先日、アソビシステム社長の中川悠介さんと対談をした。大人気の歌手でモデル、きゃりーぱみゅぱみゅさんの所属事務所社長、と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
雑誌の読者モデルだったきゃりーぱみゅぱみゅさんの才能を見出したのが中川さんだ。彼女は、いまや日本だけでなくロンドン、ニューヨークなど、世界公演を着実に成功させている。
ただし、アソビシステムは、単なる芸能事務所ではない。オフィスを置いている原宿、その「原宿から世界へ」をテーマにしているのだ。中川さんによると、「原宿は『作り出す』街であり、新しいことをしやすい街。ゼロを1にできる街」ということらしい。
だから、彼の事務所のメンバーは、タレントだけではない。映像や音楽のクリエイター、ネイルアーティストなどなど、さまざまなアーティストたちが名前を連ねている。キーワードは「kawaii(カワイイ)」。「kawaiiを活かせるメンバー」を集めたと、中川さんは胸を張る。彼らとともに、日本の文化、そして「アソビ」を、世界に発信しているのだ。
例えば彼らは昨年、「MOSHI MOSHI NIPPON」というイベントをスタートさせた。今年も11月6〜8日に開催される予定だ。きゃりーぱみゅぱみゅさんらのライブはもちろん、カラオケや「よさこい」を体験できるブースも用意されている。そして、パスポートを持参した外国人は、無料で参加することができるのだ。
昨年のイベント参加者、約1万3000人のうち、なんと、8000人が外国人だったそうだ。日本の音楽やファッションだけでない。カラオケも「よさこい」も、外国人から見れば「COOL」な日本文化なのだ。中川さんは、「僕自身は歌もうたえないし、絵も描けないけれど、それらをまとめて、発信していくことはできる」と僕に語ってくれた。
日本文化はそれだけではない。日本の「食」もまた、発信するに値する文化だ。「MOSHI MOSHI NIPPON」と同時に、「JAPAN FOOD FESTIVAL」と題して「肉フェス」も開催する。また、「MISO KAWAII」をテーマに、味噌づくりをよく知る日本の食品メーカー、マルコメとコラボレーションして、「新しい味噌汁」の開発プロジェクトも立ち上げた。
日本は長年「ものづくり」の国と言われてきた。たしかな技術は、世界に誇れるものだということに異論はないだろう。一つひとつの技術、製品は素晴らしい。だが、「発信力」と「競争力」に欠けていると僕は感じる。とくに近年、各分野の企業を取材していると、いっそう強く感じるのだ。
「クールジャパン戦略推進会議」のメンバーでもある中川さんも、まさにその点を指摘していた。「パリでは、韓国の人気アーティストが集まって、大きなイベントを開いた。サムソンなどの大企業がバックアップしているんです。日本は個々のアーティストの力はすばらしいが、こうした力がない」と僕に語ってくれた。気負いなく、おだやかに語る中川さんの話を聞きながら、何にもとらわれない彼の視点を僕は非常におもしろく感じ、「新しい世代」の出現に胸がわくわくしたのである。
安倍政権は「COOL JAPAN」を世界に発信していこうとしている。だが、その日本に欠けているのは、まさに中川さんが持つ、この視点だ。だからこそ、中川さんのような若手経営者が現れたことは、大きな力となるだろう。
【お知らせ】
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〈田原総一朗(たはら・そういちろう )プロフィール〉
雑誌の読者モデルだったきゃりーぱみゅぱみゅさんの才能を見出したのが中川さんだ。彼女は、いまや日本だけでなくロンドン、ニューヨークなど、世界公演を着実に成功させている。
ただし、アソビシステムは、単なる芸能事務所ではない。オフィスを置いている原宿、その「原宿から世界へ」をテーマにしているのだ。中川さんによると、「原宿は『作り出す』街であり、新しいことをしやすい街。ゼロを1にできる街」ということらしい。
だから、彼の事務所のメンバーは、タレントだけではない。映像や音楽のクリエイター、ネイルアーティストなどなど、さまざまなアーティストたちが名前を連ねている。キーワードは「kawaii(カワイイ)」。「kawaiiを活かせるメンバー」を集めたと、中川さんは胸を張る。彼らとともに、日本の文化、そして「アソビ」を、世界に発信しているのだ。
例えば彼らは昨年、「MOSHI MOSHI NIPPON」というイベントをスタートさせた。今年も11月6〜8日に開催される予定だ。きゃりーぱみゅぱみゅさんらのライブはもちろん、カラオケや「よさこい」を体験できるブースも用意されている。そして、パスポートを持参した外国人は、無料で参加することができるのだ。
昨年のイベント参加者、約1万3000人のうち、なんと、8000人が外国人だったそうだ。日本の音楽やファッションだけでない。カラオケも「よさこい」も、外国人から見れば「COOL」な日本文化なのだ。中川さんは、「僕自身は歌もうたえないし、絵も描けないけれど、それらをまとめて、発信していくことはできる」と僕に語ってくれた。
日本文化はそれだけではない。日本の「食」もまた、発信するに値する文化だ。「MOSHI MOSHI NIPPON」と同時に、「JAPAN FOOD FESTIVAL」と題して「肉フェス」も開催する。また、「MISO KAWAII」をテーマに、味噌づくりをよく知る日本の食品メーカー、マルコメとコラボレーションして、「新しい味噌汁」の開発プロジェクトも立ち上げた。
日本は長年「ものづくり」の国と言われてきた。たしかな技術は、世界に誇れるものだということに異論はないだろう。一つひとつの技術、製品は素晴らしい。だが、「発信力」と「競争力」に欠けていると僕は感じる。とくに近年、各分野の企業を取材していると、いっそう強く感じるのだ。
「クールジャパン戦略推進会議」のメンバーでもある中川さんも、まさにその点を指摘していた。「パリでは、韓国の人気アーティストが集まって、大きなイベントを開いた。サムソンなどの大企業がバックアップしているんです。日本は個々のアーティストの力はすばらしいが、こうした力がない」と僕に語ってくれた。気負いなく、おだやかに語る中川さんの話を聞きながら、何にもとらわれない彼の視点を僕は非常におもしろく感じ、「新しい世代」の出現に胸がわくわくしたのである。
安倍政権は「COOL JAPAN」を世界に発信していこうとしている。だが、その日本に欠けているのは、まさに中川さんが持つ、この視点だ。だからこそ、中川さんのような若手経営者が現れたことは、大きな力となるだろう。
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〈田原総一朗(たはら・そういちろう )プロフィール〉
1934年、滋賀県生まれ。60年、岩波映画製作所入社、64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。現在、早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭も務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。また、『日本の戦争』(小学
館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『2時間でよくわかる! 誰も言わなかった! 本当は恐い ビッグデータとサイバー戦争のカラクリ』(アスコム)など、多数の著書がある。
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THE JOURNAL編集部
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