「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年4月17日(火)配信の「小飼弾の論弾」の全文をお届けします。
次回のニコ生配信は、2018年6月19日(火)20:00より。小飼弾宅からお届けします。
お楽しみに!
2018/4/17配信のハイライト
- 全裸ゴミ出しの高知市職員逮捕
- ドワンゴ、VTuber配信ソフト公開
- 正社員の待遇下げ、格差是正
- 今の日本はうまくいっている!フィナンシャル・タイムズがべた褒め
- 学校では何を教えるべき?
- ゆとり教育で、本当にゆとりが必要だったのは教える方
- 海賊版サイトブロッキングはあり?
- CDNが果たしている役割
- 科学論文の違法ダウンロードサイト
- 今だから読むべき『銀河英雄伝説』
- 銀英伝の話のポイント「民主主義が負ける話」
- シンプルモデルの政治情勢がエンターテイメントとして映える
- 『銀英伝』のカギを握る3人の女性
- ちゃんとサイエンスしている『星界の紋章』
- 現実がフィクションに追いついた
- 民主主義は再興しなかったが、死んでもいない
- 銀英伝で1番の悪役は誰?
- 『銀英伝』に活かされた古代中国史のエッセンス
- アニメと小説、どっちから始めるのがいい?
- スペースオペラというジャンル
- 世界4位のスパコン「暁光」、撤去へ
- 法治の法は建前のこと
- インターネットが使えなくなったらどうなる?
全裸ゴミ出しの高知市職員逮捕
山路:まずは軽目の時事ニュースから。
小飼:超軽い。おお! 確かに、確かに質量ゼロだね。これは軽い、これは軽い。
山路:弾さんがこのニュースを選んだんですが、これって何かニュース的なバリューはあるんでしょうか?(笑)
小飼:僕もやりかねないなと思いまして、ちなみにここは、マンションの最上階なんですけれども、この手の大規模集合住宅というのは、ゴミの集積所というのは中にあるんですよ。だから24時間いつでもゴミ出しできるんですね。
山路:それを全裸で行うのは、違う問題なような気がしますけど。
小飼:でも夏とかな、暑かったら、そのままヒョイと行っちゃいそうな気がしないでもない。
山路:かなり失うものが多そうな気もしますけどね。
小飼:何も着てなくてゴミしか持ってないのに、失うものないじゃん。
山路:この通報された人も、はたしてそう思ったのかな……。
小飼:うん、なんで通報とかそういう野暮なことしちゃうかなという。
山路:野暮!(笑)
小飼:VTuberとか流行っていますが、VRゴーグルを被っている人が自分は服を着ているつもりで、全裸でゴミ出ししに行っちゃうことが起きたりしないんだろうか。
ドワンゴ、VTuber配信ソフト公開
山路:ドワンゴがVTuber用アプリを開発して、みんなが簡単に使えるように公開したという話がありました。変な格好して配信中に、そのままの格好で外に行っちゃうことがあるかもしれない。
小飼:VTubingというのか、VTuberのモーションスキャンをするための、マーカーがついてる服っていうのは、全裸よりも恥ずかしいんじゃないかなあ。
山路:ZOZOSUITっぽいですけどね(笑)。
小飼:たぶん今のVチューバーの皆さんはこれでやっていると思うんですけど。早かれ遅かれ、普通の人がそのまま普通に振る舞うと、登場人物を動的に書き換えてくれるようになるのは確実でしょう。
そうなってた、服はヴァーチャルでいいじゃないですか。頭のいい人にしか見えないんです。
正社員の待遇下げ、格差是正
山路:『銀英伝』とか「漫画村」の話に行く前に、私が結構面白いなと思った日本郵政のニュース。
小飼:ああ、正社員の方の待遇を下げたっていうヤツ?
山路:ええ、そういういろんな手当とか、そういうものをなくしたりして、結局非正規との格差を是正するみたいな話。それに対してこんな非正規の方の待遇を上げるんじゃなくて、正規の方の待遇を下げるのかよ!と炎上してたりするんですけど。
小飼:炎上したのかな? 少なくとも、労組の方はその条件を飲んじゃったワケでしょう。どっちかというと労組無能という(笑)話になるんじゃないかと思うけれども。でもよく考えたら一番でかい労組なんですよね、確か。
山路:ええ? そうなんですか?
