「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2019年1月15日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。
次回は、2019年3月19日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2019/01/15配信のハイライト(その1)
- 『SPA!』炎上と「文句を言われる覚悟」
- もう停止ボタンを押すには遅すぎるオリンピック
- 売り手市場と就活マナー
- 宇宙ビジネスの需要と未来
- ワトソン博士と科学者の人格
- ファーウェイ問題と中国のイスラム問題
- 自国の原油を温存しておきたかったアメリカ
- 統計問題と「ランダムサンプルを採るのはすごく難しい」
- 僕らはフェイクニュースのほうを信じたがる
- 『FACTFULNESS』「事実に基づいて世界を見ると心が穏やかになる」
『SPA!』炎上と「文句を言われる覚悟」
山路:今日は、フェイクニュースに関するミニ特集なんですけれども、まずは最近のちょっと炎上ニュース。こういうのがメッチャ話題になってまして、『週刊SPA!』ですね。
小飼:ああ、でもなんかもう電子配信のほうはもう止めちゃったみたいですけどね。
山路:私も確認しようと思ったら、元記事がなかった。要は、いつもの『SPA!』らしい企画ではあるんだけれども、そこんところでこうギャラ飲みというんですか、そういう男のほうがギャラを出して女の子と一緒に飲む。
小飼:それって奢るのとなんか違いがあるのか?
山路:それを最初に言ってるところが違うのかな?最初っからもうギャラ飲みというふうに言って、全部持ちっていうことをアピールして、集めるっていうことなんですかね? ちょっとその辺の文化にとても疎いんですけども(笑)。
小飼:いやぁでもこれ、実際に経験してみればわかるけども、アルコールとセックスってムチャ相性悪いよ。
山路:そこか(笑)。
小飼:だからちゃんとヤりたかったら、飲まないか、やってから飲むほうがいいんだけどね。いや、だからその辺がわかんないの。ノーパンしゃぶしゃぶとかあったでしょう。人って当然、食欲も性欲も睡眠欲もあるけども、これを同時にsimultaneousに満たすってありえんじゃん? 寝てる時は食えないし、ヤレないし、ヤッてる時は食えないし、だからどれか一つに集中するでしょう?
山路:そもそも、泥酔している女の子としたいのだろうか?
小飼:まあ相手のことを考えずにヤリたいだけの人であれば、むしろ無抵抗状態はありがたいのかもしれないけど、それは犯罪だからね。単なる立派な犯罪。昔あったじゃん? なんだったっけ? スー……
山路:スーパーフリー。
小飼:ああそれそれ。
山路:最近でもありましたよね、有名大学生が。
小飼:後を絶たないね。
山路:ただちょっと思ったのが『SPA!』って、こういう記事やるのが初めてってわけではぜんぜんないじゃないですか。今回非常にでかい騒ぎになってますよね。
小飼:今まで放置されてたのは、単に『SPA!』がマイナーなメディアだからなのか。『週刊文春』や『週刊新潮』くらい目立つのであれば、常時、監視されている感があるけれども。
山路:週刊誌でも、本当になんかエロ系の記事というのが、かなりどんどん減っていっているという印象はあります。
小飼:うん、減った。モロのやつはいくらでも見れるもの、ネットで。
山路:そういうエロとかを減らして、ちょっとでも多くのところに置いてもらわんとどうしようもないという。
小飼:でも今回の記事は、要は、モノ扱いしてたところが問題なんですよね。
「これ気持ち悪くて、このニュースもう読まないようにしてた」(コメント)
山路:これは男性の方なんですかね? 女性の方なんかちょっとわからないですけど、気持ち悪いというのはわかる。もう時代が違うやろうという、本当に。
小飼:こういったことっていうのは、昔からいっぱいあったんだけれども、今回の特徴は、取り上げられた大学のほうも抗議を入れているっていうこと、逆になんで今まで抗議しなかったの? と。
山路:確かにそういうことに関して、教育するほうの意識もちょっとは高くなってるなっていう。
小飼:だから、こういうことを揶揄するのは構わないけども、それは文句言われる覚悟があってのことでしょうね、ということで。
山路:こういう記事とかでいちいち目くじらを立てるなみたいな、男性からの意見もあったりするみたいですけども。
小飼:少なくとも雑誌というのは誰が買うのかわからない不特定多数に売っている以上は、ツッコまれる覚悟が必要でしょう。少なくともねえ、『文春』だの『新潮』だのというのは、そういう覚悟してる人たちが、やってるわけで。
「大学は抗議する権利はある」(コメント)
山路:男が見てもけっこう不快な記事、話ですけどね。はっきり言って。
小飼:うんうん。
もう停止ボタンを押すには遅すぎるオリンピック
山路:デジタルテクノロジーが。で、JOCの竹田会長の話ですよ。まあそういう贈収賄、贈賄の容疑で今捜査が始まっているという。
小飼:でも、竹田会長、パクられても中止にはなってくれないんだろうな。というのも、やっぱりリオの時にも贈収賄の話あったみたいで、逮捕者出てるんですよ。リオ・デ・ジャネイロの時も。なんですけどもやっぱりリオで決行しちゃいましたからね。
山路:あれって、始める前にその疑惑が出てたんでしたっけ?
