話題のクレジットカード決済サービス付きSNS「note」を使って同人誌のクラウドファンディング的な行為を試みている方がいますね。
この方の同人誌そのものにはぼくは興味がないのですが(批判しているわけではなくほんとうにただよく知らないだけです。念のため)、このアイディアは素晴らしいと思いました。
たしかにこの種の決済サービスを使うと、個人でクラウドファンディングができてしまうわけですね。各種クラウドファンディングサービスいみねーな!って感じです。
ただ、「note」はそうは云っても10%の手数料がかかるわけで、同じことをやるなら手数料0%という素晴らしい決済サービス「SPIKE」を使用するほうが効率的かも。
これなら利用者が支払ったお金は100%提案者に入るわけで、お金を払うほうもモチベーションが高くなるんじゃないでしょうか。まさにクラウドファンディングの中抜き。
いやあ、とにかく素晴らしいアイディアだと思います。ぼくの場合、今回に限れば予算的に印刷代が払えないわけではないので、特にクラウドファンディングに頼る意味はないのだけれど、でも面白そう。やってみたい……!
というか、やってみよう。すでにあちこちでちょこちょこと情報を出していますが、ぼくは夏のコミックマーケットにサークル「残念教養講座」で参加します。『Fate/stay night』の二次創作小説同人誌になります。西館せ04aでお待ちしております。
この本で、「セルフクラウドファンディング」を試してみようかと。問題はクラウドファンディングの花である「特典」をどうするかという話ですよね。今回は以下のようなものを考えてみました。
まず、
1.純粋なカンパ。(作者の愛と感謝以外の特典なし。締め切りなし)――500円。
2.夏コミ後、本編の電子版、EPUB及びテキストをダウンロードサイトを利用し配布。(締め切り8月14日)――1000円。
それから、「同人誌の取り置き+α」の系統がこちら。なお、取り置きをご希望の方は当日、SPIKEで支払いが済んだあとの画面を印刷して持ってきてもらえると受け取りがスムーズになります(必須ではありません)。ケータイのカメラで取ってもいいかも。
また、当方での確認のため、取り置きだけでも住所氏名の入力は必須とさせていただきます。名前掲載希望の方には当方からどの名前での掲載を希望するのか確認させていただきます。
3.夏コミでの同人誌の取り置き。(当日は無料で本が入手可能。締め切り8月14日)――1000円。
4.上記に加え、夏コミ後、本編の電子版、EPUB及びテキストをダウンロードサイトを利用し配布。(締め切り8月14日)――1500円。
5.上記に加え、夏コミ後、非公開の18禁短編小説の電子書籍をダウンロードサイトを利用し配布。(締め切り8月14日)――1800円。
6.上記に加え、作者のサイン色紙を添付。(締め切り8月14日)――2000円。
7.上記に加え、同人誌にスペシャルサンクスとして名前を記載。(締め切り8月3日)――2500円。
さらに、「同人誌の通販予約」の系統がこちら。「同人誌の取り置き+α」より送料&手数分300円が高いだけです。
8.夏コミ後、指定住所に同人誌を発送。つまり通信販売の予約。送料込み。(締め切り8月14日)――1300円。
9.上記に加え、夏コミ後、電子版、EPUB及びテキストをダウンロードサイトを利用し配布。(締め切り8月14日)――1800円。
10.上記に加え、夏コミ後、非公開の18禁短編小説ををダウンロードサイトを利用し配布。(締め切り8月14日)――2100円。
11.上記に加え、作者のサイン色紙を送付。(締め切り8月14日)――2300円。
12.上記に加え、同人誌にスペシャルサンクスとして名前を記載(締め切り8月3日)。――2800円。
そして、もうひとつ。
13.夏コミ後(8月17日)の打ち上げに参加していっしょにさわぎ、ついでに冬コミ販売予定の次回作について色々話をする権利。当日飲食無料。(締め切り8月10日)――10000円。
この項目は同人誌の取り置き、通販予約とは独立しているので、注意してください。打ち上げにも参加したくて同人誌もほしいひとは両方注文してください。
