「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2019年9月3日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2019年11月12日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2019/09/03配信のハイライト(その2)

  • 韓国の政治と「ロクでもないイギリス」のブレグジット
  • メディアラボ問題とキャンベル賞・ノーベル賞
  • アメリカや中国との比較で見る「年金問題」と「仕事を増やすのが役人の仕事」
  • 全国共通ポイントとよくわからない軽減税率
  • 終了後、雑談

韓国の政治と「ロクでもないイギリス」のブレグジット

山路:じゃあ引き続きどうぞよろしくお願い致します。 

小飼:よろしくお願いします。

山路:じゃあどうします? 韓国絡みの話の続きというか、まぁそういう「いらない」という、その週刊ポストの発言自体マズイにしても、今の韓国の在り方ってちょっと異常な感じはしますけどもね。

小飼:ちょっとあれですね、北に対する。

山路:親和性がハンパないっていうか。

小飼:ちょっとびっくり。

山路:前のめり過ぎやしませんか?

小飼:前のめり過ぎというのか、いや、ただ今のムン大統領の立場だとこうなるのかなとは思います、というのも、まだ韓国が今ほど民主的でなくって、実質軍事政権だった頃というのは、北というのは普通に敵だったわけですよね。例え元同胞と言っても、敵だったわけですよね。
 今も韓半島の南北というのは、あくまで休戦しているだけであって、戦争状態なんですね。

山路:そうですよね。まだ停戦とかしてないわけですもんね。しかしなんかそれにしても、極端にその北寄りを示した政権というのは、ちょっと今までにないんじゃないかなと。

小飼:うん雪解けとかというレベルではなくって、いや、だから半島統一すれば、日本も凌駕するって、おいおい。

山路:そんなに北側と上手くいっているというわけでもないのに、なんか韓国側がのめり込んでる。前のめりになっている感じがして。

小飼:いや、いったん別れてしまった国がもう1度元の1つの国になるっていう例ではドイツがありますよね。東西に別れてたわけですけれども、でもあの時の東西ドイツというのは、まず国力差というのがずーっと少なかったですよね。

山路:ああ、相当低いとはいえ、西に比べて低かったとはいえ、それでもって。

小飼:人口で半分で、更に1人頭のGDPで大目に見て半分で、まぁ4分の1だったかな。

山路:今の韓国と北朝鮮の差は、そんなものじゃないのという。

小飼:50対1くらいの。

山路:50対1(笑)。それは統一したら、韓国キツいことになるな。。

小飼:いや、だからよく安い労働力がとかいうじゃないですか。いや安いだけですぐ労働力になると思っている人というのは、あまりに労働を知らなさ過ぎる。

山路:教育コストもかかるのにと。

小飼:中国だって凄い時間がかかっているわけですよ。だから改革開放って言い出してから、ちょうど日本ではバブルが崩壊した頃ですけれども。中国がここまで日本を抜くのにだって、改革開放って言い始めてから30年近くかかっているわけですよ。

山路:しかも今の中国ってまだ安いけど、安いだけでもないですもんね。

小飼:ドイツも東西が本当に統一されたっていうのには、やっぱり20年くらいかかっているわけですよね。

山路:いやあそれ考えると1対50のところで。

小飼:うん、だからそれだけの時間をどうやって捻出するんだろうかと。しかも隣が中国で。しかも海の向こうは日本で(笑)

山路:アハハ、かなり四面楚歌というのか、なんか打つ手がどうなんでしょう、そんなにいい手とは思えないんですけどもね。北と親密になってるというのが。

小飼:北が本当に、核ミサイルしか賭けるものがないんだよ。

山路:資源があるという話もありますけどね。

小飼:いやだって資源があったって、それを掘るためには資本も技術もいるわけですけども、それを置いといても。

山路:いやいやどうなることやらっていうのが、韓国の場合って政権が変わるとまたコロッと方針というのが変わったりとかするから、よくわかないんですけどね。

小飼:ちょっとあのガラガラドッシャーンというのは、世界的に見ても凄いものがある。

山路:本当に勝算があって彼らはやっているのだろうかみたいなところは、なんか心配になってくるところはありますけどね。

小飼:いや、だから他国の資源を加工して貿易するというのが、今の韓国のビジネスモデルですよね。

山路:じゃあ国際絡みで、韓国とはまた別の国のところでも、ちょっと大きな問題になっているイギリスのほうでも、これもけっこうでかいかなというニュース、イギリスの今ジョンソン政権が議会を警戒して、言ってみたらブレグジットを無理矢理、合意なき離脱を、あんまり議論しないうちに進めようとしているというのは。

