「雪形」という言葉を耳にしたことがありますか。北アルプスの常念岳には春になると「常念坊」という袈裟を着たお坊さんが、徳利を下げているような残雪がみられるそうです。春、農民は雪形を見て「そろそろ苗を植えよう」などと農作業を判断するのだそうです。今回は、雪国、山、海に暮らす人々が受け継いだ独自のカレンダーについてのお話です。

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結城登美雄の食の歳時記<暦編・その3>地域に伝わる「山の紋章」
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(撮影・THE JOURNAL@ニコニコ支局編集部/青森県酸ヶ湯)

北国、雪国の東北の人々が米づくりをする上で最も信頼していた暦は、何でしょうか。それは山の雪でした。僕らが普段使っている暦ではなくて、毎日山の雪を見て春が近づいたぞと、山の雪が溶け出したど山ひだに残っている雪の形、造形を見ていろんな農作業の判断をしました。

その雪の造形のことを「雪形」といいます。この雪形で農家がいつ種を蒔き、