小飼:サマランチ会長以来、もうオリンピックというのは金権の場だというのは。
山路:この報道は、そういう調査は出てるんだけど、やっぱり時間がかかるだろうという。訴えるっていうとこまで行くのにも時間がかかるだろうというのは、やっぱり今回のでも言われてて。これって結局、どういうふうな落ち着きどころになるんですかね? やっぱり何だかんだ決行するっていう方向には、行っちゃうんですかね?
小飼:何だかんだいって、やっちゃうんでしょうね、オリンピックは。もう、ちょっと停止ボタンを押すには遅すぎるのかなあと。いやだけども、コミケを潰して(※編注:2020年夏のコミケは「DOUJIN JAPAN2020(仮)」プロジェクトの一環としてGWに開催される予定)っていうのは、あれはひどいなと思う。
山路:コミケのほうが文化的にもっと価値があるんじゃねえかみたいな。
小飼:いやもうずっと大事なものですよ。
山路:仮にオリンピックが中止にもしもなるとしたら、本当に死人の1人や2人じゃきかないくらい出たりはするんだろうなとは思いますけどね。
小飼:セキュリティとかどうなるんだろうね。オリンピックといえば、ミュンヘンみたいなこともあったわけじゃないですか。それ以来、警備代も馬鹿にならなくなってはいるんだけども。というのかね、オリンピックの時に地震来ねえかなあ(笑)。そればっかりはもう人間の都合、いっさい忖度してくれないからね。
山路:しかし、夏、すごい暑かった時に、東京オリンピックでマラソンをこの暑さでやるの? っていう報道っていっぱい出たんですけど。日本が冬になって、みな涼しくなった途端にオリンピックの灼熱の中でマラソンどうのこうのっていう話って、途端に下火になりましたよね(笑)。マラソンがオリンピックで大丈夫か? みたいな話題って、あんまりのぼらなくなっちゃいましたよね。今度の東京オリンピックに関しても。
小飼:ああ、まぁそれ以上に駄目なニュースがいっぱい出て、それに隠れちゃった感じはありますよね。
山路:これ、まだ課題は山積しているような気はするんですけどもね。
売り手市場と就活マナー
小飼:もう世の中には、コーヒー飲みながら生配信やってる人たちもいるのでね、この通り。ああコーヒーが美味い。アハハ。
山路:というか、一体何がいけないのかがよくわからないんですけど(笑)。
小飼:うん、何がいけないのか、よくわかんないね。でも、いいじゃんべつに、そういうところに勤めなければいいだけの話なので。
山路:あとこの記事、更にセミナーで後ろのほうの席に座る奴はもう落とすとか、なんかコートを着たまま入ってくる奴は落とすとか、いろいろ書いてあるんですよね(笑)。
小飼:いや、だからいいじゃん。もうそういうところは人を取る気がないわけだし。
山路:しかもこの売り手市場で強気だなあと思ったりするんだけど。
小飼:うん。
「こっちもコーヒー飲みながら見てる」(コメント)
山路:いやあ、ぜひコーヒー飲みながらで。
小飼:うん、トイレで見ても構いませんよ。
山路:ほんとにこれわからないし、なんかこの人たちはいい人材を採ろうという気はないのだろうか。
小飼:というのか変なマナーが流行して、バブル期よりも確実に一つ悪くなったのは、就職希望者達の面接の時の格好。あそこまで画一的になるか? って。
山路:あの紺か黒のリクルートスーツか、ツーピースの。
小飼:ここで思い出して欲しいのは、雇用する側と雇用される側というのは、本来対等なんですよ。
山路:だけど、今回、今って売り手市場って散々言われているわけじゃないですか。なんでこんなに強気な企業がまだいるんだろうっていう。
小飼:買い手市場だった頃のことを忘れられないんでしょうね。
山路:まだ自分たちが選ばれる側だと思っているという。
小飼:売り手市場だというふうに言っても、バブル期みたいに内定者はハワイに連れてってくれるとかそういった話っていうのは今や、ないですから。
山路:ないですよね。バブル期の頃ってもっと、それこそ下世話な話ですけど、風俗に連れて行かれるみたいな話とかまであって。
小飼:僕はその時は日本にいなかったので、もう本当に他人事じゃなくて、ほんとに僕から見て外国の出来事だったんですけども。
