片岡義朗ブログ

再掲「萩尾望都原画展」2009/12/23@西武百貨店池袋

2016/10/09 05:09 投稿

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2009/12/23

10:13 pm

今日、萩尾望都さんの原画展を観に行った。
望都さんから葉書がきて、池袋の近くまで来たら寄ってみてください、
との遠慮勝ちのお誘いだったけど、
ご本人からそう言われたら、観に行かないわけにはいかない、言われなくても行くのですが。
漫画家生活40周年記念ということで、
池袋の西武百貨店ギャラリーは最終日ということもあり、超満員の盛況だった。

鮮やかな色彩の水彩画、若いころの細い繊細な線、
エドガーやアランのきれいな顔も久しぶりに観た。
漫画の原稿も鉛筆の台詞が写植の下に見え隠れしたり、
台詞以外の指示も欄外に多く書き記されていたり、生々しい。

「ポーの一族」は連載雑誌ではなく作品集で観ているので、
原画のサイズの新鮮さがあり、
原作の持つ静けさ、時の流れ、うつろう人々、台詞の激しさがさらに迫ってくる。
ナマな原画を1枚1枚じーっと観て、言いようがないくらい深く沈んだ気分になった、無常だ。
この傑作、何としてもアニメにしたい、
長濱さんに一緒にやろう、やります、って言われてすでに何年経つだろう。
生涯のテーマだ。

「トーマの心臓」では、あの有名な文章の原稿が展示されていた。
「人は2度死ぬという。一度目は自身の死、2度目はその死が友人に忘れられた時……」
(台詞少し違うかもしれない、こんな感じ)
生の原稿を目の当たりにし、見入っているうちに、素敵な詩だ、と改めて感心した。
漫画の「トーマの心臓」は読んで頭に入っていたつもりだけど、
30年近くも経って「マグダラのマリア」でこの台詞を聴くことになるとは夢にも思っていなかった。
台本で初めて読んだ時、どこかで観たな、と思い、何度も台詞で聴いているうちに、
そうだ望都さんの「トーマの心臓」だと思い出だした。
これはすごい台詞だ。

萩尾望都さん、いつも穏やかな笑顔絶やさない天才漫画家。
日本と世界のエンターテイメント作品に絶大な影響を与えてくれているかけがいのない人。

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