また、上記全商品は締め切りが過ぎると購入できなくなります。さらに念のため書いておくと、上記の手段を利用しなくても、当日サークルスペースへ来れば本は買えます。あたりまえですが。以上、ご了承ください。
いかがでしょ? これくらいの値段なら「あり」なのでわ。「なし」だと思ったら利用しなければいいんだしね。
ただし、「同人誌にスペシャルサンクスとして名前を記載。」という項目があることからもわかる通り、実はこの同人誌、まだ入稿していません。
まあ、原稿はすでに上がっているので、98%くらい大丈夫だとは思うけれど、何らかのミスが重なりに重なって印刷が夏コミに間に合わない可能性も微レ存であることはご了承ください。
万が一、本を落としてしまった場合は当然、振り込みいただいた金額は返金いたします。その場合はあらためて銀行口座をご連絡いただき、そちらに振り込ませていただくという形になると思います。いやほんと、大丈夫だとは思うのですが……。
あと、特典のひとつである「18禁短編小説」のメインキャラクターはセイバーか凛(あるいはその両方)になると思うのですが、具体的な内容はまだ決まっていません。
ただし、当然、本編に関連した内容となるでしょう。微妙に百合とか陵辱とか入っているものになる可能性もあるので、そこらへんはご了承いただければと(めっちゃラブラブなものになる可能性ももちろんあるけれど)。
それから、同人誌にスペシャルサンクスとして名前を載せる権利を含む特典の販売は来月3日までを締め切りとさせていただきます。それ以降だと、本を入稿してしまうので、物理的に載せることができません。
同人誌の内容の詳細な宣伝はもう少しあとにさせてください。「本の具体的な中味がわからんのにカネが払えるか」と思われるかもしれませんが、そう思われる方はあと数日待っていただければ。
ちなみにタイトルは『Fate/Bloody rounds(1)円卓戦役開幕』です。そうなんです。シリーズものなんです。次のコミケに続くんです。ごめんよ。でも、中味は面白いはず。信じられないというひとのために、本編から序章を引用しておきます。
序章「カムランの戦い」この世の地獄がひろがっている。
ひと目でもその景色を目にした者は、だれもが声を失い唖然とするに違いない。決してこの地上にあってはならないような死と絶望の光景であった。
この季節、新緑に包まれているはずのその丘は、しかしいま、見わたすかぎり落日と人血の色に染めあげられていた。あたりには幾本もの剣や矢が突き刺さり、数しれない騎士の亡骸が苦痛に歪んだ顔で斃れている。ある者は深々と槍で刺され、またある者は頭蓋をまっぷたつに割られていた。内臓を抉られ、自分の血に溺れて死んだ様子の者もいれば、何本もの剣で貫かれ落命している人物もある。ひとつとして正視に耐える骸はなかった。
あきらかに壮絶な激戦の跡である。いったいどんな深い憎しみ、あるいはどれほど気高い理想が、このような惨劇をひき起こしたのか。だれかに訊ねてみようにも、生きて動く者は見あたらなかった。双方合わせ何万という騎士たちが、ひとりのこらず死に絶えていたのである。
いや――ただひとり、屍体の山のなかから立ち上がる者があった。
返り血に朱々とぬれた銀の鎧をまとった騎士である。兜をどこへやってしまったのか、秀麗な素顔がそのまま風に晒されている。背後で束ねた髪は金、瞳は高空の青。まさに地獄に舞い降りた天使かと見紛う美貌の少年だ。かれだけがこの戦場のただひとりの生きのこりだった。それでは、かれは己の幸運に感謝し、この場から逃げ去るつもりだろうか。いや、その少年は何と、重い肉体をひきずりつつ、さらなる戦いを求めようとしていた。
「どこだ、どこにいる、モードレッド。アーサーはここだぞ!」
少年――後世、伝説に唄われる騎士王アーサー・ペンドラゴンは、このカムランの戦場を、宿敵を求めさまよいはじめた。
モードレッド。
その男こそは、かれをこの泥沼の会戦にひきずり込んだ怨敵である。彼奴の首を獲らないうちは、戦いに幕をひくことはできぬ。いま、アーサーは敵の首級を求める幽鬼そのものと化していた。
ただ、それでもまだいくらか味方を思う心はのこっていたらしい。かれは死骸の森の顔をひとつ、またひとつとたしかめながら、忠臣たちの名を呼んでいった。
「トリスタン!」
死の丘に王の声がむなしくひびく。
