小飼弾の論弾 #128 「京アニ事件と吉本興業、タニタの社員個人事業主化」
「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2019年7月23日(火)配信その1をお届けします。
次回は、2019年9月3日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2019/07/23配信のハイライト(その1)
- 本日のお題
- 京アニ事件とガソリンの規制について
- 「よくわからない」吉本興業の「反社会的勢力」な中の人たち
- 「3割じゃぜんぜん割に合わない」タニタの個人事業主化
- 「お金を誰に渡すか?」問題と「選挙でログインボーナス」
- 『天気の子』の主人公についてと次回告知
本日のお題
小飼:凄い、いきなり今日の取り上げる話題をドンピシャに当てて来た人がいるぞ。「京アニ、吉本、参院選」って書いてある(笑)。
山路:アハハ。というか今週、ネタが濃いですよね、皆。濃いというか。
小飼:うんまあどれか1つだけでも、あれだよね、ちゃんとやれば番組使い切っちゃうようなネタばっかし。
山路:なんかしかも、けっこう今の日本というか、を象徴するような。
小飼:え?象徴されてしまうのか?象徴されて、もしそうだとしたら、日本ってちょっとロクでもなさすぎるぞ。
そうか何?ジャニーズの話もあるな。どっちかというとあれかな、吉本との絡みかな。
山路:Pythonの商標問題、なんかありましたね。じゃこれも、いちおうミニ特集としては、中国衛星ということで最近話題の『三体』。りゅう、なんて読むんだっけ?このリウ・ツーシンでいいんでしたっけ?
小飼:うん、ツーシン(劉慈欣 りゅう・じきん/リウ・ツーシン)。
山路:なんか世界的に相当売れまくって、中国で3千万部?
小飼:うん、2千万部とか3千万部とか。
山路:エライことになって、私も読んでかなり面白かったんですけど、これについても後ほど語りたいと思いますが。
小飼:日本は、やっとこさという感じではあるもんね。いちおうこれ2006年作。
山路:10年以上前なんですね。
小飼:そうです。三部作の最初なので、まあそれは、その話は後のほうにして。
京アニ事件とガソリンの規制について
山路:じゃあ最初、ちょっと気の重い話からになっちゃうんですが、京アニ、京都アニメーションが放火され34人でしたっけ?34人の方がもう亡くなられて、作画の資料だったりとか、過去のやつもなんか全部焼けちゃったという、これあの放火殺人としては件数が。
小飼:放火殺人というよりも、単独殺人としては、きちんとわかっている範囲では、日本最悪なんじゃないかな。確かこれよりも前のやつというのは、『八ツ墓村』のモデルにもなったあの30人殺しですからね。
山路:エライ前ですよね。それで、え?7、80年前?
小飼:ですね。
山路:ああ。いや本当に。
小飼:いやもちろん、戦争とかも含めちゃうとちょっと変わっちゃうんですけれども。少なくとも刑法犯として。そう単独犯の、しかも単独犯行ですよ。これ連続殺人とかではなくて。
山路:コメントなんかでも出てるけど、ガソリンがああいうものとは知らなかったとか、完全にテロ。
小飼:いや、何を言っても笑えないというのか、こういう時には、ご冥福を祈りますという言葉があるじゃないですか。僕それ、受け入れられないんですよ。あの慣用句になっているんですが、慣用句としても受け入れられないというのも、なぜかっていうと、ご冥福というのは、冥界があることが前提になっているんですよね。次があるんですよね。異世界転生が成立しているという世界で、初めてご冥福を祈れるわけですよ。いやだからそういったものというのがないから、「死」というのは最も悲しくて、最も悼むべき出来事のはずなんですよ。あれですよ。本当に冥界があって、冥福を祈られる立場だったら、僕、何度切腹してるかわかんない。
ごめん、笑わすつもりで言ったのではないけれども、でもそういうことなんですよね。だから「合掌」という言葉あって、それが一番近いのかもしれないけど、でも、やっぱり僕もこうして曲がりなりにも、
あれですよね。人様に対して何かを言って、それに対して代価を得る立場なわけじゃないですか。そういった人たちというのは、今回みたいに逆恨みされるリスクというのは、まあ避けられないんですよね。
