「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
今回は、4月17日(月)に配信した phaさんとの対談テキストを3回に分けてお届けします。
- 小飼弾の対弾 4/17「対談・pha 働いても負けじゃない? 世界一忙しいニートの人生哲学」 - ニコニコ動画
- 【会員限定】小飼弾の対弾 4/17「対談・pha なにものでもないぼくらは働いて生きる? それとも好きなことで活ききる? 新たな暮らし方最前線」 - ニコニコ動画
phaさんの著書は、こちら。
次回のニコ生配信は、5月22日(月)20:00の「小飼弾のニコ論壇時評」。旬のニュースをズバズバ斬っていきます。21:00頃からは、通常の「小飼弾の論弾」をお届けします。
■2017/04/17配信のハイライト(その2)
- 視聴者からの質問:ニートが彼女を作るには?
- 視聴者からの質問:働かずに好きなことをやっていることに罪悪感。どうすれば?
- 日本人は働きすぎ、無理しすぎ、頑張りすぎ、働いていても大した仕事はやってない
- 自分が嫌な仕事なら辞めればいい
- 現場が頑張るのは間違い。頑張るのは経営陣の仕事
- 働き方改革、経団連や政府ができることはなに?
- phaさんからファンの方へのメッセージ
- こいつは意外とこんなやつはネットだけではわからない
- ベーシックインカムは局所導入不可能やるなら一斉に
phaさんのまわりのニートは自立しています
山路:phaさんの周りにいるニートの方の中に、親に依存してる方っていうのは、けっこう多かったりします? そんなにはいなかったりします?
pha:いやあ、あんまりいないですねー。
山路:じゃあ、本当に、1人で生きる上での生き方として、そういうのを選んでいるだけで。
pha:そうですね。
山路:それぞれなりに、なんらかの工夫して――
pah:工夫してというか、「上手くいかなくて」という感じですけどね。会社とか。
小飼:その方が、難しいんだけどね。「あえて雇用されない」という方が、難しいんですけど。
山路:雇用されない生き方というのは本当にそうですね。でも、私も会社勤めは3年くらいしか続かなかったから(笑)。
pha:僕も3年くらいで辞めました(笑)。
山路:“辞め友”ですね。phaさん、けっこうデカい企業に大学を出てすぐに勤めてたんでしたっけ?
pha:そうですね。留年とかしつつ勤めて、わりと暇な仕事だったんですけど、やっぱなんかダメで、浮いてしまうというか、すごい生きづらいというか、うまく仕事もできないしみたいで、無理でしたね。
山路:本では、「ソリティアばっかりやってた」って書いてましたね。
pha:ソリティアばっかりしてましたね。仕事してるフリして、ずっとやってましたね。
山路:すごいおいしい仕事な感じがするんですけど。
pha:たぶんすごい、そういう意味ではラクだったんですけど。それでもやっぱりダメ。「俺、一生ソリティアやってるのかー」とか思うと、もっといい場所があるんじゃないかと。
小飼:それは計らずしも正しかったですね。Windows10にはソリティアついてないですから。
一同:(笑)
pha:僕の周りにいるのも会社に適応できない人ばっかりで。そういう人が一定数いると思うんですよね。そういう人がプラプラして、お金はないしボロいシェアハウスだけど、そんなところで生きていけるならそれでいいかなと思ってやってるんですけど。
世界中に展開されるギークハウスのコンセプトは?
山路:だけどすごいですよね。ギークハウスというのを立ち上げて、しかもそのギークハウスって世界中に今同じようなコンセプトのものっていうのが2、30件くらい存在するわけじゃないですか。
こういう感じで世界のいろんな人に共感されるシェアハウスのコンセプトってどういうところなんですかね? シェアハウス自体は今までにもあったと思うんですけど、ギークハウス的なものっていうのはどういうところなんですか?
