昨年、自殺者数は15年ぶりに3万人を割り込んだらしい。景気が良くなったわけでなし、なぜなのだろうと思っていたら、こんな記事を見つけた(http://bylines.news.yahoo.co.jp/yasushimizu/20130117-00023089/)。
自殺対策支援団体ライフリンクの清水康之代表による文章で、なぜ自殺が減ったのか、その理由が詳細に記されている。清水さんによると自殺が「それでも3年前から、毎年千人単位で減少してきているのは、遅ればせながらだが、「自殺対策を推進するために必要な社会的条件」が整ってきたことの影響が大きい」らしい。
かれはその条件を五つ挙げている。「地域データの公表」、「先進事例のモデル化」、「ネットワークの構築」、「タイミングの設定」、「財源の確保」である。つまりは、社会がようやく自殺防止に熱心になり、先進事例をモデル化しつつ対策を行った結果、自殺者が年間数千人も減ったということなのだ。
これは、自殺が決して「個人の問題」として済ませることはできない問題であることを示している。自殺の多くは「社会に強いられた死」であり、その意味では自殺とは「他殺」なのだといえる。
それにしても、社会状況が改善しているようにも思えないにもかかわらず、きちんと対策を打ちさえすれば自殺率が大きく減少するという事実には驚かされる。やはりひとはだれにも相談できない孤独のなかでこそ死を選ぶものなのだろう。
だれかがその悩みを受け止めてくれさえすれば、少しずつ問題を解決しつつ生きていくことができるのだ。純粋に自分の意思で死を選ぶひとがいないとはいわないが、ほとんどのひとは「それ以外に道はない」と信じて自殺するわけである。その種の悲劇的な死を社会的に減らしていくことが大切だろう。
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