韓国の鬼才キム・ギドクがエグゼクティブ・プロデューサー・脚本・編集を務め、2013年「第26回東京国際映画祭観客賞」を受賞した映画『レッド・ファミリー』が10月4日(土)より新宿武蔵野館他全国公開。個人的な話で恐縮ですが、筆者はこの映画を昨年観て大変感動しまして、しばらく鬱陶しいほどに周りの人に『レッド・ファミリー』の話をしちゃいました。日本公開が決まって本当に嬉しいです。
本作は幸せな暮らしを送っているかに見えるが実は北朝鮮工作員による擬似家族と、その隣人であるケンカの絶えない韓国人家族という対照的な2つの家族の交流を描いた社会派サスペンス。非常に難しいテーマを扱いながら、クスっと笑えるシーンもあり、涙無しでは観られないシーンもあり……。本作で長編デビューを果たしたイ・ジュヒョン監督の手腕にとにかく脱帽なのです。
最近では『RED/レッド』など、高年齢のスパイが活躍する映画が公開されましたが、この『レッド・ファミリー』でも新たなおじいちゃんスパイが大活躍。
本作には威厳のある祖父、優しい夫、おしとやかで貞淑な妻、そして彼らを慕う娘というまさに理想的な韓国家族が登場します。しかし彼らの正体は北朝鮮スパイ「ツツジ班」。妻役をリーダーとしてスパイ活動のため韓国に侵入し、普段は理想的な韓国家族を演じています。
この中でも、敬老の日である今日、特にご注目いただきたいのが祖父役のスパイを演じる韓国のベテラン俳優ソン・ビョンホ。『グッド・バッド・ウィアード』など、数多くの映画やTV、舞台で幅広く個性的な役を演じてきた、韓国を代表する名バイプレイヤーの一人です。
今回、ソン・ビョンホが演じるチョ・ミョンシクは、ベテランスパイなので暗殺の技術もピカイチ。北朝鮮に残してきた愛する家族のため、そして「ツツジ班」のニセの家族のために心優しいおじいちゃんスパイは日夜残酷な任務に専念しますが、褒美として与えられた貴重な休日には、「動物園にいきたい」などと、人間味溢れる演技で物語りを軽やかに進めます。しかし、酷使し続けた体はとうとう悲鳴を上げ、自分に残された時間がそう長くないと悟ります。彼の自分の体を犠牲にしながらも冷酷に働く姿には誰もが心を打たれます。
映画『レッド・ファミリー』は、10月4日より公開。
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