そこまでは、避けられない。そこまでは避けられないし、それを作品にまで昇華できるだけの凄い人もいるわけですよね。スティーブン・キングみたいに。『ミザリー』という作品がありましたね。
山路:ああ、逆恨みで。
小飼:逆恨みされて、拉致監禁されるという。
山路:なんというか、京アニの作品ってあんまり人に恨まれるとか、そういう憎悪を掻き立てるような作品のものでもないから。
小飼:うん、ないよね。
山路:なんというのか、それこそ身内の人にとってみたら、その職場で、こういう、その職場で働いてる人が……。
小飼:いやでも考えても見て下さい。『ミザリー』だって、『ミザリー』というお話で、主人公を殺しちゃったことに恨み抱いたファンが、なので、だから作品の中で逆恨みストの人が、逆恨みできる対象であれば、なんでもいいわけですよ。
山路:今回のもので、どんなものでも恨まれるんだ、恨まれえるなということがよくわかったというか。
小飼:でもそれでよく話題になるのが、『ミザリー』もそうですけれども、監督のアーティストの場合が多いですよね。こういった逆恨みされるというのは。せいぜい範囲を広げても、バンドくらいですよね。
山路:うんうん。そのグループぐらい。
小飼:グループとか、うん、そういった場合でも、バンドのメンバーが複数死んじゃうとかっていうのは、それまたこれまた稀で。ジョン・レノンの場合は、自分がジョン・レノンだと思い込んじゃった人に殺されちゃったんですけども、それでも単独のアーティストを狙ってたわけで、こういうInstitutionalな例というのは、本当に全世界的にもないですよね。そうは。
山路:報道なんかでは「小説をパクりやがって」みたいな、まあ自分の小説かどうかはわかりませんけど。
小飼:そもそも該当作品が見当たらないという。
山路:なんか最近、誰かのTweetで読んだんですけれど、そういうクリエイターとかを抱えているような制作会社というのは、素人からもう分厚い文書とか送られてきたら、もう開封もせずに送り返すみたいな、そんなパクりやがってとか言われるリスクがあるから、もうそういうことをしているみたいな話が。
小飼:だからそもそも例え話が成立しない程、稀な出来事ですよね。だからもしものすごい強引に例えるのだとしたら、Emeryvilleというサンフランシスコの湾を渡ったとろこにあるPIXERのStudioがあるんですけども、あそこを爆破したようなもんですよね。
山路:会社の規模は違うにしても。
小飼:うん。1番近い例えというのは。そもそもそんなことが可能なの?という。
山路:それがなんか、たった1人で持ち運べるガソリンで、それが出来ちゃたということのびっくりがありますよね。
小飼:僕自身、実家が丸焼けになって、全財産丸焼けになった経験があるので、ある程度火災に関しては、経験者でもあるんですけど。でもその時は灯油だったんですよね。ガスストーブの、パッキンが錆びて、リークしてて。
山路:ああ、そこから灯油が漏れて。それで丸焼けになるわけですか。
小飼:灯油だから、灯油でかつ1階だったんですよね。だから助かったんであって、ガソリンだと無理というか、やっぱり最初建物思った時に、正直言います。外階段もないのか、あの建物はっていうふうに思いました。でも確かに火災法に照らし合わせると、あの規模で、階段が2箇所にあってというのは、もう要件満たしてるんですよね。ちゃんと消防署のInspectionも受けてて。
山路:消防署が、今回、京アニ側には何のそういう消防法上の違反も落ち度も全くないと、わざわざもうコメント出してますよね。
小飼:はい、だからあれは、あの建物が、安全じゃなかったっていうのは、普通の車を戦車砲で撃っておいて、この車は安全じゃありませんというようなもので。そもそも要件が違う。
山路:自衛隊の基地でもないと無理なんじゃないかみたいなTweetとかもありましたね。これしかしガソリンが、ここまで危険なものっていう程、一般の人、私も含めてですけど、認識してなかったなと思って。このガソリン、火をつけるとどうなる?みたいなYouTubeで上がってる動画を見ると、本当予想もつかないような燃え上がり方しますよね。
小飼:知ってる人は知ってるんですよね。
山路:爆発ですよね。
小飼:1番知っているのは軍隊の人たちで、どういうことかっていうと、今の、今どきの軍隊というのは、ガソリンはほぼ全く使ってないんですよ。
山路:え?ああそうなんですか?