小飼:これは確かにイギリスのParliament(議会)にとっては事件ですよね。

小飼:議会ですね、はい。いちおうあれだね、イギリスの王室もキチッとお飾りになってたというのは、もうその……。

山路:エリザベス女王が認めているという。

小飼:そう、ブレグジットの要請をそのまま無批判に。無批判にというわけでもないかもしれないですけど。でもよく考えても見て下さい。まぁジョンソンが何をしたいかと言ったら、議会が休んでいる間にもう、ブレグジットを止めるには遅すぎるという状態にして、要するにだから無理矢理自己承諾に持っていこうということなんですけれども、よく考えてみて下さい。議会を止めているというのであれば、日本はもっと長いあいだ止めてるんですよ。

山路:ああ(笑)

小飼:はい、予算委員会止まって、あと何日経ってるのかな?
 与党が委員会止めて、だからどれくらいになるの? だからイギリスのことを笑う資格というのは全くないですよね、日本には。

山路:ああそうか、やり方の目立つ具合が違うだけで(笑)やってることは別に同じだっていう。

小飼:いや日本のほうが酷いですよ、それははっきり言って。しかも予算委員会なしで、税率って変えていいのか?

山路:なんかそれができるんだったら、そもそも本来はこんなふうになってた筈じゃないんじゃないかと。

小飼:そう非道理に慣れてきたと言ったらあれです、少なくとも日本は英米を笑える状況では全くないですよね。

山路:今までにもブレグジットってこの論弾で何回か取り上げてきたじゃないですか。弾さんが言ったのが、言ってみたら再起動が、OSの再起動が上手くいかなくて、再起動したらまたこうブルースクリーンになってまた再起動しちゃって、みたいな延々と繰り返してるよなみたいなことを言ってて、これどうやったら止められるのかね? みたいなことを話してたじゃないですか。
 パソコンの場合、設定再起動しても止まんなくなったら、それこそ電源もうケーブル抜いちゃうとか、あるいはもう蓋開けて、それこそハードディスク入れ替えちゃうとか、そのOSの範囲内で、範疇とはもう違うレベルで修理しなきゃならなかったりもするわけじゃないですか。

小飼:1番簡単なのは、かつてキチッと動いている状態のハードディスクのインスタンスがあったら、それを使ってあげることですよね。別の言い方をすると、なかったことにする。

山路:しかしこれ、パソコンのハードディスクだったらそういきますけども、イギリスのそういう政治みたいなものっていうのは、そんなふうにいい感じでインスタンスってあるんでしょうか?

小飼:たぶん1番優しいやり方というのは、ノーブレグジットにしちゃうことでしょうね。

山路:要するにもう1回やり直すというか、その国民投票からやり直すみたいな。

小飼:国民投票からやり直すでいいんじゃないでしょうかね。

山路:これしかし国民投票……。

小飼:だからハードでもやりたいと言っているので、でも本当どうなる……そう、じつはブレグジットを非常に難しくしている1番の理由というのは、UKにあって日本にないもの。陸の国境。

山路:アイルランド。

小飼:はい。

山路:ああ。アイルランドが別の国っていうのが、痛いというか、厄介というか。

小飼:いやアイルランドが別の国ではなくて、北アイルランドがあるということがですね。だから、もしアイルランド島が100パーセント、アイルランド国であったらブレグジットずっと楽なものになったでしょうね。

山路:IRAとかの内戦とかって、凄い、あれ3、40年くらい続いたんでしたっけ? そういう……。

小飼:もっと。

山路:かなり長かったですよね。

小飼:うん、かなり痛い歴史でしたよ。

山路:終わんないんじゃないかみたいな感じのやつが延々と続いてて、それをまたやるのかみたいな話になって。

小飼:で、あれですよ。欧州でも今では信じられないですけども、アイルランドというところはそう、1、2を争う貧乏国だったんですよね。ところがあれですよ。もう1人頭のGDPではイギリスを抜く所まで来たわけです。
 なんかダブリンってけっこう、金融のとこでも栄えていたような。

