今回は茂木健一郎さんのブログ『茂木健一郎 クオリア日記』からご寄稿いただきました。
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■「偏差値が低い」とされている大学の関係者のみなさんへ(脳科学者 茂木 健一郎)
まずは、人間の能力はペーパーテストで測れるものではない、ことを再確認しておくべきでしょう。
その上で、もし、日本の受験のあり方がすぐには変わらないのだとすれば、また、人々が、日本の教育の中で「洗脳」されて、「偏差値」という、奇妙な迷信を信じ続けるのだとすれば、その中で、予備校たちによって「偏差値が低い」と勝手に決めつけられた大学の関係者がとるべき「戦略」は、「そういうのうちは関係ない」と断固拒否することだと思います。
各予備校は、まことしやかな「偏差値表」のようなものを配って、それが各高校に掲載されているという実態があるわけですが、ます、そのような「偏差値表」に大学の名前が掲載されることを拒否してみてはいかがでしょう?
また、実際に、入試においては、志願者の能力、資質、将来性、志願動機を総合的に判断して合否を判定しているため、各予備校が計算する「偏差値」などは、うちの入試には一切関係ないと、公に言うべきではないでしょうか?
間違っても、「偏差値を上げよう」という戦略に出てはいけません。なぜならば、「偏差値」というのは、つまりはゼロサムゲームだからです。18歳人口に占める大学進学者の割合が劇的に変化しない限り、かならず、ある大学群は偏差値が高いと予備校が計算し、他の大学群は偏差値が低いと予備校が決めつけることになるでしょう。
だったら、最初からそんな迷妄は拒否することです。予備校が勝手に計算する「偏差値」は、うちの大学の個性、学風、可能性とは一切関係ないというコミュニケーションを、すべての機会をとらえてやっていくべきです。各高校を回って、もし「偏差値表」が張ってあったら、自分の大学のところだけ、花柄のシールを貼って消してしまいましょう。担当者が一週間も回れば、すべての高校を網羅できるはずです。
世界的に見ても、愚かな日本の偏差値入試。アメリカの大学の、「偏差値」なんて、聞いたことがありますか? なぜそのようなものを聞いたことがないのかと言えば、アメリカの大学は、偏差値で予想できるような単純な入試をしていないからです。
人間を、陳腐なペーパーテストで測る日本の教育の愚行。その先棒をかせぐ予備校の偏差値計算という愚かな習慣を、21世紀に持ち込むべきではない。バカなことはバカなことなのですから、そんなものは消してしまって一向に構わないのです。愚かな人たちに、遠慮することなど、一切ありません。
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先日、高校生たちに、偏差値という数字がどのように算定されるものかを説明し、「そんなものにとらわれるな!」と熱弁しました。
執筆: この記事は茂木健一郎さんのブログ『茂木健一郎 クオリア日記』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年03月19日時点のものです。
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