日本映画久々の大作時代劇ということで、「どうかな?」と思って観に行ったのですが、心から観て良かったと思います。
北海道の美しい自然、人間たちの複雑なドラマ、そして壮絶な殺陣――いずれも圧巻の出来、それらが一体となって炸裂するクライマックスは、凄惨無比、忘れがたい印象をのこします。
まさに「映画を観た」という深い感動に浸れる2時間半でした。
ぼくはクリント・イーストウッド版の『許されざる者』を観ていないのですが、いつか必ず観ようと思います。それくらいものすごい出来だった。
物語の舞台は幕末が近い過去となった明治13年(1880年)。
戊辰戦争幕府軍の残党、釜田十兵衛(渡辺謙)は、北海道に小さな家を建て、ふたりの子供とともに貧しいながらも平穏な暮らしを送っていました。
そこへかつての戦友馬場金吾(塚本明)が賞金稼ぎの誘いに来ます。女郎たちが仲間の顔を切り刻んだふたりの男に巨額の賞金をかけたというのです。
しかし、かれらのまえに警察署長(佐藤浩市)が立ちふさがり――と、プロットは二転三転しながら進んでいきます。
脚本は大筋でイーストウッド版をなぞっているようですが、邦画ならではの脚色も随所に見受けられます。
まず西部の荒野ならぬ開拓地北海道を舞台としたことがひとつですが、そのほかに大きいのはほとんどの登場人物が戊辰戦争の過去を引きずっていること。
敗軍についたために人斬りの汚名を着ることになった十兵衛もそうですし、かれの古い戦友である金吾もそう、また「勝ち組」である署長にしても、どこか血に飢えたような凄惨な雰囲気をただよわせています。
皆、戦争という惨禍によってそれぞれの形で人生を狂わされてしまった人々なのです。
十兵衛はアイヌ人の妻と出逢ったことで、ひとり、その「殺しあいの螺旋」から降りようとしますが、運命はかれに逃げることを許しません。
かれは錆びついた刀を片手に、ふたたび殺戮の世界に舞い戻ることとなるのです。
「許されざる者」。結末まで観てみると、
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