「ガレス! ガラハッド! ガウェイン! パルシファル! ベディヴィエール! だれかいないのか! だれでもいい。だれか――いないのか」
しかし、その悲痛な呼び声に応える者はいない。アーサーの声は広大な戦場にとどろいたが、ただ痛いような静寂と、屍肉を求める黒鴉の啼き声が返ってくるばかりだった。やがてかれは黙り込んだ。もはやこの地に生存者がいないことを悟ったのである。
あるいは、熱心に探せばまだひとりふたり生きのこっているかもしれぬ。しかし、それよりも宿敵を探し出し、永遠に禍根を断つことのほうが優先されるべきであった。かれはそのためにこそ敵味方数万の人々を死なせたのだから。アーサーはいつもそのように冷酷に目的を優先させてきた人物だった。
そうして、どれほど歩きまわったことだろう。ときに臭いが鼻をつく血溜まりを越え、ときに痛ましい死骸を避け、戦場を放浪していたアーサーは、ついに、剣を杖に立ち尽くすひとつの影を見つけ出した。
燃えるような赤い髪と鋭くひかる翠緑の瞳、アーサーその人に劣らない美貌の貴公子。血にぬれてなお美しいその男こそは、かれが信じ、愛し、そしてその信頼と愛情を踏みにじられた相手であった。はたして、かれの宿敵はこの死のカムランでなお生きていたのである。
「モードレッド!」
もし傍らで眺めている者があれば、アーサーの全身から蒼白い焔が立ちのぼるようすを幻視したかもしれぬ。それほどの怒気が王の肉体を包み込んだ。
キャメロットの貴公子モードレッド。
アーサーが国を離れる折り摂政に任じたこの男は、その機に乗じて叛乱を起こし、並外れた政治力を発揮して諸国の軍を集めると、ここカムランの地でアーサーの騎士団と激突したのである。つまり、この男のために偉大なブリテン国は亡び、壮麗なキャメロット城は潰え、栄光の円卓騎士団は壊滅したのだった。
この男だけは赦せぬ。
非情の王といわれたアーサーが激情に流されることがあるとすれば、いまがその時だった。
「ほう、生きていたか、アーサー」
モードレッドもアーサーの姿に気づいたようだった。叛逆の貴公子は、ほかの者なら畏れ入って赦しを乞うであろう王の怒気をせせら笑った。
「久しいな。どうやらこの戦場で生きのこったのはおれと貴様だけか。こんなことなら初めからふたりで斬り合うのであった。あたら勇者どもを無駄死にさせることになったな」
「モードレッド、貴様――」
「怒っているのか、アーサー。しかし、おれに怒るのは筋違いだろう。すべては貴様故に起こった惨劇だ。貴様がおれに摂政を任せたためにこのようなことになった。滑稽だな、アーサー。貴様は信じるべきでないものだけを信じる。あのランスロットとグィネヴィアのように」
「云うな!」
アーサーは怒号とともに佩剣を抜き斬りかかった。かれは屈強な円卓騎士たちを束ね、このカムランの殲滅戦を生きのびるだけの剣士であった。
目にも留まらぬ一閃。並の騎士なら鎧袖一触で斬り捨てられていたことだろう。だが、モードレッドもまた、異数の剣士だった。ほかの者であれば反応すらできなかっただろうアーサーの剣を、受け、流し、逸らしてゆく。
ふたりの剣戟はそのむかし王都でひらかれた舞踏会の円舞に似ていた。もし死者たちに意識があったなら、だれひとり生きてその死闘を語り伝える者がいないことを惜しんだかもしれぬ。それほどに、剣に生きる者ならあこがれずにはいられない技の応酬が続いた。
「モードレッド!」
「アーサー!」
十合。二十合。五十号。百合――。
あたかも互いの影と斬り合っているかのように勝負は決さぬ。
アーサーの剣は湖の貴婦人より賜った宝剣〈約束された勝利の剣〉である。モードレッドの剣もまた銘のある業物だ。互いに互いを瞳に映し、互いの名前を叫びあいながら、ふたりは剣技の舞を続けた。アーサーが攻め、モードレッドが守る。モードレッドが斬りかかり、アーサーが受ける。何もかも互角、剣術の奥義を尽くした死闘は、いつ果てるともしれなかった。
すべての一撃に必殺の意志がこもっているにもかかわらず、いずれの剣も紙一重で相手を捉えられない。ときにアーサーの技がモードレッドの髪を掠め、モードレッドの剣がアーサーの鎧を捉えることはあったが、いずれも決定的な打撃には至らなかった。戦いは時を超え永遠に続くかとすら思われた。
