アルピニストの野口健さんのツイートが話題を呼んでいる。

韓国訪問の時にタクシーに乗っていたら運転手に「日本人か?」といわれ、「そうだ」と答えたら「車から下りろ」と。そのクセに「金は払え」と。頭にきて一銭も払いませんでしたが。当たり前でしょ。
韓国、日本人客減に危機感…都内で誘致イベント- http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140714-00050141-yom-int
仮に日本で韓国人観光客がタクシーに乗って運ちゃんに「韓国人は下りろ」と言われるだろうか?タクシーだけじゃない。プサンでサウナに入っていたら、同じように「日本人か?」と尋ねられ追放された。あの時の印象が忘れられない。一部の人の対応かもしれないが日本人旅行者が減るのも無理はない。
韓国での出来事について呟きましたが、それはあくまでも一部の人の行いでしかないけれども、しかし抱く印象としては決して小さくない。特に旅で受けるインパクトは良くも悪くも大きい。それだけに観光客に対する丁寧な対応はとても大切だ。この点に関して日本のサービスは世界的にも評判がいい。

 これらのツイートがそれぞれ数千回リツイートされてさまざまな反響をもたらしているわけだ。数千のリツイートをいちいち追いかけたわけではないから、総体としてどういう意見が多いかわからないが、やはり目につくのは「だから韓国はダメなんだ」式の反応だ。

 じっさい、野口健さんのところにも「日本人は韓国に行かない。韓国人は日本に来させない。単純じゃないですか」というまさに「単純な」ツイートが寄せられていて、それに対し野口さんは「そう単純でも困る」と返している。

 しかし、まあ、これはある意味で予想通りの反応。面白いのはここからで、野口さんのツイートがウソなのではないかというツイートが日本のジャーナリストなどから寄せられることになったという。

 たとえば株式会社オン・ザ・コーナー代表取締役の清義明さんは「これはかなりウソくさい」といい、「まあ韓国にもいろんな人間いるから、もちろんそういう種類の人間にあたる可能性はあると思うが、オレのまわりで頻繁に韓国行っている連中からもそんな話は聞いたことない。しかも、「日本人だから」排除されたということも理解している語学力?どの程度の頻度の訪韓か知らんけど確率高杉!おかしいわ」と続けている。

 また、『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』(これはぼくも読んだ)で知られるジャーナリストの安田浩一氏も、「相当にウソくさいな。釜山のどこのサウナなのだろう」とツイートしている(http://news.livedoor.com/article/detail/9050681/)。

 さて、この事態をどう考えるべきか? ぼくが日参している「文芸ジャンキーパラダイス」では、こんなことが書かれている(正確な引用ですが、読みやすさを考えてインデントと改行を加えました)。

 アルピニストの野口健氏がツイッターで『韓国訪問の時にタクシーに乗っていたら運転手に「日本人か?」といわれ、「そうだ」と答えたら「車から下りろ」と。そのクセに「金は払え」と。頭にきて一銭も払いませんでしたが。当たり前でしょ』

 『仮に日本で韓国人観光客がタクシーに乗って運ちゃんに「韓国人は下りろ」と言われるだろうか?タクシーだけじゃない。プサンでサウナに入っていたら、同じように「日本人か?」と尋ねられ追放された。あの時の印象が忘れられない。一部の人の対応かもしれないが日本人旅行者が減るのも無理はない』と発言し、賛同コメントが多数ついてる。

 なんで野口氏はこういう思考になるんだろ。そこには日本が軍事的な圧力をかけて韓国を併合したこと(韓国側の併合容認派が考えていたのは、あくまでも「対等合併」)、独立運動に身を投じた人を多数殺害したこと、「皇民化」を押し付け文化を侵略した事実、その他あまりにも多くの負の歴史が完全に欠如している。僕だったら「どうしてこの運転手は、ここまで日本人に怒っているのか」と考えるし、「過去の歴史が理由なら、日本政府の謝り方が、相手の心に届くものになっていないのでは」と思考する。自虐的云々以前の問題だ。

 加害側・被害側としての立場を考慮せず、『仮に日本で韓国人観光客がタクシーに乗って運ちゃんに「韓国人は下りろ」と言われるだろうか?』と、歴史を無視した例え方をして、疑問も感じずツイートしていることが、同じ日本人として辛い。野口氏は環境保護運動に尽力したり、南方の戦跡で旧日本兵の遺骨を拾う活動をしたり、敬意を払う部分があるだけに残念。

http://kajipon.sakura.ne.jp/

 この意見は正しいのか。ちょっと考えてみよう。結論からいうと、