小飼:それはなぜかっていうと、全部ディーゼルにしているから。なんでディーゼルにしてるかっていったら、ガソリンは爆発するから。
山路:ああじゃあ弾で撃たれて、それがタンクに引火したら、もうそれが爆発物になっちゃうから。
小飼:その通りです。でもけっこうそれは難しい、それはあくまでも近代の今どきの軍隊であって、2次大戦の頃というのは、普通にガソリン車で走ってたわけです。ガソリン車が撃たれてたわけです。派手に爆発してたわけです。
山路:いやあ、しかしそれがそれだけの爆発力のあるものっていうのが、普通に誰でも買えちゃうわけじゃないですか。
小飼:まあそうですね。いかにMobilityというのが便利なものかということですけども、やはりガソリンがヤバいものだっていうのは、みんな知ってたんですよね。
山路:ここまでとは思ってないでしょっていうか。
小飼:だからまさかの理由でいろいろなものの、脱ガソリン化が進む可能性が無きにしもあらず。
山路:これなんかそれこそ、模倣犯とかっていうのも出てくるんじゃないかっていう気がしたんですけどね。これ40リットルでしたっけ?今回のガソリンって、それでここまでのこと出来るんだったら。それこそ、自分の車からガソリン抜いたっていいわけじゃないですか。
小飼:はい。いやもう、何と言えばいいのかな。携行缶売りはしないよというところが、もう早速いっぱい出てきたみたいですけれども。
山路:これ、規制はすべきなんですかね?
小飼:というのかガソリンは今でも、いろんな規制はありますよ。いろんな規制はあっても、撤廃まで出来てないっていうのは、やはり便利というよりも、灯油じゃ100%置き換えられないからですよ。特に置き換えられないものっていうのは、小さいエンジンです。
山路:コメントでも、畑の耕運機もガソリンって書いてますね。
小飼:そうだから小さいもの、小さいディーゼルっていうのは難しいんですよ。
山路:小型の発電機みたいなのとか。
小飼:はいはい。ディーゼルっていうのは難しいんです。同じ出力のものを作ったら、だいたい倍くらいの値段になります、ディーゼルエンジンというのは。
山路:なるほどな。大きくなったりとか、構造も複雑になったり。
小飼:はい。構造も複雑になったり。複雑になったりというより、分厚く作らなければいけないんですよね。
山路:ガソリンというのは、小さいのが、少ない容量のやつが爆発的にやるから。
小飼:はい小さいものであれば。
山路:いいわけで、ああなるほどね。
小飼:だいたい普通乗用車辺りが、ガソリンとディーゼルの境目くらいで、それより小さいやつというのは、ガソリンエンジンのほうが何かと捗るんですよ。捗るっていう言い方もあれだけれども。
山路:これって、なんかよくこの論弾なんかでも、そのレアに起こることに関して100%の予防策なんてことは、根本的に無理だっていう話とかしてるじゃないですか。こういうレアな犯罪が起こったときなんかに、それをじゃあどうやって予防するのかみたいな話になるんですけど、今回のことってなんか。
小飼:無理だけれども、何かしたいよね。たとえばこれで亡くなった人が数人というのであれば、まあこれは仕方のない、unluckyで納得するしかないのかなと思いますけど、34人ですよ。
「id照会有りと厳罰化かな」(コメント)
小飼:これよりもヤバかった火災としては、新宿の雑居ビルで44人でしたっけ?
山路:ありましたね。
小飼:あれも放火が強く疑われてて、もしあれが放火でかつ単独犯だとしたら、これ以上なんですけど、でもまだそれはあくまでも仮説であって、立件されてるわけではないですから。でもそれはとにかくとしても、あの時は火災法変わったんですよね。
山路:あれが原因で、建物の。
小飼:はい、だから法律が変わりえますね。
山路:あれとかビルの構造が相当、とんでもない構造になってたみたいな。風俗ビルのやつは、確か。
小飼:風俗ビルのやつは、だからもう逃げようがなかった。でも今回の場合、あまりに火の回りが早すぎて、もし火の回りがゆっくりだったら、少なくとも屋上に逃げてた人が何人か出てもおかしくなかったはずだけれども。
山路:(コメントを読みながら)スマホも爆発するからみたいな、いやいや、厳罰しても自暴自棄の人には通用しないから。
小飼:少なくとも新しいものに関しては義務化されるかもしれないですね。でも京アニ場合OKだったというのは、階段2つあったというのは、大きかったはずです。螺旋階段のほうにも、ある程度火災防止の措置がされてたみたいで。でもやっぱり建物の中というのは、非常階段になりえないどころか、火を通してしまうのではというのは、今回立証されちゃったような気がしますね。
山路:外に階段があったら、助かったかというと、ちょっと微妙かなという気がしますけど。
小飼:これも剣呑の話になっちゃいますけど、2次大戦の時に。
山路:これもまた戦争で。
小飼:なんでアメリカの空母がrobustだったかといったら、扉を外に付けてたんですね。
山路:うん?
小飼:飛行機用のエレベーターというのは、必ず舷側につけてて、仮に爆弾が貫通して格納庫に来ても、ちゃんと爆風が抜けるようになってたんです。
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