山路:もうちょっと就職する側っていうのは、強気になってもいいんじゃないかという気がするんだけどなあ。
「ジャパンに戻った時はバブル弾けてたっけ?」(コメント)
小飼:そうですね、91年92年、まあ91年に実家が丸焼け、91年の終わりに実家が丸焼けになってからなので、ちょうど崩壊したあたりですね。ただちょうど崩壊しても、バブル残滓というのは残ってて、実家丸焼けになっちゃったんで再建したんですけれども、その時に当然、再建するのにお金を借りるわけですよね。当時は住宅金融公庫というのがあったので、だからそこの金利は6.5%だったから。すごいね。だから今から考えると信じられないような金利だよね。
山路:というか、今だったら絶対払えない、恐ろしくて買えないような金利ですよね。いやすごい時代ではありますね。
小飼:すごい時代ではありました。
宇宙ビジネスの需要と未来
山路:じゃあ次の話題、今度はもうちょい気持ちのいい話題かな。イーロン・マスク。イーロン・マスクが、スターシップロケットの写真を。
山路:このデザイン、よくないですか? けっこう。60年代アメリカの銀色のピカピカな宇宙開発っぽくて。
小飼:うん、レトロな。
山路:銀色であることっていうのは、ちゃんとした意味があるみたいで、そういうステンレス鋼のほうが温度、今ロケットで使われている素材よりも、こっちのステンレス鋼のほうが良かったみたいなことで、こういう銀色の外見になったということらしいんですけどね。
小飼:うーん、どうなんだろうね。まぁ今のわりと新し目のロケットというのは、液体酸素と液体水素を使っているので。液体水素というのは本当に液体にしておくのが難しくって、打ち上げの本当に寸前まで充填してるんですよね。詰め詰めしてるんですよね。当然断熱も、ロケットというのは本当になるべくペニャペニャに作りたいんだけれども、ペニャペニャだけだと本当に液体水素が液体のままにいてくれないので、スタイロフォームで囲っているんですよ。だから、今どきのロケットの側面というのはオレンジ色してることが多いと思いますけども。スタイロフォームというのか、ウレタンですね。
山路:ステンレスの方が良かったみたいなことを、イーロン・マスクは言っているということらしいんですけどね。
小飼:本当かよ。ただこれ、ロケットでどんな燃料を使うのかっていうのはいまだに議論があって、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいっていう議論が成立する部分で。確かにロケットで1番大事な性能というのは、比推力という指標です。比推力というのは単位は秒になりますね。これが大きければ大きいほど、基本的にはいいロケットで、要は少ない燃料で多く加速できるということで。なんですけども、まだ地上に近いところ、速度が出てない段階では、比推力よりも推力のほうが大事だったりもするんですよね。
なんで、今のロケットというのは液体窒素と液体酸素だけではなくって固体燃料ブースターがついているかっていったら、そこなんですよ。固体燃料ブースターのほうが推力があるんです。比推力では落ちるけれども。
山路:それはどういうタイミングで使うかということ?
小飼:そういうことです。
山路:なぜ最初の段階では推力のほうが重要なのか。
小飼:これは物理をやればわかるんですけども、まだ地上との速度差がない時っていうのは、大量の質量をゆっくり押したほうが加速するんですね。液体酸素と液体水素を燃やす反応、要するに燃焼させた時の燃焼ガスっていうのは速すぎるんですよ、その段階では。
山路:あぁなるほど。
小飼:液体で同じことをやろうとすると……かつては、液体酸素は同じとしても、ケロシンを使ってたんですよね。アポロもそうです。アポロのサターンVも第1弾は液体酸素とケロシンでした。じつはファルコンもそうなんですよ。
山路:このスターシップロケットも?
小飼:どうなんだろう。なんかノズルが少ないんだけども。まぁこれも実際に出来上がったものを見てみないとね。
山路:宇宙ビジネスって、来るんですかね? 弾さん的にはどう思います? この宇宙ビジネス、人工衛星の打ち上げだったりとか。
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