しかし――おそらくその心に抱えた激情の差であったかもしれない。はてしない斬り合いの果てに、アーサーの剣はついに宿敵の兜を打ち砕き、その端正な頭蓋に刃を食い込ませた。モードレッドは絶叫した。おそらくは苦痛のためではなく、屈辱のために。
驚くべきことに、それでもなお、かれは反撃した。一瞬の隙をついて、モードレッドの剣がアーサーの脇腹を貫く! ふたりは互いに瑕を負って離れた。
この時、先に動き出したのはやはりアーサーだった。偶然にも傍らに突き立っていた槍をひき抜くと、雄叫びをあげながらモードレッドへ突進する。すさまじい刺突ではあったが、先ほどまでのモードレッドならかわせたかもしれぬ。しかし、いまのかれにその力は残っていなかった。この日最後の血が流れ、この日最後の喘鳴が零れた。幾万もの血を吸って、カムランの戦いはようやく終焉の時を迎えたのである。
アーサーはその槍を抱えたまま、倒れ込んだモードレッドの横に立った。かれは勝者ではあったが、やはり満身創痍だった。かれは力なく横たわる宿敵を眺め下ろしながら訊ねた。訊ねずにはいられなかった。
「なぜだ、モードレッド? 何が不満でこのような叛乱を起こした? 王国が欲しかったのか? それともわたしに何か悪いところがあったのか? 教えてくれ」
モードレッドの翠いろの瞳に、最後の冷笑が浮かんだ。
「貴様にはわからぬ、ひとの心を持たない王よ」
聴く者の心を凍りつかせるような冷え冷えとしたひと言だった。かれはその男性的な美貌を歪めながら、なお、呪いの言葉を吐き出した。
「アーサー、貴様はひとり生きのび孤高の玉座の上で虚妄の栄華を楽しむが良い。だが、忘れるな。このモードレッドが地獄に落ちても貴様を呪っていることを。良いか、わが亡き後もブリテンに平和は訪れぬ。貴様が王として君臨する限り、その首をねらう者は絶えないだろうよ。貴様に王冠はふさわしくない。なぜなら――」
そこで叛逆の貴公子は血の塊を吐き出した。かれの眸からゆっくりと光が消え失せてゆく。アーサーはなおも言葉を待ったが、その唇がふたたび動くことはなかった。騎士王の国と宮廷を亡ぼした一代の梟雄モードレッド卿は、ここに斃れたのである。アーサーはそれをたしかめて、深く重いため息を吐いた。
「なぜだ? どうしてこんなことになった? すべて皆、わたしのせいなのか。教えてくれ、マーリン。ランスロット。グィネヴィア。皆――」
しかし、今度こそ応える者はいなかった。いまや、その地獄に生きのびてある者はかれひとりだったからである。
アーサーはたそがれの空に向け野獣のように咆哮した。生きてその声を耳にする者はいない。かれが殺した敵と、やはりかれが死に追いやった味方の亡骸に囲まれて、アーサーはいま狂おしいほど孤独だった。いまや、その音に聞こえた宝剣を除けば、かれを支えるものは何ひとつなかったのである。
剣の丘に王はひとり。
アーサーは、アーサーの名で生涯を送った少女アルトリアは、ひとり、だれに見咎められることもなく、啜り泣いた。
――すべては遠い昔の出来事だ。そして時は過ぎ、このアーサー王伝説を締めくくるカムランの戦いから一千年以上も後のとある異国を舞台に、ふたたび物語の幕はひらく。
まあ、だいたいこんな雰囲気だと思っていただければ。物語の舞台は『Fate』本編の1年後で、士郎、セイバー、凛、桜以外のマスターとサーヴァントは全員死亡している設定です。
『Fate』本編を知らないひとにも楽しんでいただけるものに仕上げたつもりですが、どうだろ、やっぱり本編を知っていたほうがより楽しめることは間違いないでしょうね。そこはまあ、二次創作ですから。
ただ、この本から入って今度のアニメを見るとか、そういう楽しみ方はできるかも。本編を知らないとまるきり理解できないというものではないはずです。たぶん。きっと……。
なかなかものすごい部数を刷る予定なので、ぜひ買ってください。いや、ほんと、お願いします。この本が全然売れないとぼくのソウルジェムが濁っちゃいます。
では、そういうことですので、皆様、ご協力よろしくお願いします。質問などありましたら、コメント欄ないしメール(kenseimaxi@mail.goo.ne.jp)でよろです。でわでわ。
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