山路:え、本当に(笑)?
小飼:ここまで来たら。
山路:本当に(笑)? 意外に、意外に短いスパンで来ましたね。
小飼:例えばPCRにしても、今や、もう中国ぐらいになると、一つのバスで1万人分ぐらいバッとできるやつがあるわけじゃないですか。だから本当にその延長上なので。
山路:ふーん(笑)、そういうものか。なるほどね。そういうのはちょっと、そこまでとは正直思ってませんでしたよ。それはなんかなかなか希望の持てるニュースですね。じゃあ、インプラントの、
小飼:何で輸入しないんだろうね。そう、だから中国のPCRバス。何で輸入しないんだろうね。だって、東日本大震災の時の福1の時には消防車、空輸したよね、中国から。
「ソフトウェア産業は今や総合芸術」と「9割9分9厘は怪しいNFT」「Googleの下心」
山路:まぁさすがに今のところではお互いに、お互いにというか、中国はメンツ的に大喜びだろうけれども、言えないんだろうな。
「喉が痛くなっても、熱がないとPCR検査断られるみたい」(コメント)
山路:今でもまだそうなのかな。なるほどな。けっこう大変だ大変だ。じゃあもう一つ、ITがらみの話で、米国国防総省の話、行きますか。これってなんか割とデカいニュースかなと思って、どうですか?
小飼:ああ、驚きはぜんぜんない、というよりも、じつはOSSにも資金提供もしてくれてたからね、たとえばTCP/IPというのも、
山路:DARPA?
小飼:まだ当時はDが頭に付いてなくてARPAで、だから最初はARPANETだったわけだよね。ちゃんとお金出してくれたし。で、暗号も今ありとあらゆる場所で使われているAESとかも、あれはNSAだけれども、
山路:ARPAにしてもそのDARPAにしても、必ずしも軍事と、
小飼:(コメントを見ながら)アパホテル(笑)、伸ばします、Rが入る、AとPの間にRが入りますので、ARPAです。
山路:必ずしも、軍事技術直結のものだけじゃないじゃないですか、金出してるのって。あれってなんか不思議な組織ですよねと。
小飼:あのね、軍隊って言うのは、外敵と戦うって言うのは、その機能のごく一部なんだよね。だって、アメリカとかだと、ダムの管理とかっていうのもあれよ、だから陸軍工兵隊がやってんのよ。
山路:え、こういう、じゃそのベンチャー企業的なスタートアップとかへの投資、
小飼:ベンチャー企業とかって言うよりもインフラだよね。だから、まさにソフトウェアのインフラなわけじゃん。
山路:なるほどな、DARPA、そういう、
小飼:そうなの、ダムの維持管理と考えとしては同じなの。でも、今回のこれの一つの特徴っていうのは、公務員がOSS開発に自分の勤務時間を当ててもオッケーってなった、だから公式にオッケーって言ったことです。
山路:今まで絶対やってるやつ、いましたよね。
小飼:もちろんいた、いた。
山路:おそらくなんかもう身バレしてる人もけっこういたんじゃないかっていう(笑)、気はするんですけど。そもそも論になっちゃうかもしれないんだけれども、よく古いタイプの政治家なんかが文句をつけるのに、オープンソースソフトウェアを国防なんかのところで使ってソースとかが全部公開されてたら、なんか他のところ、他の国からそういうの見られちゃうんじゃないのみたいな、
小飼:いや、そんなこと言ったらヒトゲノムだって全部わかってるじゃん。
山路:(笑)
小飼:少なくともシークエンスはもう全部取られてるわけだよね。で、オープンにできるものっていうのは本当、部品だけなの。だったらお前、Googleをコピって見ろよという。
山路:それこそmacOSにしたって、iOSにしたって、別にオープンソースはすごい使ってますけど、実際にはすべてオープンソースで構成されているわけではないですもんね。
小飼:それをきちっとまとめるのが大変だし、しかも今は、今時のコンピューターというのは、コンピューターというのはサービスのごく一部で、窓でしかなくって、クラウドと繋がってて、クラウドの向こう側っていうのはもう完全に全貌を把握できないわけじゃん、中の人だって、ですら把握できないわけじゃん。
山路:なんか、プログラミング、今時のそのポイントみたいなものっていうのは、プログラミングコードそれ自体というよりは、それを設計するノウハウだったりとか、運用するノウハウみたいなところにあったりする、
小飼:そうそう、でどうやってデプロイするかとか。そうなんだよね、だから総合芸術なんだよね、だから今や。ソフトウェア産業っていうのは。だから特定の部分だけでお金を取るっていうのは難しいんだよね。
山路:あー、なんか舞台背景のそんな書き割り一つ別に公開したところで、みんながそれ真似られるわけでもなしみたいな、
小飼:そういうこと。
山路:なるほどな、それは非常にわかりやすいですね。では、またこのITがらみで。Binanceってあるじゃないですか、仮想通貨の。そこの仮想通貨のBinanceがForbesの大株主になったという。
