「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2020年08月18日(火)配信その1をお届けします。
次回は、2020年12月8日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2020/08/18配信のハイライト(その1)
- AI生成の自己啓発記事と、今時のGoogleのヤバさ
- 見えにくいブラウザを巡る戦争
- Fortnite vs. Google, Apple
AI生成の自己啓発記事と、今時のGoogleのヤバさ
山路:今日はゲストを招いてですね、限定の方では企画会議というか、実際に書籍をまあ今どきのGitHubを使って共同編集していく流れを、まあ見せようかと、いうかまあなんというか、弾さんの直しが遅かったんで、それをこのまま配信にしてしまったという感じなんですけども。
ゲストにはもう横に待機して頂いているんですが、よろしくお願いします。
小飼:よろしくお願いします。
山路:じゃあ早速、今日タイトルになっているのは、Fortnite対Appleみたいな話なんですけども、その前にちょっとそのIT絡みで、あの1つ紹介していこうかなと思ったニュースが、これ、GPT-3のニュース。
小飼:ああ、あれか。
山路:GPT-3って、ディープラーニングを使ったモデルの1つということなんですよね。自然言語の処理とかで、かなり画期的な成果が出ている。
小飼:もはや人工無能ではないというね。
山路:相当自然な文章、生成出来るというところが、ポイントなんですけれども、それを使って書いたブログ記事がハッカーニュースというメディアで1位になったという。
小飼:まあでも今は、日経のプレスリリースとかは、もうAI任せにしてるんじゃなかったでしたっけ? あれは、あくまでもプレスリリースを流す、そのまま流す時にAIに前処理させてるだけということなのかな。
山路:今回ハッカーニュースで1位になった記事っていうのが、ちょっと笑えるのが、これ自己啓発とか生産性向上に関する分野の記事らしいんですけど。
小飼:要は、アフィブログとかはもうAI任せでいいんじゃないのという。
山路:なんか最近、Google検索とかでやたら、アフィグブログひっかかること、多くないですか?っていう。
小飼:ああ凄い、「イエスラグ」って何なんでしょうね?
山路:イエスラグ?
小飼:ここに書いてあるやつですね。
山路:ああ。
小飼:要するにノーラグの反対だと思いますけどね。
「イエスラグって何だろう?」(コメント)
「SEOやりすぎ」(コメント)
山路:フィグブログとかが出来たお陰で、Google検索でちょっと他愛ないことを調べると、ほぼ役に立たない情報がひっかかるようになってしまってきてるんですけど。
小飼:うんあれなんだよね。またひっ下がってきたなと、一時期WELQの検索。
山路:医療情報で嘘記事を大量生産していたメディアがありました。
小飼:医療情報とかは大分刈り込んだみたいなんだけど、それ以外は。あとWikipediaでその言葉のエントリーがあると、そのWikipediaから内容パクってきたやつが、出てくるじゃないですか。結構Wikipedia的には酷いんですよ。要はWikipediaのサイトまで行かずに。
山路:昔だったら「ググれっ、カス。」みたいな言い方って普通に出来たと思うんですけどね。それが言えなくなってきた。
小飼:そろそろGoogleをどう扱うのかっていうのは、ヤバい水域というのか、Microsoftが独占禁止法で叩かれてた頃よりも、ヤバいんじゃないかなという風に僕は思ってる。というのもMicrosoftが独禁法で叩かれた頃というのは、まあWindows95とか、そういうレベルじゃないですか。確かにデスクトップを押さえてたでしょう。でも今確かにデスクトップの方もChromeが押さえてますよね。
そもそもMicrosoftのブラウザが、Chromeというか、エンジンに、エンジンがEdgeではChromiumになっちゃったし。ましてや今どきのネットにアクセスするデバイスとしては、もうPCよりもスマートフォンの方がずっと重要なんですけど、それはもうあれですよね、3/4はGoogleのOSを使ってる。Googleが管理しているOSを使ってるわけですよね、Androidを使ってるわけです。でももっと重要なのは、ネットのこっち側だけでなくて、あっち側は昔からずっと支配してたわけじゃないですか。
山路:うん、検索で。
見えにくいブラウザを巡る戦争
小飼:はいだから今支配が両側に及んでるんですよね。だからそう今日のニュースに、このニュース取り上げるっていうのに、俺入れ忘れちゃったような気がするんだけれど、本当Mozillaのリストラの件というのは本当に。
山路:Mozilla、あのFirefoxのMozilla。
小飼:はいはい、クソヤバい、あれこそクソヤバいと思う。
山路:最後の抵抗勢力だったみたいな。
小飼:いや抵抗勢力というよりも、要は別種のブラウザだったんですよ。
山路:もう残るはあとSafariだけ。
小飼:いやSafari、もともとSafariもKHTMLというまあ、KDEというUnix上のデスクトップ環境があったんですけど、そこにくっついているブラウザのソースコードから、Appleの連中がSafariというブラウザを作ったわけですよ。
そのSafariのコードを公開していい部分が、WebKitだったんですけども、そっからChromeが生まれて、WebKitの部分というのは、両方とも共通で開発してたんですけれども、喧嘩別れして、今Chromeのオープンソース部分というのは、Blinkという名前で。
山路:もう完全に別個に開発が進んでいる?
