名前:近藤鉄雄(こんどう・てつお)
政党:元自民党衆議院議員
生年月日:1929年8月11日
血液型:O型
趣味:乱読
好きな食べ物:しゃぶしゃぶ
ホームページ:http://www.ines-japan.com/
Q1:政治家になろうと思ったきっかけはなんですか?
僕は軍人(海軍)の息子なんですよ。親父が戦死しまして、海軍兵学校、高等商船学校を経て東京商科大学(一橋大学の前身)に入り理論経済学を勉強し、経済政策で国家社会の役に立ちたいと考えるようになりました。その後、大蔵省の役人になったワケですが、出向先で三木武夫(みき・たけお)さんの秘書役・通訳として世界一周をし、その時、政治家の方が役人より幅が広いしダイナミックだな...「政治は面白いな」と、単純にそう思い踏み出しました。あまり難しい理由ではないんです。ただ、選挙活動は苦手でしたね、最初の頃は「これはオレの大好きなこと」と、自己暗示かけながらやってましたら好きになりました。(笑)
Q2:当時の選挙について聞かせていただけますか?
僕は選挙に関して9勝2敗なんだけど、いつも考えてる。選挙期間に入ったら、顔写真と名前の入ったポスターは公定枚数が決まってる。そこで、最初は「何をキャッチコピーにしようか?」と、「誰よりも〜」「中小企業の〜」とか...そこで考えたのが「こんどこそコンテツ(近鉄)」だった。ポスターも「こんどこそコンテツ」。ウグイス嬢も「こんどこそコンテツ」。それでは飽きるから、時々、よけいな事も言いたくなるんですが(笑)。「こんどこそコンテツ、近藤鉄雄」だけ叫んでましたね。あとで聞いたら、投票用紙の中に、「こんどこそコンテツ」と書いたのがけっこうあったらしいのですが、これは「余事記載(よじきさい)」でダメなんです。極端なものになると、「こんどこそ」しか書いてなかったらしいです...それくらい連呼してました。自分ではなかなかいいキャッチだと思ってるんです。今回の民主党の「政権交代」もいいし、小沢(一郎)さんの「国民の生活が第一」もよかったよね。
Q3:政権交代についてどう思われますか?
池田(勇人)が佐藤(栄作)に変わったのは「病気」なんですよね。佐藤は長期政権ですよ。沖縄返還を契機に佐藤内閣から田中(角栄)に変わるワケ。田中(角栄)が2年で辞めたのはスキャンダル、ロッキード事件ですよ。その後、三木(武夫)となったのですが、党内がおもしろくないワケですよ、クリーン三木だから。福田(赳夫)、大平(正芳)と引き継いで、その後は、鈴木(善幸)になった。元々総理になりうるタイプでもなかったから中曽根(康弘)に、中曽根は長期政権ですよ。その後の竹下(登)はリクルート事件ですよ。宇野(宗佑)が辞めたのはスキャンダル。宮澤(喜一)政権が潰れるのは自民党の内紛ですよ。細川(護煕)政権が潰れたのは佐川急便のスキャンダル。そして、村山(富市)政権に、村山はイヤになって投げ出す。橋本(龍太郎)は党内がまとまらなくて、小渕(恵三)に。小渕は病気。小泉(純一郎)は長期政権。あと、安倍(晋三)、福田(康夫)、麻生(太郎)...
こうやって見るとね、政権が代わったのは、病気になるか死ぬか、または、党内でひっくり返るか、スキャンダルか...基本的には、野党によって潰れてはないんです。政権をとった党というのはそれくらい強い。民主党だってそうですよ。もし民主党が潰れるとしたらスキャンダル。例えば、今いわれている、鳩山(由紀夫)さんや小沢さんの献金問題かも。玉石混交(ぎょくせきこんこう)だから、民主党だって聖人君子(せいじんくんし)ばかりではないんだから、スキャンダル...もあるかもしれませんね。逆に言えば、スキャンダルさえなければ、今の民主党は相当続くと思います。
タクシーに乗ったら政権交代について聞くんですよ。そしたら、10人が10人、みんな「よかった」と言いますね。「自民党残念だった」なんて言う人は誰もいないよ。まだ分からないけど、みんな「よかった」と言う。
成田(空港)にしても、森田健作[千葉県]知事の頭の中は千葉県しかないんだよ、なにがなんでも成田を守りたいというだけで、これだけのグローバルなエアライン競争の中で、普通はいろんな意見があるべきだと思うんだけど、何もない。ただ「困る」ではね。
前原(誠司)さんはいいと思うよ、成田にしても八ッ場ダムにしても、ハコモノ行政はそういう形で全部見直すことも大事だと思うんですよ。
─今、見直す時期にきてると?
ダムだって空港だって、だんだん効率の悪いところに作っていく、そうしないと仕事がなくなってしまうからでしょう。まず、旧建設省(国土交通省)が作って、お役人が建設大臣に「こういうダム計画がありますが」と言えば大臣は反対しない。そこでお役人が、旧大蔵省(財務省)と折衝して予算をとるのですが、大臣の「顔をたてる」ワケです。ですから、大臣折衝といっても、全部、旧建設省と旧大蔵省の公共事業担当が話をし決めている。ですから、大臣の予算折衝といっても、話がついていることだから5分で済んでしまう。でも、5分じゃカッコつかないから、あとの25分は雑談してるんです。
Q4:民主党の人事については?
内閣人事は、よく考えていていい人事だと思う。
─農林水産大臣に関しては?
篠原(孝)さんは農林省(農林水産省)出身でしょ、僕はね、彼を政務官にしてあげればよかったと思う。舟山(康江)さんはいい政務官だと思うけれど...舟山さんを口説いたのは篠原さんなんです、彼女は彼の部下だったわけなんですから。彼は農林省の役人の中で非常に真面目で独創性のある男だったし、妥協せず言いたいことを言う。赤松(広隆)大臣を、篠原さんが副大臣または政務官としてカバーすれば、もっとよかったと思う。
Q5:自民党はまだ放心状態な印象を受けますが、それについては?
自民党の政党の寂しさは、「自民党をぶっ壊す」という人を総理にしたこと。文字通り、小泉(純一郎)さんが壊したんです。彼を総裁にしなければ勝てなかった自民党は、もうその時期からアウトなんです。それを国民が、"小泉純ちゃんは面白い"とバックアップしたからあの時は大勝した。自民党には哲学がなかった。政権であることだけがウリの政党だったんです。政権政党だからこそ価値があった、政権を失って価値が無くなった。いま、自民党は、政党としてよって立つ政治理念を構築しなければダメです。
近藤鉄雄(こんどう・てつお)プロフィール
元自由民主党衆議院議員。三木派・河本派に所属し、経済企画庁長官や労働大臣を歴任。現在は、新時代戦略研究所を主宰して、各界の著名人を講師に招き、毎月朝飯勉強会を開催、政策提言を行う。民主党衆議院議員・経済産業大臣政務官の近藤洋介(こんどう・ようすけ)は長男。
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