小飼:民営化したおかげで、もう正々堂々とできるにもかかわらず、こんなショボい条件しか出せなかったのかという見方もできますよね。
山路:交渉が下手だったっていうことなんですかね?
小飼:まあそういうことですね。
山路:ここのところで、正社員の待遇を下げるなんて!と文句を言っている人もいるんですけど、結局正社員と非正規の格差っていうのは、縮まっていかざるをえないじゃないですか。同一労働同一賃金になると。
小飼:同一労働同一賃金どころか、本来であれば、非正規の方が高くなければいけないわけですよ。
山路:今は、非正規労働者が安易な使い捨てのコマとして、使われてるという現実があります。
小飼:どうしてこうなった?なんです。最初の頃は、まさに「White-Collar Exemptions」に該当するような人が非正規だったハズなんですけども。
山路:言ってみたら、高給を取るエキスパートみたいな形だったワケですよね。それが派遣労働に関する法律が改正されて、今みたいな形になっていって。
でも、そういう格差が是正されていくのは必然なのではなかろうかと思うんですけども。つまり安定した雇用の代わりに、ちょっと給料が低い正社員というふうになっていかざるをえないという気が……。
小飼:まあこれは日本に限った話ではないですけれども、特に日本の場合、ヒドかったのは、社員の身分が2種類できちゃった訳ですよ。
山路:それが身分差別になっている。
小飼:そうそう身分差別になっちゃったんですよ。
山路:日本に限らないのかもしれないですけど、こういう差別がいたるところにあるような気がして。例えば最近だとベトナム人実習生が有給休暇を希望したら、いきなり強制帰国させられたという事件がありました。これって言っちゃなんですけど、奴隷じゃないですか。
小飼:奴隷ですね。
山路:安易にクビを切られるという、すごく弱い立場におかれて、雇う側の言い値で働かされるっていうのは、結局の所奴隷ですよね。
小飼:でも、その奴隷制を支持したのは誰だ?ということですよ。
仮に「正規非正規分離計画」があったとして、その軍師は誰かって言ったら、竹中平蔵に決まってるわけですよね。
山路:名指しだ!
小飼:名指しせざるをえないでしょう。その人が今、人材派遣会社の会長やってるっていうのは、これ超ヤバイはずなんですけれども。十分な批判の声は上がってませんよね。もちろん、彼を軍師に据えた小泉純一郎が、将軍ということになるわけですけども、この場合。
ですけど、彼を支持した人達というのは、いたわけですよ。
山路:圧倒的な人気を得たわけですよね、小泉旋風。
小飼:今非正規雇用で、来年はどうなるかわからないって言ってあえいでいる人達も、かなりの数が彼に投票しちゃった。そこなんですよね。
山路:自ら奴隷への道を。皆がなんとなく自分の利益になると思ってとった投票行動が奴隷への道に続いているという。
小飼:ただ、この頃というのは、冷戦終結とほぼ同じ時期だよ。
1991年には、ソ連が倒れてロシアになって、湾岸戦争も起きました。その頃は、今のままじゃいかんという機運が確かにあったんですよ。でも一番選んではいけない方向を選んでしまったのかなと。
山路:ここんところで、コメントにもあったんですけども、じゃあどうやって是正すればいいの?っていうのが……。
小飼:人類の寿命は伸びないとして、最高120年待てばそれは終わります。我々が全員いなくなるから(笑)。
山路:それは、「できない」っていうのを別の言葉に言い換えてるだけですよね。これって、一箇所選択を誤ったというより、歴史の必然だったりするんでしょうか?
小飼:多分歴史に必然ってないんですよ。教科書とか読んでると、あるいは物語とかを読んでると、あたかもこうなって当然だというふうに思うかもしれないですけど。例えば、我々は来年出るスマホは今あるスマホよりもいいということを、まったく疑ってないですよね?
