弱いなら弱いままで。

「第四の『攻殻機動隊』」はどこに着地したか。

2014/09/08 22:24 投稿

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 それは「もうひとつの歴史」の物語。21世紀に入ってからの二度の世界大戦を通して義体化及び電脳化の技術が長足進歩し、人々がアイデンティティの侵犯に怯える2020年代日本、その裏社会を舞台としたサイバーパンク・ハードボイルド・ロマン。

 その頃、世界有数の義体使いにして超ウィザード級の電脳ハッカーでもある「少佐」こと草薙素子は、「サルオヤジ」荒巻が率いる公安九課との折衝を繰り返しながら、自分自身の独立部隊設立をもくろんでいた。

 やがて孤独な彼女のもとに個性派ぞろいの精鋭たちが集まって来る。バトー、ボーマ、パズ、サイトー、イシカワ、それにトグサ。そしていま、ついにメンバーを集め終えた素子のもとに最大の難事件が迫り来る。

 それは「ブリキの少女」エマと「カカシの男」ブリンダジュニアを巡る奇怪な事件だった。そして事件の裏にまたも見え隠れする最高のハッカー「ファイアスターター」の影。はたして素子はどのようにして「攻殻機動隊」を生み出すのか――?

 というわけで、日本がバブルに踊る80年代末から延々と続く『攻殻機動隊』の最新作、『攻殻機動隊ARISE』最終話を観ました。これでシリーズは完結となるのですが、シリーズはさらなる新作劇場版へと続いていくようです。

 『ARISE』最終話のタイトルは「Ghost Stands Alone」、テレビシリーズ「Stand Alone Complex」への橋渡しとなるエピソードであることを暗に示しているわけで、新作劇場版は神山監督による「Stand Alone Complex」完結編かな、などと考えたりします。最近、神山さんの活動もあまり報告されていないしね。

 しかしまあ、その話の前に『ARISE』の話を片づけてしまいましょう。『ARISE』は草薙素子が「攻殻機動隊」公安九課の一員となる以前の物語と位置づけられています。

 一連の『攻殻機動隊』シリーズのプレ・ストーリーといえるわけで、さすがの天才捜査官の草薙素子もまだまだ未熟という設定。この作品をどう評価するかはこの素子の性格づけをどう評価するかでおおかた決まってくると思う。

 原作漫画と映画版で人工知性「人形使い」と合体し、神のような存在にまで進化した草薙素子のイメージを追い求めるなら、今回の作品は物足りないかもしれません。

 しだいに成長し才能を見せつけてくるとはいえ、『ARISE』の素子は超人的なスーパーヒロインというよりどこか少女の危うさを残したひとりの女性。もちろん意図してそう演出されてはいるのだろうけれど、以前の素子が好きな方は違和を感じることでしょう。

 若き日の素子は第3話ではラブストーリーをも演じ、お姫様抱っこまでされています。正直、ぼくもどうなんだろうと思わないこともないのですが、終わってみればより感情的で美少女ヒロインに近い草薙素子も悪くはない印象。

 ちなみに今回は脚本が全編通して『マルドゥック・スクランブル』の冲方丁。そこら辺も新しい素子のイメージに一役買っているのかもしれません。

 また、プロットと人間関係は例によってアニメ映画としては超複雑に入り組んでおり、初見で把握しきるのは困難。ぼくはたぶん半分くらいしか理解していません。

 もう一度最初から見なおしたら別かもしれないけれど、これから観るという人はあまり間を置かずに続けて観るといいと思いますよ。

 で、ぼく個人の『ARISE』の評価は「なかなかの良作」という程度。今回は一話ごとに監督が変わっているせいか、各話ごとに出来のばらつきが激しい印象なのですが、 

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