ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

  リンダ・グラットン『ワーク・シフト』を読み終えた。サブタイトルは「孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」。つまり、来たるべき2025年における働き方を予想し、構想し、孤独と貧困から解放される道を探る一冊である。

 ひとこと、素晴らしい。ここ数日で何十冊かの本を読んでいるが、内容の深遠さといい、語り口の丁寧さといい、抜群である。いま読むに値する本があるとすれば、それは本書のことだといっていい。確信をもって推薦できる作品だ。

 本書のなかで、リンダ・グラットンはまもなく訪れる2025年を幻視する。しかし、彼女はむろん予言者ではない。彼女がはっきりと未来の形を見出すことができるのは洗練された予測力のおかげである。

 グラットンはまず近未来を展望するにあたって重要な「五つの要因」を挙げる。「テクノロジーの進化」、「グローバル化の進展」、「人口構成の変化と長寿化」、「社会の変