小飼:何考えてんだろう。
山路:で(笑)、Binanceってそれこそ、いろいろ何ていうんですかね、色んなとこから追い出されたりとかもしてたりはするじゃないですか。これがForbesの大株主になって、一体何を仕掛けようとしているのかというのは、
小飼:ただForbesは、たとえばワシントンポストをベゾスが買ったけれども、とは違って、まぁ経済紙の一つだよね、Forbesというメディアは。
山路:言ってみたら、メディアの巨大なそういう企業っていうんじゃなくて、
小飼:そうそうそう、
山路:それこそ、ディズニーみたいなもんだったりとかそういうんじゃなくて。だから、そんなに別に大きな話じゃないかもしれないという、
小飼:大きな話ではないけれども、でもなんで『Forbes』買ったのだろうねっていう。
「これは、お金を払って出してもらう、モンドセレクション式のビジネスモデルですよね」(コメント)
小飼:そういうことなのかな。いや、でも逆にこれで、たとえば『Forbes』の中身がもう、暗号資産アゲアゲになったら、かえって引いちゃうんじゃないかな(笑)。
山路:そうなのか。あと暗号資産界隈で最近、まぁこの論弾でもちょっと取り上げましたけど、NFTとか盛り上がってるじゃないですか、一部界隈で。
小飼:あれよね、ハイプサイクルのここら辺(天井を指しながら)だね、やっぱりいったん地獄を見ないと、本物にはならないと思うね。いや、僕はいずれは本物になると思うけれども、ちゃんと地獄は来てくれと。たとえばこれがビットコインとかはもう何度か地獄来てるわけじゃないですか。ちゃんと、しっかりMt. Goxの時も。
山路:へええ、NFTはこれから地獄の本番だという感じ、
小飼:いや、だからそういうのに揉まれてやっと本物になっていくだろうと。
山路:なんかあの偏見かもしれないですけど、ビットコインの黎明期の時よりも、更にNFTって怪しい話多くないですか、偏見ですか(笑)?
小飼:多い。えっとね、暗号資産の9割が怪しい話だとしたら、NFTの9割9分9厘は怪しい話だよね(笑)。桁が2つぐらい上がってるね、怪しさの度合いが(笑)。
山路:そんな、本物がほぼないじゃないですか、それは(笑)。
小飼:いや、でもゼロでないところがすごいところなんだよ。こういうのはだから、万が一ですらも元が取れるわけ。万が一というのが6シグマとか、そういう100万分の一とかそういうレベルでも元取れちゃったりする。
山路:まぁそれこそね、なんかAmazonとかだって、昔誰も成功するとは思ってなかったみたいなこともあるわけだし、
小飼:いや、でもちょっとそういうのとも違うんだよね。だから、単なる別の金づるとかっていうのではなくて、やっぱり経済の形を変えるとか、そういうところまで行ってほしいんだよな。今のところ、暗号資産っていうのはデジタルゴールド以上のものにはなれてないんだよね。もっと可能性はあると思うんだけれども。
山路:これ、NFTとかあとよく言われるのがDAO、Decentralized Autonomous Organizationでしたっけ、要は自律的にこう動く分散ネットワーク組織、
小飼:でも、あれって単なるリモートワークと何が違うんだ(笑)という意見もあるよね、まぁでも、確かにこれが普通の会社とかっていうのであれば、登記もしなければいけないし、それによって当局に睨まれもしたりするけれども。
山路:そういうものって、仮にDAO的なものが、ちゃんといちおう認められて動いたとして、それって何て言うのかな、本当にそういうふうなものが社会で自律的に動いて存在することって可能だと弾さんは思います? DAO的な概念が。
小飼:いや、でもたとえば、パンデミックのおかげでリモートワークというのがまぁ成立するというのもわかったわけじゃないですか。だから、リモートワークから会社登記を引けば、DAOになり得るよね。でもこの場合は、じゃあ税務当局って何を追っていけばいいのだろうかっていう、問題とかっていうのは出てはくるけれども。
山路:あとは、こういうNFTとか、Web3とか、いわゆる、なんかこう、なんとなくバズワードで言うやつ、
小飼:いや、だから、あれは本当に針小棒大なんだけれども、でも針の先っちょというのは、本物なんじゃないかなと僕は思ってる。ただし、本当に針小棒大だから。だから、今は本当はマチ針程度の大きさかもしれないですけれども、あそこにスカイツリーが立ってるというぐらいの大げささ(笑)。
山路:ただこれ、本当にそのブロックチェーンから始まったそういう技術って、Web3界隈の人とかが言うみたいに、普通の人がなんかそれを使うようになるものなのかどうかってのはちょっと正直私、懐疑的に見てるんですけど。それこそ暗号技術だって、みんながブラウザの中で暗号通信とかをするみたいな、凄い裏方として使われるみたいな、
