いよいよ食育編も最終回です。今回の舞台は地域、学校です。家庭の中だけの「食育」を語るのは限界があります。というのも、食卓にあがる食べ物のルーツを探っていくと、山や海や畑にたどりつきます。では、食事のあいさつ、「いただきます」は誰に向かって言う言葉なのでしょうか。

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結城登美雄の食の歳時記<食育編・最終回>
「いただきます」誰に向かって言う?

宮城県の食育について考えていきたいと思います。

食育も教育の一つであるわけですから、先生と教科書と教室がなくてはなりません。先生はやっぱり畑を耕し、海草を採ってきたりして生産に携わっているお母さんたち。宮城の農山村漁村のお母さんたちは自分で畑を耕し、自分で料理を作り家族に食べさせています。そういうお母さんが一番食べ物のことがわかりますから、お母さんたちを先生にしたいなと思いました。教科書はそこで捕れる野菜や魚です。そして食べ物を育んでくれる海や山や川、田んぼという自然が教室になってくれたらいいなと思います。お母さんたちと相談したら、「何をやろうか。うちには何にもないよ」とみんな言うんで「そんなことはない」とアンケートを一ヵ月かけてとりました。そうしたら、売ってはいない、家族のために350種類もの食材を育てていることがわかりました。(※無料ここまで376文字/1,266文字中)