小飼:はい。英語が通じて税金が安いっていうことで。

山路:グローバル企業が本社置いたりみたいなあったりしますよね。

小飼:そうです。

山路:けっこう上手いことやる。

小飼:はい、だから脱税スキームの片棒を担いでいるという意見もあるんですけど、でもそれはさておきEUのメンバーになったことで、1番利益を得ている国の1つなんですよね。アイルランドというのは。
 ブレグジットというのは、それをグチャグチャにする可能性を大いに秘めているわけじゃないですか。そういった国というのが陸を接しているというのは、これはかなり怖い状況ですよね。

山路:これ、ジョンソンが言うみたいな合意なき離脱って、本当に可能なんですかね? っていう、やっちゃえばいいんじゃねえのみたいな感じでやっちゃっても、本当にそれでイギリスってまともな国でいられるかなみたいな。

小飼:いや、待って、それイギリスってまともな国だったって言わんがばかり、まともな国だったことがあるの?
 アヘン戦争を起こした国よ。

山路:だいたい今の世界史の酷いことの原因はイギリスだったりしますけどね。

小飼:そうなんですよ。ただこれ、どういうふうに酷いかというのはあって、その意味では覇権国というのは、歴史のどれを見ても本当ロクでもないんですけども、でも面白い方向にロクでもない国ではありましたよね。次の覇権国の元にもなったということで、じつは覇権国が変わったのに言語が変わらなかったというのは、あんまりないんですよね。

山路:なんかアメリカに変わっても、アメリカと仲いいからまだイギリスってこう存在感がそれなりにあるみたいなところもあるような気はしますけどね。

小飼:まぁそうなんですよね。昔取った杵柄で食ってますというところは大いにありますよね。

山路:ジョンソン政権の今だったら、弾さんの言うようにイギリスって何となくずーと衰退していく国になるのんですかね? みたいな、衰退していくんじゃないかっていうことは言ってましたよね。

小飼:いや、というのか、ずっと衰退過程にあるじゃないですか。そもそも覇権国の地位を譲った時点で、衰退はずっと続いてはいるんですよ。

山路:それにある意味とどめを差すみたいな。

小飼:まぁでも衰退の仕方がなかなか面白かったわけですよね。だから軍事力と経済力で覇権を取られても、言葉が同じだったお蔭で文化的なおこぼれというのはかなり大きかったわけですよね。

山路:ビートルズみたいなものとか、世界的な文化の発信地になったりとかしてましたよね。そういやARMとかDeepMindとかもイギリスの会社だったりしますよね。

小飼:だけど普通の産業の足腰というのは、本当にヘロヘロになりましたよね。もうイギリスには自国の自動車会社っていうのがないんですよね。みんな海外の。

山路:ASTON MARTINってイギリス、かつては。

小飼:だから日独に占領された状態にあるんですね。ちょびっとFordがあるけれども。「ブレグジットしたら、うちも出ていく」ってHONDAが言って、出ていかないでっていうのが。

メディアラボ問題とキャンベル賞・ノーベル賞

山路:本当ちょっとイギリス、そろそろ本当に10月正念場来そうな感じがありますね。またこれもちょっとどうなることやら、論弾のほうでも取り上げたいと思いますが。じゃあもう1つ、ああそうだ、でかいニュースでやっておかないといけないな、アメリカの大富豪の話。これ何気にショックだったんですよね。

小飼:何がショックだったかと言ったら、マービン・ミンスキーが。

山路:人工知能の父と言われるんでしたっけ? 数学者で、コンピューターサイエンティストの。

小飼:コンピューターサイエンスではかなりの大物ですね。故人ではあるんですけども。

山路:でも最近ですよね。そういうアメリカの大富豪、これ名前なんていったっけ?

小飼:エプスタイン。

山路:エプスタインが、そういう人身売買というかそういうなんというか少女の人身売買的な行動に関わってたという。その被害者だったという女性が、マービン・ミンスキーと無理矢理セックスさせられたっていうようなことを訴えて。

小飼:そうそう。

山路:これがまだ本当かどうかっていうことはわからないみたいですけども、確定しているわけではないですけども、なんかただあまりにも有名な人だから、ショック、かなりのショックだなあというのがありまして。

小飼:まぁでもそれを言ったらなぁ、マーティン・ルーサー・キング牧師もね。

山路:品行方正とは言い難いみたいな(笑)