山路:そうですね。
小飼:そうでなくなっちゃった時代っていうのは、人類史上何度かあるんですよ。西ローマ帝国が滅んだ後のヨーロッパとか。
山路:線形的な変化でずっと上手いこといくと思ったら、ガクッとなって、全然違うグラフを描き始めるという。
小飼:そう、今より来年の方がダメになっている。今年ならできていたことがもう来年にはできなくなっているそんな時代があったんですよ。日本は少なくとも、1つの分野ではそれが起こります。それはなにかというと、人口減少ですよね。もう集落単位では起こってるんですけども、ぶっちゃけ日本中が夕張になるっていうことです。
山路:今まで基本的に人口が増えて、よりGDPが大きくなって、なんか経済規模が大きくなってもっと豊かになってということは、基本的に人口が増えるみたいなことを前提にしてたこともあるわけですもんね。それでモノを買う人が増えていったと。
小飼:そうそう、だからそれを当てにできなくなるし。少子高齢化というのは、もう全人類的に起きるというのは、もう確定しているので。
山路:中国でもなんか生産年齢人口は、あれもう減り始めたんでしたっけ?なんかとにかくそういうかなり危機的な状況にあるということはよく言われてますよね。
小飼:そうだから人類全体の数が減るというのは、だから減ることによって今まで、成立していた産業が、成立しなくなるという。
山路:なんかそういうグチャグチャに混乱の時に、皆が不安になると、何というかこう目先の甘いことを囁く人が現れて、そっちの方向に行く、という流れがあるのかなという気がするんですけど。
小飼:まあそれは確かに。
今の日本はうまくいっている!フィナンシャル・タイムズがべた褒め
山路:ちょっと面白いなと思ったのが、フィナンシャル・タイムズが……。
小飼:日本のことを褒めてましたね。
山路:そうそう、日本経済はスゲエ好調で、ミラクルで、ここ20年日本がやってきたことをちゃんと見直した方がいいんじゃないのかと。
訳の抜粋を読んでみると、「20年に渡る生活水準の向上。比較的所得の平等、純粋に機能的な銀行システム」まあ要は銀行がちゃんと機能してると。
小飼:彼らの国がちょっと色々ヒドすぎるんだよね。
山路:イギリスがってこと?(笑) Breixt、EU離脱を決めちゃったし、あと最近ニューヨークの殺人の数をロンドンが上回ったみたいなニュースも出てたりしますよね。
小飼:あちゃー。でも、これはニューヨークが安全になったおかげでということで、実はアメリカはその部分に関してはすごく良くなったんですよね。都市の治安というのは、ニューヨークだけじゃなくって、全米的に良くなりました。
山路:銃乱射事件が起こっている印象がありますが。
小飼:でもトランプ政権になってから、トレンドが逆転してるんだよね。そこすごく気になっているところなんだけれども。
山路:実際にどうかっていうよりも、皆が不安になっているのが全体にあったりするのかな。このフィナンシャル・タイムズの記事にしても、イギリス人がパニクって、過剰に不安になって、自信をなくしているような印象を受けました。
小飼:不安を煽って得した人たちがいるんですよ。
山路:ほお!イギリスの中でもとか?
小飼:Breixtなんて、その最たるものじゃないですか。
山路:ええ、なんたらジョンソンでしたっけ?ボリス・ジョンソン。そもそもBrexitに反対してたくせに、そっちの方が人気を取れると思ってBrexitを持ち上げて、実際にBrexitが決まったら逃げ出したという(笑)。
小飼:資本主義の欠点として格差を拡大するといったことが挙げられているけど、「不安を煽ると儲かる」の方が欠点としてデカイかもしれない。
山路:ほお。格差拡大よりも?
小飼:デカイかもしれない。要はそこで余計なものを作る人、余計なものを消費する人というのが、続々出てきちゃうということで。ダイエットビジネスとかいうのも、その一環ですからね。
山路:そうですね。あと、不安になると余計にものを買って溜め込んでしまう。そう考えると、元々資本主義の仕組みっていうのが、扇動というか洗脳によって、本来は買うべきでないモノを買わせてたんじゃねえか、という気がします。
小飼:そうそう、どうしても含まれてしまうんですよね。
だから逆説的かもしれないんですけど、少なくとも教育はしっかりと無料にすべき。
学校では何を教えるべき?
「お受験も」(コメント)
小飼:だから、お受験がなければいけないという事自体おかしいと思わなきゃいけないんですよ。うちの娘たちもお受験の結果、中高一貫校行きましたけどね。それ自体がやっぱりおかしいと考えなければいけないんでしょうね。
山路:良い教育を、限られた人しか得られないのがおかしいという。
小飼:心のワクチンみたいなところがあるんですよね、教育というのは。十分な数の人が受けてないと効果が出ないけども、十分な人が受けていればものすごく効果を発揮するという意味で。実際にその恩恵を受けている人というのが効用を実感しにくいという点でも、ワクチンに似ていると思います。真っ当に教育受けてたら、水素水とかあり得ないし(笑)。
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