小飼:そうそう、だからトランスペアレントにならないと、みんな使わないよね。だから、これが暗号だって意識してるうちっていうのは、まだ普及期のぜんぜん手前なんだよね。でも、たとえばSSLっていうのは今や、わざわざ断らないじゃん。そっちが当たり前で、逆にSSLでないほうが、何それ古いとか、何それ危険っていうふうに見られるようになったじゃん。
山路:今時のブラウザだと、なんかそのままではつながんなかったりするわけで、あまりにも古い仕組みのサイトとかだと。本当に大丈夫なのかよみたいなこと聞いてきますもんね。それぐらいまで来たら、ちょっとなんかな、Web3とかも現実味を帯びてくるのかもしれないけど。
小飼:でも暗号通貨の場合っていうのは、好き勝手にできるやつをゼロにするためにはどうしたらいいだろうっていうのが、発想の元だからね。だから一人でもそれを認めた場合っていうのは、その一人というのを中央銀行にしとけば普通の通貨になるわけですからね。
山路:うん、まぁWeb3、なんか興味はあってニュースは見てるんですけども、本当まだわかんないなというのが正直なところですね。
小飼:通貨以外のデータを乗っけてるだけよ、だから普通の暗号資産の場合っていうのは、基本的にそこに載っけられているデータの種類は一つで、たとえばBTCだったら、BTCいくらと、どのアドレスからどのアドレスに送金されたという記録だけなんですけれども、それ以外の、デジタルデータなんだから他のもの載っけてもいいわけですよね。たとえば登記簿とかっていうのを載っけるという手もあるわけですよね。NFTというのはもう単なる登記簿ですね。なんだけども、法務局の代わりにだからそれがブロックチェーンだと。技術的には、それだけのことです。
山路:だから、そこのところでこう、ちょっとモヤモヤするっていうのは、たとえばこうなんか取引をする時に、法務局なんかのサービスだったら、前提として国が何か守ってくれる的な安心感っていうのあるじゃないですか。
小飼:うん、だけど国が裏切るっていう可能性もあるわけだよね、だから、たとえばこれがロシアみたいな国だったら、
山路:ロシアだったらね、それはまぁ本当心配でしょうがないけど、じゃあdecentralizeされたものっていうのがみんな信用できるかって言ったら、そんなわけでもぜんぜんないですよね。
小飼:decentralizeを信用する前には、centralizeされたものというのに対する不信が起きなければいけないんだよね。
山路:あー。今まだ、十分にはそこの不信は高まってないと見るってこと?
小飼:だからそれが反転するほど高まるっていうことはあり得るのかな。要するにdecentralizeっていうことは、まさに性悪説なので、この番組ではもう何度も言ってるんです、性悪説っていうのは高いんですよ。コスト高いんです。
山路:なんかブロックチェーンのね、維持とかにかかるエネルギーみたいなことを単純に考えても、高かったりもするわけですもんね。
小飼:そうなんですよ、だから疑うコストというのは高いんですよね。
山路:じゃ、もう一つ、これもITがらみと言えばITがらみなんだけれども、Googleの、スキルトレーニング、これはやったかな、Googleが低所得者のためにスキル学習プログラムっていうのをタダで提供するよと。タダでっていうか、提供すると、ほんで年収が400万円を超えるまでは別にそれは返済は不要ですという、けっこうこれってすごくないですかと思ったんですが、すごくない?
小飼:いや、だから、どんな下心があるのかなあと。でさ、1億ドルってさ、多いように見えるけれども、あれよ、学校を一つ作るにも足りないぐらいなんじゃないかな、これ。
山路:まぁそれをデジタルでやるからっていうことではあるんでしょうけれどもね。
小飼:いや、だからGoogleの下心は何だろうね。
山路:労働者を、それなりにできるやつをガンガン優先的に、
小飼:だとしたら、ちょっと規模が小さすぎるような気がするんだけどね。
山路:Amazonもなんか似たようなことをやってましたよね、奨学金的なものを出したりとか。
小飼:いや、でも本来あるべきは、がっつり税金を払わせて、それでやるべきなんだよね。というよりも、むしろMMT的には逆に政府のほうでガッツリ配っちゃって、配り過ぎた部分というのはどうせ大きな企業のところに行くんだから、だからそこに来た時に配り過ぎた分というのを買収すればいいという、そういうモデルでいいはずだから、Googleがこういうことを考えるっていうのか、やろうとしているというのは、中途半端に感じる一方で、でもAlphabetを作る前に、そもそもGoogle.orgという、
山路:なんかありましたね、あれなんだっけ、
小飼:だからその意味では、創立者の考えには沿ったことではあるのかなと。ただ僕は企業のフィランソロピー(篤志)というのは基本疑って掛かってる。
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