今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■内側への侵略戦争
最近は先進国同士はあまり戦争をしなくなった。日本なんか50年も戦争をしていない。ただ戦争をするというのは人間の本能だと思うのだよね。まあ戦争と言っても武器で人を殺すばかりではなく、経済や技術の競争も、同じ本能に根ざしているのだろう。
しかし武器による戦争も経済や技術による戦争も行き詰まり、停滞した社会では、その本能の行き場がなくなる。そうなるとその本能はどこへ向かうか? 残された最後の領域、人の心だ。
* * *
社会を良くしようという運動は、見方を変えれば他人の心への侵略戦争だと思うのだよね。力で蹂躙し支配下に置く。もちろん戦争には大義名分が必要だから、いろいろ理屈をつける。それは十字軍とかも同じ。かつて混乱した世の中に平和をもたらすために、多くの武将が侵略戦争をした。織田信長とか、ジンギスカンとか。
今日の世界では国境線は確定され、おいそれとそれを動かすために戦争をするわけにはいかなくなった。では人々の心の国境線はどうなのだろう。「社会を良くする」という非常に野蛮が行為によって、人々の心が蹂躙されている…。戦場は精神世界へ・・・なんかSFだね。
単細胞生物が多細胞生物に進化した時もこんな感じだったのだろうか。単細胞生物に意思があるかは知らないが、少なくとも自律的に生きていた。多細胞生物を構成する一つ一つの細胞にはもはや自律性があるとはいえない。人間もやがてこうなるんですかね。
世界に先駆けて国民から自律性を奪い、新たな国家に進化した日本が、他の国政治システムを駆逐し、自分のコピーを作っていく。上からの独裁ではなく下からの自主的な独裁国家。やがて地球上はすべて自由意志を失った人間によって構成される「国家」という生命体が主役となる。
高等生物の場合、意思決定は脳細胞に集中している。手足の細胞なんかは脳の奴隷として働いているわけだ。でもこれだって脳細胞一つ一つは優遇されているわけじゃない。意思決定を行っているのは脳というシステムなのであって、脳細胞も尻の皮膚の細胞も、役割が違うだけで平等といえるかもしれない。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年08月27日時点のものです。
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