今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■残業禁止は非効率(メカAG)
「「長時間労働が日本をダメにする」小室淑恵氏が提案する、育児と介護の解決策」 2014年04月06日 『ログミー[o_O]』
http://logmi.jp/2824
この小室淑恵って人、2006年4月に長男を出産して、7月に株式会社ワーク・ライフバランスを立ち上げてるんだよな。
「小室淑恵」 『Wikipedia』
http://ja.wikipedia.org/wiki/小室淑恵
育児で多忙な時期に起業…。それでいて旦那が残業で留守がちだったから育児で大変だったって…う~む。
* * *
それはさておき、この人の主張は残業で労働時間を増やすよりも、人を増やせという。
じゃあ、逆転の発想のB社はどうでしょうか? 同じようにコストは下げたいんです。しかし、目を付けるのはこの長時間労働の部分。残業を削ってその分、若者を正規雇用したり、時間制約のある女性を積極的に雇用していきます。
まあ、理屈としてはわからないではないのだが、重要な点を見落としてるんだよね。仕事は少人数でやった方が効率的という点。人海戦術のプロジェクトは破綻することが多い。少数精鋭こそが理想。よく言われることだけど、プロジェクトの人数が増えるとコミュニケーションコストが2乗で効いてくるのでコスト爆発する。
人数よりも残業によって作業時間を確保しようとするのは、なにも社員をこき使うのが目的ではなく、この理由が大きい。プロジェクトは少人数に抑えて、残業で補った方が効率的。もちろん体力の限界を超えるほど残業すれば逆に効率は落ちるが、そうでない範囲では、ね。この傾向はクリエイティブなプロジェクトほど顕著。
コミュニケーションコストを抑えつつ、個人の体力の限界にも気を配り、いかに複雑な仕事をこなすか、という点でプロジェクトをどう分割するかの粒度が重要になる。
* * *
逆に残業ではなく人数を増やした方が効率的と考える人は2つのタイプだろう。ひとつは単純作業。作業者間のコミュニケーションコストが問題にならないルーチンワークなら、5人が8時間働くのも、4人が10時間働くのも作業量は同じ。むしろ1人あたりの疲労が少ない分、5人で分担した方が効率的だろう。
もう一つは、結局同じことなのだが、クリエイティブな作業であっても、作業内容の独立性が極めて高いケース。
私の会社は、6年間ずっと残業禁止でやってきましたが、6年間トップ成績のコンサルタント、実は短時間勤務の女性なんですよ。
このようにコンサルタントなら、一人一人が独立して自分のペースで作業をすることが多いだろう。この場合もコミュニケーションコストは発生しないから、5人でやろうが4人でやろうが作業効率は同じ。
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ようするにコミュニケーションコストがもともと低い仕事なら、残業なしの方が効率がいいケースもあるということであって、一方世の中の多くの仕事は、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションコストが極めて大きいから、人数を抑えて残業する傾向があるということ。
ネットとかを見ていると、残業なしの方が効率的でうちはそれでうまくいっています、と主張する人は、そういうタイプの仕事(コミュニケーションコストが低い仕事)が多いと思うんだよね。
でも世の中にはそういう仕事ばかりではないし、むしろそうでない仕事の方が大半なわけで、それを無視して「うちは成功してますよ」と言ってもね。大半の仕事はチームでやるのに、こういう人たちは例外的に個人プレーの仕事をしていて、それをチームプレーの仕事でも「自分たちを見習いなさい」というのは、ちょっと視野が狭いんじゃないですか、と。
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個人の集合と組織は違う。サッカーと柔道のようなもの。柔道も勝ち抜き戦で団体でやるけれど、基本的に個人対個人だよね。一方サッカーはチームとして機能しなければならない。個人個人がバラバラではダメなわけで。
従来はチームプレーでしかこなせなかった仕事を、ルーチンワーク化することで、コミュニケーションコストを減らし、結果的に一人あたりの残業を減らし、人数を増やすことに成功しました、とかなら有益な話だと思うのだよね。
作業手順を見直し、組織を組み換え、作業者間の作業の依存性を減らす。そういう方向で考えてこそ、真の時短・長時間労働の改善につながる。
もともと独立性の高い仕事を始めて「うちはうまく行ってます」と自慢しても、その人にとっては幸せ度が向上したのかもしれないが、社会全体で見れば何も改善されていない。みんながみんな、独立性の高い仕事だけをやるわけには行かないし。
あとトップ成績のコンサルタントを自慢しているけど、結局のところ個人プレーの仕事というのは、個人の負担が大きいと思うのだよね。チームなら互いに補い合えるけど。もちろんそういう仕事が好きな人は問題ないけどね。オールマイティな人なら問題ないが、ある部分だけは得意だがトータルでは全然ダメな人というのは、チームの中でこそ活かせる。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年04月17日時点のものです。
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