「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年6月4日(月)配信の「小飼弾のニコ論壇時評」の前半をお届けします。

次回のニコ生配信は、2018年8月21日(火)20:00からの「小飼弾の論弾」です。

お楽しみに!

2018/06/04配信のハイライト(その1)

  • どうなる高度プロフェッショナル制度
  • 少子化だから、不景気なんじゃない?
  • 高プロのある日本の未来
  • 外注する場合、コストは高くならなければならない
  • 昔の派遣業。はねられた。
  • 永田町にきちんと労働者の代表を送り込め
  • 自分大好き竹中平蔵
  • 現金な国、日本のキャッシュレス事情
  • MicrosoftがGitHub買収

どうなる高度プロフェッショナル制度

山路:まずは、巷で話題になっている、高プロの話からいこうかなと思うんですけど。衆院で働き方の法案が成立して、それが参院に送られた。成立しそうなわけですよね、高度プロフェッショナル制度が。こうした働き方の法案が成立して大丈夫なのかな?ということを心配している人が多いようなんですけども。

小飼:大丈夫じゃないんだろうけども、そもそもなんでこんなのが出ちゃったのかというところまで戻すと、投票したみなさんが悪いという、身も蓋もない結論が出るわけですよ。

山路:本当にいきなり身も蓋もないですよね(笑)。

小飼:みなさんが選んだ小泉純一郎さんが、竹中平蔵さんを選んで、竹中平蔵さんが派遣の規制を撤廃したら、日本人の4割は非正規になったという。みなさんの選択の結果です。

山路:「俺は選んでないが」というコメントも出てますけど(笑)。

小飼:だから選べるヤツを選ぶのがいかに大事かということですよね。我々が選んだ人が、さらに人を選んでということなので。

山路:しかしそんなことは、みんな予想できないじゃないですか! って言いたくなります。自分の選んだ人間が更に別の人間を選んで、結果的にこうなるって、そのヤツって最初から全部は予測できないんじゃないですか。

小飼:それは予測できないでしょう。

山路:だけどでも責任は取らなきゃいけないという。

小飼:そもそも一人ひとりが、きちっと、ああしたらこうなるというのを完全に予測できたとしたら、実は選挙っていらないんですよ。ランダムに今回はこの人に全部やってもらうということにすれば、誰がそこにいても同じロジックで考えた結果、同じ結果が出るのであれば、誰を選んでもいいということになるじゃないですか。
 それがわからんから、選挙をやっているわけですよね。

山路:(笑)。

小飼:もし、未来がわかるのであれば、選挙はいらないんですよ、本当に。

山路:どっちにしても結局、民主制であるかぎりは、結果の責任というのは、投票した人間が取らなきゃいけないことは確かなわけですもんね。

小飼:民主主義の主は、自らを傷つけることも許されているんですよ。
 プログラマーの格言で、UNIXには、自分の足を撃つ自由があるという言い方があるんですけども、それがまさに民主主義ということですから。
 じゃあ、今の与党に投票しなかった人まで責任を負わなければいけないの? ということですけども、負わなければいけないんですよ。
 あなたは身体を張ってでも、止めましたか? って、言われちゃうんですよ。だから民主主義って恐ろしいんですよ。

山路:その責任を皆あんまり自覚してないってことなのかもしれないですよね。これ今「働き方法案」で一番ポイントというか焦点になっているのが、高度プロフェッショナルといわれるところなんですけど、この前そのNHKのクローズアップ現代ではそれこそ竹中さんも出演して、ここで竹中さんが言っているのは、「私はやっぱりこれを入れていかないと、日本経済の明日はないというふうに思うんです。」って。

小飼:あのさ、竹中さんの言うことってさ、竹中さんが小泉さんに登用されて以来、リジェクトされたことある?
 竹中さんの言うことをずっときいてきた、その結果が今なわけですよ。その間、諸外国、例えば特に中国と比べて、日本って成長しました?竹中さんの言うことを聞いたんですよ。日本政府は。だからもう結果出てるじゃないですか。お前の言う通りした結果がこれだよ。っていうのはもう出てるわけですよ。これ以上、これ以上ない形で。

少子化だから、不景気なんじゃない?

山路:「人口の問題が大きいんじゃね?」というコメントも出てますけどね。
 つまり人口減少の問題、少子高齢化によってこういうふうに日本の成長が緩くなっているんじゃないのかっていう。

小飼:でも日本が特に、少子高齢化の影響というのは顕著なんですけども。減り始めたのはやっと最近です。これからガンガン減っていくんですけども。だから失われた20年の間にも、人口というのはしばらくは伸び続けたワケですよね。
 出生率とかが減っても、人が死なない限りは、すぐには人口減りませんから。それでも永遠に生きているワケではないので、いつか減る時が来て、それはもう始まったワケですよね。

山路:ようやく、これから本番だと。

小飼:だから(今の日本の停滞は)人口減少の影響とはいえません。それをいったら、中国だって日本以上の少子高齢化が控えているわけですよ。一人っ子政策のおかげで日本よりも更にいびつな状態になっていますし。

山路:竹中さんがクローズアップ現代に出た際、肩書が東洋大学の教授になってたんですけども。重要な肩書が抜けてたんじゃないかっていう(笑)。

小飼:そうそう、人材派遣会社の会長という、もっと大事な肩書が抜けてたと。

山路:私最近その竹中さんと、経済学者の大竹文雄さんの対談本『経済学は役に立ちますか?』を読んだんですが。

小飼:僕も経済学は役に立つかどうかはワカランけれども、竹中さんが役に立たなかったというのは、もう証拠が出てますから。