小飼:いや完全に別個でもないんだよね、結構なコードベースが共有されてるというのか。だから今本当に別系統というのは、FirefoxというのかGeckoくらいなんですよね。
山路:これってよくないことなんですかね?つまりブラウザのHTMLとかをレンダリングするエンジン、まあJavaScriptを解釈するだったりとか、そういうエンジンが、エンジンの方式っていうのが、1つになっていく、そこで多様性がなくなるのはよくない?
小飼:よくない、物凄いよくない。もう強烈によくない。高等な大きな多細胞生物が、哺乳類だけになっちゃうようなもんです。あるいは鳥類だけになっちゃうようなもんです。
山路:昆虫もいないみたいな。
小飼:まあ昆虫は別種として、いっぱいいるんだけれども。まあでも大きくないじゃん、大きくなれないじゃん昆虫は。とってもよくないんだけどもな、打つ手あるかというとな、今やあのブラウザ作る方が、OS作るよりもずーっと難しいんですよ。
山路:え?そうなんですか?
小飼:はい。
山路:ほう。
小飼:だからOSに限って言えば、Linuxもいろんなディストリビューションのが出てますよね。それぞれに頑張ってまして、さらにFreeBSDとかも別に滅びたわけじゃないですよね。
でもそういうところに積んでるブラウザというのも、事実上ChromiumとFirefoxしか選択肢がない状態なんですよね。
山路:ブラウザって作るのは相当難しいわりに収益化が難しいみたいなことだったりするんですかね?もしかしたら。
小飼:そうなんですよ、そうなんですよ。だからブラウザだけでは、金とれないわけですよね。だからMozillaにしてからがFirefoxで皆ブラウズしてる時に、広告表示されるでしょう。その時に広告の収益を回してもらってたという構造で、だから実はコードベースには、Chromiumに対する依存性はなくても、収益構造にはだからもろ依存、べったりだったという。
山路:Firefoxとかたぶん収益化、多様化しようと思って、FirefoxOSでしたっけ、なんか色々手を出そうとしたけど、結局上手く行かなかったですもんね。
小飼:いやでも、もう今ハッキリ言って、原発維持するよりもブラウザを維持するのは大変なのかなと。だって原発の種類でさえ加圧水型と沸騰水型がある程度なんですよ。その程度の多様性さえ、失われようとしてるわけです、ブラウザの世界は。
山路:これ多様性が失われたところで、1番マズイのは、なんかこうバグというか、脆弱性みたいなものっていうのが、1つだけになっちゃうということが、マズイということですか。
小飼:そもそも、どんなリスクが来るのかっていうのも、予測しきれない。
山路:なるほどな、そういうとこで代わりは常にやっぱり持っておいた方がいいというか、社会として。
小飼:持っておいたいいというのか、でもなあそういった状況は変わり得るという証拠でもあるんですよね、今Chromium一党独裁というのか、WebKit一党独裁になっているけど、だって元々IEの一党独裁だったわけですよ。ところが当のMicrosoftでさえ、もうIE殺すからと言ってるわけですよね。
山路:なんか来年の8月には、Microsoft365のIEサポートが打ち切られるそうですよね。アハハ、凄いことになってますよね。
小飼:はい。でも今や、最も開発が難しいというのがブラウザだというのは、クライアント側で使うものではブラウザだというのは覚えておいてもいい。
山路:ちなみにブラウザを開発することの難しさっていうのは、どこにあるんですか?どういう部分が難しいんですか?
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