pha:やっぱり、それが広がったのはインターネットのおかげでもあるし、やっぱりネットで見て「マネしたい」という人が出てきて。それに対して「誰でも作っていいよ」ってオープンにしてたのが大きかったかもしれないですね。オープンソースプロジェクトみたいな感じで、誰でも出来るような感じなのが良いなと思って。
山路:今、こちらのギークハウスには、何人くらいいらっしゃるんですか?
pha:ここは十数人くらいですね。
小飼:けっこう
山路:多いですね。
pha:そうですね。
山路:常に定住というか、同じメンバーが、十何人か。
pha:そうですね、あとしょっちゅう来る人もいたりして、そういうコミュニティーがあるという感じですね。
山路:本当に面白いなと思うのは、phaさんって人と話すのがめちゃめちゃ好きってわけでもないのに、ギークハウスみたいなものを主催するというギャップみたいなのがすごいなと思って。
pha:話すのは嫌だけど、でも、なんか一人では淋しいので、話さなくてもなんとなく人がいるみたいなのを作りたくて。ツイッターみたいな感じなんですよね、みんなそれぞれ好きなことを呟いているけど、人はいるみたいな。
小飼:そこはいいところかもしれないですよね。さっきコメントで、「ニートとひきこもりは違うんじゃね?」というのがあって、まさにおっしゃる通りで。人の気配などが好きだというのは、生き残りやすさを格段に大きくしますよね。
山路:人自体が怖い人は、確かに生きづらいは生きづらいですよね。
小飼:そういわれてみると、『働かないふたり』でも妹の方はひきこもりだし。
山路:兄貴の方は、わりとなんでもできる人ですよね。
小飼:妹曰く“エニート”ね。
pha:でも、働かないんですね?
山路:ちょっとphaさんに似てるかもしれないですね。
小飼:お父ちゃんがいい人なんだよね。お父ちゃんが良い人過ぎて。
「ひきこもりとデイトレーダーは同じ」(コメント)
山路:それは違うんじゃないですか?(笑)
小飼:デイトレーダーは、デイトレ―ディングを通して社会と接しまくっているので、違うんですよ。やっぱり違うんですよ。ちょっと。
pha:でも、「他人と話さなくてもいい」というのでは、そういう方向に行く人もいますよね。
小飼:それよりも、“ロイヤルファミリー”ってまさにニートだよね。あれ以上のニートはいないよね。
山路:けっこう、ひやひやする話題になってきましたね……(笑)
小飼:千代田区1-1に住んでる方は、ニートだよね。どう見ても。
山路:まあそう思いますけど。
小飼:ある意味、あそこまで忙しいニートというのも、ちょっと嫌ですけど。
山路:phaさんもどっこいどっこい忙しいみたいな話ですけどもね(笑)。
phaさん、暮らし本を書きはじめて何か変化した?
山路:phaさんは今まで4冊か5冊、本を書かれてるじゃないですか。
小飼:すごいな、ニートじゃない、作家という主張もできるのか。
山路:『ニートの歩き方』が最初の本なんですか?
pha:あれが最初ですね。
山路:それから最近の『しないことリスト』という本を書かれていますが、最初の本を書かれた当初から考え方など変化してきたことってありますか?
pha:あー、変化ですか……変化はそんなにないですね、今のところ。
「完全に作家w」(コメント)
「マルクスもニートだった」(コメント)
小飼:ああ、マルクスもニートでしたね。しかも、作家ですらないですんもんね、ある意味。著作をまとめたのもあくまでエンゲルスですからね。
山路:そうか、ただ思いついたことを言ってただけみたいな。
小飼:ただ、それをいうと「ゴッホは画家だったのか?」ってことにもなりますよね。生前、作品が売れなかったわけなので。
山路:はっきり言って、肩書きの問題って「自分でどう名乗ったか?」に過ぎないのかもしれないですよね。
小飼:その意味ではニートというのは中々上手い言葉が見つかったものだなぁ、と。イギリスで発見されたんでしたっけ?