小飼:うん。

山路:これ、あとこの事件で話題になったのが、MITの研究所にもそのエプスタインが資金を提供してて。

小飼:はいはい。

山路:今のMITの。

小飼:ジョーイ・イトウが。

山路:メディアラボ研究所が、ジョーイさんが謝罪はしているんですけれども、そういう研究所の教授とかが抗議の辞職とかしたりして、凄いいろいろ問題になってるんですけど、ただ思うんですけども、何というんですか、篤志家というかそういう研究なんかに寄付してまわるような人とかの場合、そこまで金の出し手が犯罪に関わっているとか、そんなのってその場ではわかんないことっていっぱいあるじゃないですか。

小飼:まぁでもわかった時にどうするのか。わかった時に、もう本当に是々非々、それはそれ、これはこれでいくのか、やはり犯罪者である以上は名誉も剥奪すべきなのかっていうのは、かなりケースバイケースなことになってますよね。
 人によってはたとえば、当時の道徳は今と違うのだし、今の倫理を当時に当てはめるっていうのは、それはやり過ぎなんじゃないかという意見もある一方、でもやっぱりダメなものはダメです、ダメなものはダメですの一例というのは、サイエンスフィクションにはキャンベル賞という有名な、たぶんヒューゴ、ネビュラの次くらいに有名な。

山路:編集者の名前ですよね。キャンベルって。

小飼:です、はい、名前変わることになりました。

山路:キャンベルが人種差別的な発言というのを散々してきたからっていう。

小飼:はいはい、女性差別、人種差別という。でも1番ショックだったのは『冷たい方程式』という有名な作品があるんですけども、『冷たい方程式』の結末というのはキャンベルがああさせたのだと。

山路:へえ。

小飼:それはけっこうショックだったな。

山路:キャンベル賞って名前、何に変わるかまだ決まってない?

小飼:まだ決まってない。でも少なくとも変わることは決まっている。

山路:にしも、そうかけっこうそんなストーリーまで関わってたのか。

小飼:また藤井先生呼んで、お話聴きたいところですよね。

山路:へえ。でも本当そういうことを偉いさんでも身綺麗にしておかないと、後で名誉を剥奪されるっていうことがちゃんとそういうふうに実例として出てくると、まぁみんな。

小飼:あとグッゲンハイムミュージアムに寄付してた富豪のあの一家がじつは、オピオイドで。

山路:さんざん儲けた会社の、創業一族でしたっけ?

小飼:はいはい。

山路:しかも中毒性、依存症があるみたいなデータを隠してたとかそういうことでしたかね? なんか。

小飼:そういうことですね。はい。

山路:ものすごい、ものすごい確か罰金、食らってましたよね。何千億円とかそういう。

小飼:でも本当、それを言い出すとノーベル賞とかどうよ。
 ノーベル賞ってさ、本当にあれだよね、ねえ、血まみれの金がタネ銭になってるじゃないですか。だから、もしキャンベル賞のキャンベルを取り上げるのであれば、ノーベル賞のノーベルも取り上げて然るべきということに……。

山路:まぁノーベル自身はそれのある意味、懺悔みたいなところもあるんじゃないかというのはありますけどね、その賞自体が。

小飼:1つやっぱり違うのは、死んでからなったからね。だから本人はこれ以上いいことは、とにかく悪いことは出来なくなってから出来たものであるっていうのは。

山路:これ、エプスタインの事件に関して伊藤ジョーイさんに関しての支援の運動みたいなことも起こっているらしいですけどね。ジョーイに流石にそれは責任じゃないんじゃないかみたいな、そういう支援の動きも広がっているそうですけども、そこんとこで人望のあるなしっていうのは、けっこうでかいですねっていう。

アメリカや中国との比較で見る「年金問題」と「仕事を増やすのが役人の仕事」

山路:あとタイトルにもなってた年金の話ちょっと行きますかね。

小飼:南方熊楠が(笑)。

山路:アハハ、ネバネバした菌の話は楽しそうなんだけれども、まぁ嫌な話をせざるを得ないですよね、これって参院選の前にちゃんと出しておくべき話じゃないんですかっていう。

小飼:いつもの手口じゃん。

山路:これってもう参院選の時に散々、何で年金のこの報告のやつをやらねえんだ、やらねえんだっていうのを出さなかったですよね、本当に。これどうです? 今の20歳くらいが今と同じような年金の水準で貰おうとすると、68歳くらいまで就労しなきゃいけないというのは。

小飼:いや、そんな甘いわけないじゃん。