現代に生きる私たちにとってはとても身近で、手にしない日はない“お金“。たくさんあればうれしい! なければ悲しい。分かっているようでそれほど分かっていない、そんなお金についてもっと知ろうという企画展が日本科学未来館で行われています。
展示タイトルは『波瀾万丈! おかね道―あなたをうつし出す10の実験』。自分の本性が分かったりするのはちょっとこわいですが、お金に興味津々な筆者も展示を体験してきました。
入場してすぐに設置されているのは“ミライ銀行”のATM、ここから実験は開始されます。
最初は見知らぬ誰かとお金を分け合う実験です。どう判断するかでその人の傾向が分析されます。
私はどんな傾向があるのでしょう……「ホモエコノミカス」。なんだか難しいですね。初めて聞く単語です。
それぞれの実験場には、実験の解説となる「実験のふりかえり」「実験のタネあかし」のパネルが展示されています。実験の意味や結果について、経済学や心理学、科学的な視点から詳しく解説されています。こちらは「ホモエコノミカス」についてのパネル。
1円でもお金を受け取り、得をしようとする……これが[ホモエコノミカス]の行動です。しかし現実には、自分が損をしても「平等じゃないのはいやだ!」「相手を罰したい!」といった感情にもとづく行動をとる人が多くいます。”
あいたたた、自分にはこんな傾向があるんですね。実験の中ではこんなふうにあまり自分では見たくない結果をつきつけられたりします。
一つ目の展示のそばには「両替所」が。ここで銀行の通帳のような『おかね道手帖』をもらえます。
『おかね道手帖』に、実験の結果を記録していきます。
『おかね道の町』には実際の生活にある場面をイメージした様々な実験場があります。
カジノのような雰囲気の実験場。
お金と時間感覚の実験場。
選択していくだけであればウェブサイト上だけでもできそうなのですが、実際に人がまわりにたくさんいたり、後ろで並んでいたり、知らない人たちと一緒に実験を体験すると、一人で落ち着いて判断するのとは別の結果を選んでしまったりします。もどかしい部分も含めて、実際の社会環境に近いそんな状況を作ることは、企画者が意図しているところでもあるそうです。
紙芝居の実験場。いつもいらっしゃるわけではありませんが、説明をしてくれているコミュニケーターさんは本物の紙芝居師さんとのこと。
それぞれの実験場で、選択をし、設問に答えていく中で、自分のお金の使いかたのクセや傾向に気づくことができます。
会場にはそのほかにもぬり絵ができるコーナーや
おみくじがひける場所まであります。
実験の結果が経済学的視点や科学的視点でその選択がどういう意味をもつのか、自分にどんな傾向があるのかを知るパネルのほかに、その結果をどう生かすかといったパネルも。ここでまたちょっと考えさせられます。
この展示を体験した人に伝わればと企画した方が話してくれた言葉。
・あなたのお金の使い方にあなたの人間性が表れている
・そのお金の使い方が我々の社会をつくっている
・あなたの使い方によって未来は変わっていく
経済不安や金融危機がニュースなどで語られる中、未来を考えるのが怖くなることもあるけれど、一人一人が様々な状況の中でどのように選択をしてお金を使っているかということに気づき、お金について改めて考えてみることで、少しずつでも世界は変わっていくのかもしれません。
あるようでなかったお金についての展示『波瀾万丈! おかね道―あなたをうつし出す10の実験』。お金大好き! という方はもちろん、経済やお金について考えるのはちょっと苦手という人も出かけてみてはいかがでしょう。
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企画展「波瀾万丈!おかね道ーあなたをうつし出す10の実験」
開催期間:2013年3月9日(土)~6月24日(月) ※火曜休館
開館時間:10時~17時(入場16時30分まで)
開催場所:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーンa
東京都江東区青海2-3-6
入場料:大人 1000円、18歳以下 300円(団体8名以上 大人800円、18歳以下240円)
※常設展示見学可
http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/okane/
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会場を出ると大きなモニターに自分が写っていました。歩くとお金が舞って面白かったですよ。
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