山路:でもまあ、働いてるのかどうかの区別って結局一体どこにあるんだろうとは思いますよね。
pha:そうですよね。そこら辺の区別にあんまり意味はないとは思ってるんですけどね、僕は。別に、お金になってもならなくても、多分は文章を書いたりしてるので。元々ブログに書いてたのがたまたま本になっただけなので。
ただ、最近よく思うのが、ニートの中にもそういうような、別にお金にならないけどやりたいことある人と、それがない人がいて。「それがない人はどうすればいいんだろう?」とか、「しんどそうだな」とか。
生き方は違えど言っていることは同じ? 弾さんとphaさんの仕事観
小飼:ああ、でも、ボーナスとかっていうものを一度は貰ってみたいなぁ、俺も。いや、払ったことはあるけども貰ったことないなぁ。
山路:なんかその、弾さんとphaさんって、随分と生き方は違うと思うけど、意外と言ってることは似ているような気がしてて。「働かなくてもいいじゃん」みたいなことを言ってるところもそうですけど、非常に共通点が多いような―――。
小飼:“無駄な働き”は減らしたいよね、ほんと誰も得しないから。
pha:弾さんは「仕事が好き」みたいなのはありますか?
小飼:うーん、仕事というのか、これは万人に共通してると言える数少ない事だと思うんですけど、わからないことがわかるとき、できなかったことができるようになったとき、それはうれしい。これをうれしがらない人というのはいないんじゃないかなぁ?
山路:phaさんは、例えばどんなことをできるようになったときにうれしいと感じますか?
pha:できるというか、まあ、本を読むのが好きなので、本を読んで「あー、これはこうなってたんだ」ってのを調べるのは楽しい。なので、本ばっか読んでますね。普段は図書館とかで本を借りてきて。
ニートで暮らしていくための必須能力は好きなものを見つける能力
山路:なんか、先ほどおっしゃっていた「ちょっとした好きみたいなのがない人」、お近くにいらっしゃるニート仲間の方で、そういうあんま好きがなさそうな方っていらっしゃるんですか?
pha:そうですね、いたりしますね。そういう人は辛そうな感じがあるので、「そういう人は何か仕事があったほうがいいのかな?」って感じはしますね。「これやって」って言われるような仕事が。
小飼:確かに、同じ事を繰り返し行うというのが、実はそうでもなかったりするってのをポケモンGOのお陰で再発見しましたし。
山路:ポケモンGOから色々学んでますね。
小飼:いや、だって、“歩く”ってことこそ、右左、右左って足を交互に出すだけの繰り返し中の繰り返しじゃないですか。それを一日に一万回も繰り返すわけですよ。だからよく考えたらこんな退屈なことはないはずなんですけど。
山路:「大事なことはみんなポケモンGOで学んだ」みたいな。
ただ、そういう、さっきの“好きがない人”っていう人に対して、phaさんは何かしてあげたりするんですか? 「これやってみ」みたいに勧めてみたりは―――。
pha:勧めるぐらいはしますけど、なかなか根本的には解決できない感じがしますね。どうすればいいのか? それは迷うところではあるんですけど。
小飼:いや、それを迷うってのも、ある意味で不遜な考えじゃないですか? 自分じゃないわけですし。
pha:「結局、何もできない」って感じかもしれないですね。
小飼:こう言うのもなんですけども、塞ぎこんでる人を無理やり外に引きずり出してってのは―――。
山路:それに、心の持ちようというかよく言われたりするけど、そういうのって脳内だったり体内の科学的な状態にも因ったりすることがけっこうあったりするから。「単純にその、体の状態とかで変わったりすることもあるかな?」みたいなことは。
私もちょっと、一時期に鬱っぽくなったことがあったんですよ。で、医者にかかってみたら、精神科じゃないんですけど、別のところにかかってみたら男性ホルモンが異常に低下してるって状況があって、注射を打ったらいっぺんに元気になったっていうことがあって。
小飼:あとは“食い物”も大きいよね。
pha:ただ、一時的に落ち込んでるだけだったらそういうので治るかもしれないですけど、そもそも生まれてからそういうことを考えたことがない人って、けっこういる気がするんですよね。「何が好きか」とか以前に「何をやるべきか」とかを。
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